Blu-rayが発売されました。
特典映像についてネタバレです。


ベネディクト・カンバーバッチ演じるピーター・ギラムがサーカスから書類を盗み出した帰りに、ロイ・ブランドと階段でとすれ違う。電話の奥で聞こえていた曲を意図的に口ずさみ、お前の電話は聞いてたぞと暗に脅した上で、ブランドはギラムをランチに誘う。そのランチシーンが未公開シーンとして収録されています。
「車は何に乗ってるのか」とか当たり障りが無いような、しかし盗聴をほのめかす質問を繰り出すブランドに、ギラムがにっこりとひきつった愛想笑いを返す。バッチさんのこの表情がいいです。顔もアップだし、ひやひやするけれど、同時にこの一連のシーンばかりに時間を割いてもだらだらしてしまうかなとも思う。ただでさえ長い映画だし、その前の階段のシーンの一撃必殺な緊張感がすごいので、まあ、カットされても仕方がないのでしょう。

もう一つ、スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が黙々と目玉焼きらしきものを作っているというなんだかすごい未公開映像も入っている。
たぶん、サーカスを解雇されたあとで、日中に家で暇を持て余している。近所からうるさい音楽が漏れてくるのも日中に家にいるようになって初めて気づいた様子。妻も出て行ってしまっていて、喋る人もいない。慣れない危なっかしい手つきで料理を作る。しかも目玉焼き…という、なんとももの寂しいけど、おかしくて少し可愛くも見えてくる映像が長回しで撮られている。
こんなのもちろん映画内ではカットですよ。完全に浮いてしまう。だから、トーマス・アルフレッドソンはこれで一本別に、短編を作って欲しい。お願いします。ビルとジムの過去編と同時上映して欲しい。
ちなみにゲイリーはこの映像について、「シド・ヴィシャスを演じてたこともあったんだけど…」と嘆いていたらしい。

出演者のインタビューでは、トム・ハーディがゲイリー・オールドマンに見とれていてNGを出した旨を話していた。ゲイリー・オールドマンはジョン・ハートとの共演を喜んでいた。ベテランから旬の若手まで、様々なイギリス俳優の交流の場にもなったらしく、出演する側も楽しかったようです。どうりで観る側が楽しめるはずだ。



“昼は大統領、夜はヴァンパイアハンター”という宣伝文句にワクワクしていたし、製作にディム・バートンの名前があったので公開前からかなり期待をしていました。しかし、アメリカで一足先に公開されたときの評価が低く、興行収入もいまいちということで不安になっていたのですが…。
以下、ネタバレです。





アクションシーンはよくできてたと思う。大量の馬が駆けてくる中での格闘、舞踏会でのカーテンを使った演出、走る列車と落ちる橋など、各シーンはおもしろかった。役者さんたちも恰好良かった。くすんだような全体の色合いも、ゴテゴテしたゴス衣装も、統一されていたし雰囲気は良かった。それなのに、流れがない。それぞれがブツ切れ。

なんとなく、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』に悪い面が似てた。短時間で人の生涯を描こうとしてるから、一つ一つのエピソードに深みがなくて、総集編みたいに上滑りしてしまう。

今作だと、ヴァンパイアハンターとして活発に活躍していたのは大統領になる前で、いざ大統領になってからは、通常の大統領業務をこなしているようだった。年老いてから再び斧を手にするものの、それでは“昼は大統領、夜はヴァンパイアハンター”というキャッチコピーとは違ってしまう。一人の人間の二面性が見たいのに、ヴァンパイアハンターパートと大統領パートはきっちり分かれてしまっていた。
大統領として普通に働いているシーンはいらない。それを観たいなら、別の映画を観る。中途半端です。もうずっと、斧を振り回してヴァンパイアを狩っていれば良かったと思う。斧アクション、恰好良かったのに。だからもう、大統領になろうとしている若い頃のエピソードはいらなくて、最初っから大統領になっていてくれていい。

ドミニク・クーパー演じるヘンリーだって、もっとうまくいかせるキャラクターだったはず。リンカーンが大統領になって普通の仕事をしている何年間かは、この人が何をしていたのかもわからない。
リンカーンとのブロマンス的な引っ張り方だってあったはずだし残念です。

ストーリー/キャラクター共に、素材はいいのに、それがうまく調理されていなかった。いくらでも面白くできそうだったのにもったいない。最後の締め方は良かったけど、それでうまくまとまったみたいな顔をされても困ってしまう。

2006年公開(イギリスでは2004年)。マシュー・ヴォーンが『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』の続編の監督を降板したという話題と、若いダニエル・クレイグが気になったのと、トム・ハーディが出ているので観てました。

八年前の映画とは思えない。スタイリッシュなことをやると、やはりその時代のブームみたいなものが反映されるので、あとから観ると恥ずかしくなることが多いと思うのですが、まったく古さを感じない。序盤の流れるようなカメラワークはミュージックビデオのような作りだった。もしかしたら、マシュー・ヴォーンはミュージックビデオ出身なのかと思ったけれど、特にそんなこともなさそう。ガイ・リッチーはそっち方面やCM出身らしいですが。

やっぱりマシュー・ヴォーンは『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』など、ガイ・リッチー監督作で製作をつとめていたことで有名になったせいもあって、比べられることも多いし、作風が似ている。今作も、マシュー・ヴォーンにとって初監督作ですが、もともとはガイ・リッチーが監督をつとめるはずだったらしい。登場人物の多いクライムムービーということで、題材自体が『ロック、ストック~』『スナッチ』『ロックンローラ』あたりに似ているのでテイストが似てしまうのは仕方ないとは思う。どちらも好きです。

それでも、特典映像に収録された監督インタビューでガイ・リッチーのこと聞かれすぎなのは少し可哀想だった。あと、低予算にこだわっているとも話していた。低予算で作れば、もしも興行収入がいまいちだったとしても文句を言われることはなく、好きなことができるから、とのこと。

特典映像には未公開シーンが多数収録されていた。誘拐された娘のエピソードはごっそり削られているらしい。それぞれの未公開シーン自体は興味深くはあったけれど、確かに入れると間延びしていたと思う。登場人物が多いだけに、主題から遠い場所のエピソードを入れ出すとなんでもかんでも加えなければいけなくなってしまう。ごっそり削ることで、話の中心がはっきりするし、なによりテンポも良くなる。

ダニエル・クレイグの若造っぷりが可愛かったです。今年公開された『ドラゴン・タトゥーの女』だと、大人の余裕でドンとかまえる色気のあるおじさんというイメージだったんですが、今作では周りに振り回され事件に巻き込まれていた。セクシーではあるけれど、まだまだ若い。ほんの八年前でも結構変わっている。恰好いいです。

トム・ハーディは今と比べて一回りくらい小さかった。役柄も見た目も『ロックンローラ』のハンサムボブと似ていた。

『ダークナイト ライジング』でダゲットの部下を演じたバーン・ゴーマンが出てきて少し気になりました。

クライム物だから人はたくさん殺されるけれど、残虐描写が少なかったのはたぶん意識的に避けてたんだと思う。人を撃つシーンでぐっとカメラがひいたり、殴るシーンも殴られる側の視点になったりと、見せ方の工夫がおもしろかった。

ラストは賛否両論あったらしく、何パターンか撮られていたらしいけれど、採用されたバージョンで良かったと思う。
あんなに惚れていた彼女を寝取られて、シドニーが黙っているのはおかしい。主人公と女性の乗った車の後ろをシドニーが追っかけて行って、その先どうなったかはご想像におまかせ、みたいなラストもあったらしいけれど、その辺はぼやかさずにはっきりやっちゃったほうがいいでしょう。
多少あっけないけれど、この幕切れは心に残るし好きです。


ユナイテッドシネマの秋シネマコレクションにて。少し前の人気作の再上映。いろいろと良いセレクションでした。本当は『おとなのけんか』も観たいところ…。
何度か観ているので、字幕を読まなくてもなんとなくの聞き取りで観ることができた。

恰好良い俳優が揃えられている本作ですが、一番最初に観た頃にはトム・ハーディが良くて、何度か観るうちにベネディクト・カンバーバッチが気になって仕方なくなり、今回はマーク・ストロングがとても恰好良かった。声も渋い。コリン・ファースは毎回好きです。

何度観ても、最後の『La Mer』のシーンが好きです。ずっと歌が流れているからセリフが無いというのに、登場人物の感情が一番わかりやすいのがこのシーン。いや、逆なのかもしれない。セリフが無いからこそ、誤魔化しがきかない。言葉でなんとでも言えてしまえば、気持ちなんて隠すことができる。ここでは、表情のみ、視線と視線の絡み方のみで、感情が伝わってくる。過去のシーンで交わされる笑顔と現在のシーンの悲痛な表情と涙とで、切ない気持ちになる。トーマス・アルフレッドソンは、はやくビルとジムの過去編を作って欲しい。

2010年公開。テレビにて。映画館でも観ました。

2よりもこちらのほうが火薬の量が多そうだった。特に終盤、アジトを脱出して逃げるあたりの爆破に次ぐ爆破と火の海具合はやりすぎ感に笑ってしまう。

彫り師役のミッキー・ロークが恰好良くて、結構良いキャラクターなので、2に出てこなかったのは残念。でも、オアシス的な役割というか、前線には出ないので、メンバーがほぼ前線に出っぱなしの2では出番がないのもわかる。ヴァンダム、シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスという2からの新キャラ・出番の増えたキャラにもお金もかかってるんだろうし。

忘れていたけど、そういえば、悪役が『ダークナイト』のマローニ役のエリック・ロバーツだった。

エクスペンダブルズの面々やヒロインなど、全員がとにかくバーニー(スタローン)を慕っているように撮られている。監督も彼自身がつとめていると考えるとなかなかこそばゆい。憎まれ口を叩きながらも、バーニーに認めてもらいたくて頑張るクリスマス(ジェイソン・ステイサム)が「惚れたか?」と冗談まじりにたずねるシーンが好きです。

終わり方は1のほうが好きでした。クリスマスがハンデをつけて、すごく遠くから投げたナイフがちゃんと刺さる。クリスマスの腕が確かなことがわかるし、ナイフが刺さる的側にカメラを置くことで、全員がこちらを向いていても不自然ではない。せっかく出演者が豪華なんだし、最後にしっかり全員の顔を見せる工夫がとられているのはいいですね。



映画館に豪華出演者の立て看板が飾ってあって、それを見たときに、リアム・ヘムズワースというクリス・ヘムズワースの弟さんが出ているのを初めて知りました。目元が結構似ていた。
前作では顔見せ程度だったブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーもまあまあ活躍していました。
以下、ネタバレです。










リアム・ヘムズワースは、 実際の年齢が22歳ということで出演者の中でもダントツで若く、エクスペンダブルズの新入り役でした。しかし、ストーリー上のキーパーソンではありながら早々に離脱…。恰好良かったし、もう少し観たかったです。残念。

前作同様、もしかしたら前作以上に話の深みなどは一切無かった。同行していた女性が実は悪役側で…みたいなどんでん返しを想像していたけれど、特にそんな要素もなし。悪い奴がとことん悪くて、それをとにかく倒してくという、それだけの話。モブキャラはバッタバッタと死ぬ。でも、これだけ出演者が濃いと、それで十分おもしろい。むしろ、変に深みなんかは持たせないほうがおもしろいと思う。
さすがに年季の入った方々のアクションはやっぱりうまいし、それだけで見応えがあった。一番好きだったのは、メンバーの中では若者のジェイソン・ステイサムの教会のシーン。神父姿でナイフを自在に操る様が恰好良かった。いつの間にか、しっかりアクション俳優の仲間入りをしていた。

出演者の過去作オマージュが満載なのも良かった。スタローンのボクシングネタにはにやりとさせられたし、シュワルツェネッガーにいたっては「I’ll be back.」を連発、ダダンダンダダンというおなじみのSEまで付けてくる悪ふざけっぷり。でも、そもそもがそうゆう映画なので、しつこいくらいでいい。

バーニーとクリスマスのケンカップル度は上がってた。彼女といちゃつくクリスマスに対しての、バーニーの嫉妬はこちらが恥ずかしくなるほど。いちいちかみついていた。

今回も打ち上げがあるかと思ったら、飛行機の中でのちょっとしたシーンだけでした。もっと長くてもいいのにと思ったけど、廃ホテル(?)での「最後の晩餐に何を食べたいか?」という無駄に長い話し合いのシーンも中打ち上げみたいなものだったし、アクション以外の部分はあんまり加えないようにしたのかもしれない。
今回は本当にアクションだけに特化した、シンプルなものが作りたかったのかもしれない。エクスペンダブルズ面々のアクション以外のシーンも好きなのですが、日常のわいわい話しているシーンは省かれてしまうのは仕方が無いのかな。

『アルゴ』


ベン・アフレック監督・主演作。偽の映画を制作し人質たちをロケハンに仕立て上げるという、小説よりも奇なる事実、CIAによるイランでの人質救出作戦を題材にしたあたり、まず目の付け所が大正解。これで映画がおもしろくならないわけがない。
ベン・アフレックが手がけた前作『ザ・タウン』は、いい映画だけど手堅いというか、少し地味な印象だった。しかし、今回は堅実さだけではない面も見られる。それでも、彼の高潔さとか生真面目さ、正しさみたいなものはちゃんと残ってるあたりが、監督としてのカラーを確立させた感じもする。
以下、ネタバレです。







実話なのでネタバレといっても、脚色はあると思いますが事実の通りです。私はその事実をまったく知らない状態で鑑賞したため、最後の最後までどうなってしまうのかわからなかった。

終盤の空港以降のシーンのつくりが特に素晴らしい。空港とCIAと映画スタジオをぱっぱっと切り替えながら状況を見せていくことで、リアルタイムにすべてが絶妙のタイミングで進んでいくのがわかる。どこかが少しズレても駄目になる、このギリギリの状況は観ていて本当にハラハラした。ラストに向かっての畳み掛けるように次々とピンチが訪れ、それを回避して…という展開は、くちびるかんで観てました。手に爪の跡も付いた。
飛行機が飛び立ち、イランの領空を出たシーンでは、これ以上ないというほどのカタルシスが訪れて、拍手をしそうになってしまった。終盤の演出は本当にうまくて、感心しながら観てました。120分が短く感じられるほどだった。

しかし、それだけではなくて、序盤の画づくりもおもしろかったです。ざっと歴史をおさらいするのですが、漫画のコマと報道のような映像が混ざっていて、重い事実を重苦しく見せず、テンポ良く辿っていく。フィクションとノンフィクションの境界が曖昧になっているのは、この先起こる奇妙な人質救出作戦へ向けての布石にも見える。

また、その序盤のあたりでは、歴史をまったく頭に入れてこなかったことを後悔して、もしかしたら難しい話なのではないか、予習してくるべきだったとも思ったけれど、監督・主演であるベン・アフレックが登場したあたりから、ストーリーに軽快さが加わる。
緊迫した状況ながらもそれだけではなく、偽映画製作現場での笑いの取り入れ方も良かった。特に、脚本の読み合わせのシーンはうまかった。淡々と声明文を読み上げるイラクの女性と、宇宙人のような奇妙な衣装でSF脚本を読み上げる偽映画のキャスト陣が、時に混ざりながら交互に映る。偽映画パートは呑気にやっているようにも見え、笑いも起きるが、実はこれは重要な作戦の一環だというのが思い出され、観ている側も気を引き締められる。この辺のさじ加減は監督の手腕によるものだと思う。

こんなのを見せられたら、ベン・アフレックの監督としてのこの先にもとても期待してしまう。もちろん、題材選びも良かったと思いますが、展開や演出も本当にうまかったし、これをベン・アフレックが?と思うと、贔屓目でよりうまく感じられた。文句無しにおもしろかった。

また今回、役者としてもとても恰好良かった。髭と長めの髪で野暮ったい外見ながらも、目が使命感と正義感に溢れたようにきらきらしていた。ただ、その髭や長髪が、顔の輪郭を隠すのに役立っていて恰好良く見えたのでは、という説もあるようですが…。