『判決、ふたつの希望』
Posted by asuka at 12:52 PM
前回のアカデミー賞外国語映画賞にノミネート(レバノン初)(受賞は『ナチュラルウーマン』)。ダブル主演だと思われますが、その一人、ヤーセル役のカメル・エル=バシャがベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞(パレスチナ人初)。
監督、脚本のジアド・ドゥエイリは、クエンティン・タランティーノの『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』にアシスタントカメラマンとして参加していたという経歴の持ち主。
予告を見ただけだとわからなかったけれど、某ラジオで難民映画と紹介されていて、確かに難民問題も扱われている映画でした。
単なるご近所トラブルのようなところから、話が意外な方向へ転がっていく。
以下、ネタバレです。
最初はバルコニーから水が漏れていて、工事に支障が出るからどうにかしろと業者が注意をしに行ったら、住民であるトニーが聞く耳を持たないため、勝手に配管に繋ぐ工事をしていたら、それをハンマーで壊すという暴挙に出られてしまう。
直してやってるのにその態度はちょっとどうかしてるし、怒りがわいた。だから、工事の現場監督であるヤーセルが「クズ野郎」と発した時も当然だと思った。
けれど、これについて、ヤーセルが謝罪をしなかったことが発端となって話がどんどん大きくなって行く。
トニーの態度にはいちいちイライラしたけれど、それは、トニーがレバノン人で、ヤーセルがパレスチナ難民であることが原因のようだった。単に気難しい性格というわけではなかった。
しかも保守派でその中でも極右政党を支持しているようで、そうすると難民だというだけでちょっとしたことでも許せなくなってしまうのは、仕方がないとも言えないけれど、一概に悪いとも言い切れないのかもしれないと思ってしまった。
トニーは序盤に、妻に「ここは暑いから、あなたの実家に戻りましょうよ」と言われても、「貯金をしてこの家を買ったから実家には戻りたくない」と言っていた。これも、ただの頑固な生活かと思っていたけれど、それも、後半に進むに従ってその理由も明らかになる。トニー自身も子供のころに住んでいた村を追われた経験を持っていた。そうなると、映画を観ながらトニーのことを、こいつ横暴だな…と思っていたけれど、もう責められない。
映画のほとんどが法廷劇なんですが、それぞれの弁護士が事態をまとめて話し、さらに裁判長がそれをまとめてくれるので話の流れというか、レバノンで何が起こっていた(いる)のか、ひいては中東情勢までがとてもわかりやすい。
レバノンの映画を観たのはたぶん初めてだと思うし、何も知らなかったけれど、その国の内情を知ることができるのは外国の映画を観る醍醐味だと思う。
ただ、この映画は深刻な事態を深刻に描くドキュメンタリータッチのものというわけではなく、両者の弁護士が実は父娘というのが途中で明らかになったりと、ちょっとウェットな面もある。それが映画の観やすさになっているのも魅力だと思う。
ついには二人は大統領に呼ばれたりするんですが、そのあと、ヤーセルの車のエンジンがかからなくて困っている時に、車工場勤務のトニーが戻って来て直してあげたシーンで涙が出た。困った人を助けてあげるという、普遍的な行いをするシンプルなシーンである。
その人の背景を無視して、一人の人間としてなら、ちゃんと親切にしてあげられるのだ。
また、終盤、ヤーセルがわざと罵ってトニーに突き飛ばす機会を与えて、喧嘩両成敗というか、これでおあいこねという感じになる。不器用だけれど、いい方法だと思った。互いの気持ちが理解できる。
映画内では、終盤になると、事が大きくなりすぎて、二人よりも周辺が騒ぎすぎていた。もう、ただ二人の話ではなく、みんなが自分の話として怒ったり罵ったりしていた。
その人の国、宗教、政治派閥など、信じているものや所属している場所。それが相反するなら敵対してしまう。自分が正しいと信じているから主張をわかってもらいたい。わかってもらえなかったり、逆に罵られれば、争いが起きる。
けれど、一方向からだけでなく、その人の背景なども交えて事情を鑑みれば、理解できることもあるのかもしれない。
でも、国、宗教、政治派閥などはその人を形作ってるものだと思うし、アイデンティティでもあるだろうから、それを全部とっぱらえというのは無理な話だろう。
それに、集団になると、よりヒートアップするだろうし、なかなか難しい。
ただ、一概にどちらが悪いとは言えないということは覚えておいたほうがいいんだろうなとは思った。
アメリカだとトランプ支持者なんかは個人的には信じられないけど、彼らにも彼らなりの事情があるのだと思うと、それも一概に非難するわけにもいかない。
難しい問題で、双方の言い分がわかった上でどうにもならないことが多くて、何度も唸り声をあげながら観てました。
ただ、邦題に入っている“ふたつの希望”という言葉はとてもいいと思う。原題はフランス語タイトルL'insulte、英語も同じ意味でThe Insultということで、単なる“侮辱”になってしまうので。
映画内では丸く収まるが、映画の最初に『この映画は監督と脚本家の意見であり、レバノン政府の見解ではありません』という注意書きが出たことを思い出した。映画を観て、何かが片付いた気持ちになってしまったけれど、いまだに問題は解決されていないのだ。
『One Night,One Love/ ワンナイト、ワンラブ』
Posted by asuka at 4:20 PM
2012年公開。イギリスでは2011年公開。原題『You Instead』。
ルーク・トレッダウェイ目当てで観たんですが、監督は先日観た『最後の追跡』のデヴィッド・マッケンジーだった。
スコットランドの夏フェスが舞台。
ルーク演じるアダムはTHE MAKEというバンドをやっていて、夏フェスに出るべく会場を訪れるんですが、そこで、ガールズバンドと喧嘩になる。そこに現れた謎の男性に、音楽を通じて仲良くなれというようなことを言われ、ガールズバンドのモレロとアダムは手錠で繋がれてしまう…という内容。
ちょっと、最初から少女漫画みたいなんですが、展開も少女漫画だった。
仲が悪いから手錠で繋がれててもいちいち衝突するし、お互いに彼女も彼氏もいる。でも、モレロと一緒に仕方なくステージで演奏したことで心が通じ合う。アダムは彼女を振って、モレロに惹かれていくけれど、モレロは遊ばれていると思って相手にしないが、結局惹かれ合う。
『ブリジット・ジョーンズの日記』でも夜のグラストンベリーの様子を見て驚いたけれど、本作に出てくるスコットランドのフェスも夜は大概乱れてる。みんながみんな、夜の相手を探しているようだった。海外のフェスはそんな感じなのだろうか。
そして、手錠をはずす鍵を実は少し前に入手していたけれど黙っていたアダムはモレロを怒らせてしまう。けれど、ステージ上から、モレロの名前を呼びかけるんですね。この辺も、少女漫画っぽい。しかも、THE MAKEは思っていたよりも売れているバンドだった。一番大きいステージで演奏していた。音楽は80’Sっぽいエレクトロポップのような感じでした。その音楽性でそのステージ?とは思ってしまった。
それだけ人気だと、フェスの夜に女性と二人でうろうろしていても大丈夫だったのかなとも思った。それに、ライブ前のサイン会で、ファンガールたちがきゃっきゃ言っていたのに、ステージ上で恋人の名前を呼ぶなんて。しかもお客さんにも一緒に名前を呼んでくれと言っていたけれど、ファンガールたちも呼んだのだろうか。彼女たちの気持ちは…。モレロも現れて、後方からお客さんの上を通ってステージに送られていた。ファンガールたちの気持ちは…。あれだけお客さんがいたら、過激なファンもいそうなものだけれど…。
そして、ステージ上でキスをしてハッピーエンドという。
少女漫画だと思えばいいけれど、いろいろとうまくいきすぎる展開に思えてしまった。
どちらかというと、うまくいっていないTHE MAKEでキーボードを担当していたもう一人のメンバーとマネージャーのそれぞれの最悪な夜について描いてほしかった。ラブストーリーではなくなるし、音楽映画でもなくなるけれど。
映画自体、本当にフェスに潜入して5日間で撮ったとのこと。だから、ルーク・トレッダウェイがステージで歌ったんですね。お客さんたちもエキストラではなく、夏フェスに来ていた人らしい。他のバンドの演奏風景も少し映るし、最初の方は音楽ドキュメンタリーのようでもあった。でも、ちょっとストーリーがありきたりすぎたかなと思った。
『ミッドナイト・スペシャル』
Posted by asuka at 4:19 PM
2016年アメリカ公開。日本では2017年にDVDスルー。
監督は『MUD』、『ラビング』のジェフ・ニコルズ。原作があるものなのかと思っていたけれどないようで、脚本もジェフ・ニコルズらしい。
謎の力を持った少年を男性二人が連れ出して、それをカルト教団や国家安全保障局が追うという内容。少年はゴーグルを付けていて、なぜかと思ったけれどはずすと目が光って周囲を攻撃する。力を抑制するためだったらしい。
また、人工衛星を落としたりと力はかなり強そうだった。急に謎の言葉で話し始めて、ラジオを合わせるとまったく同じ内容が流れていたりもした。
結局、自分は『上の世界』から来てそこへ帰るのだと言い出す。宇宙人みたいなものだったようだ。
男性二人のうちの一人は父親、もう一人は父親の幼なじみだった。そして、母親と大人三人で少年に対する追跡を振り切りながら、帰るのをサポートする。
おもしろくなくはなかったけれど、ちょっと描き足りなかったかなと思った。逃げているシーンから始まるから、少年と親の平和だった頃の心の交流はあまり描かれていないから、いざ別れるとなっても、どれだけの仲だったのかよくわからない。特に、母親と少年はあまり近しい存在には見えなかった。
また、幼なじみもなぜそこまでしてサポートしてくれるのかよくわからなかった。父親とどの程度仲が良かったのだろうか。
含みを持たせたラストは良かったと思うんですが、少年の力についてもいまいち不明。不明でいいのかもしれないけど。できれば全6回くらいのテレビドラマにしてほしかった。
ただ、父親がマイケル・シャノン、幼なじみがジョエル・エドガートン、少年がジェイデン・リーバハー(『IT』の吃音の少年、ビル役)、母親がキルスティン・ダンスト、カルト教団の教祖がサム・シェパード、国家安全保障局の男性がアダム・ドライバーとキャストがすごく豪華で、全員とてもうまい。
特に、描かれていないけれど何かを捨てて決意して一緒に行動しているんだろうなと思わせるジョエル・エドガートンの物悲しさと強さを感じる演技が良かった。あと、アダム・ドライバーの弱気で情けなさそうだけれど優しく多分仕事ができるんだろうなと思わせる演技も良かった。彼らの話も連続ドラマだったらもっと詳しく描かれたはず…。
『アントマン&ワスプ』
Posted by asuka at 8:26 PM
2015年公開『アントマン』の続編。
監督は前作と同じペイトン・リード。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と同じく、シリーズで同じ監督だと世界観も同じになるのがよくわかった。(だから、GotGについては別の監督で続編というのはありえないと思っている)
MCU20作目。ですが、時系列は前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の少し前とのこと。MCU10周年ということで10の文字が浮かび上がり、他のシリーズにも想いを馳せた。
けれど、この映画自体は、MCUを追っていなくても、単体でも楽しめる。前作を観ていたほうがキャラクターに愛着はわくかと思いますが、本作からでも十分楽しい。
以下、ネタバレです。『インフィニティ・ウォー』のネタバレも含みます。
前作ではアントマンは小さくなるだけだったけれど、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にて大きくもなれることが明かされた。今回は大きくなる能力も存分に使われる。
前作は駄目な父親のスコットがヒーロー(アントマン)になって娘の信頼を取り戻す話だったと思う。
クライマックスでは量子世界へ行って、不可能と思われたそこからの帰還を成し遂げる。ハンクの妻も量子世界で行方不明になっており、ひょっとしたら帰還が望めるのでは…という話が出ていた。
今作は、ハンクの妻であり、ホープ(ワスプ)の母であるジャネットを探す話がメインです。だから、どちらかというとアントマン(スコット)よりは、ハンク親子がメインかなと思った。
他にも、スコットと娘のキャシーはもちろん、ビルとエイヴァも擬似ではあるけれど父娘のようで、全体的に親子愛がテーマだったと思う。
敵らしい敵は出てこない…というのは言い過ぎだけど、強力で極悪な所謂ヴィランは出てこない。
バーチは結局ただの金に汚い小狡い男だし、エイヴァもジャネットの力を利用しようとはしていても、元々は被害者だから、悪とも違う。
だから、戦い自体は殺してやろうとか殺されるといったものではなく、奪ったり奪い返したりがメインです。
ただ、そのバトルが自分も大きくなったり小さくなったりするし、出てくるもののサイズも自由自在に変えられるので観ていて愉快。
予告でもビルを縮ませてスーツケースのように運んだり、キティちゃんのペッツを投げつけてから大きくして障害物にしたりと、映像的に見応えがありそうだと思ったけど、そのようなものの連続だった。
カーチェイスもミニカーになったり、蜂になって敵の車に侵入して中で大きくなったりと一筋縄ではいかなかった。
海で大きくなってクジラと間違えられたり、スマホでばんばん写真を撮られているのもおもしろかった。
また、今回も蟻たちは手伝ってくれる。大量の蟻たちが出てくるけれど、海辺ではどんどんカモメに食べられてしまっていた…。でもこれも虫ゆえの特徴である。
バトルを純粋に楽しめたのも、生死が関わってなかったせいもあるかもしれない。
ただ、量子世界に行ったハンクがジャネットを見つけて連れて帰るというミッションは、どちらかが死ぬか、二人とも死んでしまうのではないかと思っていた。こちら二人がメインで、アントマンとワスプはサポートといった感じに思えた。
ちなみにここに、スコットの悪友三人組も加わっている。この三人の悪ふざけは前作から引き続き可愛かった。『ダークナイト』のシフ役でお馴染みのデヴィッド・ダストマルチャンは、個人的に出てくるだけで嬉しいのですが、マイケル・ペーニャが徹頭徹尾ずっと可愛い。愛されキャラです。また、前作にもあった、早口で過去を振り返るシーンもあって大満足。この三人のカラーがそのままなのは、同じ監督ならではだと思う。
それを言うなら、ポール・ラッドもです。スコットはGotGのピーター・クイルをもっとダメにして年を取らせたキャラだと思う。しかも、今回は見た感じだと主役ですらなかった。それでも、なぜか魅力的だし嫌いになれないのはポール・ラッドが演じているからだと思う。特に、ジャネットが憑依したあたりの、感動的なのになんとなくコントみたいな空気は絶妙だった。
本作は、これはこれで楽しく観られたからいいのですが、一つケチを付けるなら、アントマンとワスプの二人の共闘シーンがもっとあっても良かったかなとは思う。これはスコットのスーツが最後まで不調(やっぱり主役だとは思えない…)だったせいもあると思う。不調なせいで、娘の学校で中途半端なサイズに縮んでいたシーンは、デッドプールが下半身だけ赤ちゃんになっていたのと同じような気持ち悪さがあった…。スコットも自在にサイズを変えられたら、もっとまともに戦えたのかもしれない。
『シビル・ウォー』で、ホークアイの弓矢にアントマンが乗っていたけれど、あんな感じの斬新な共闘が観たかったとも思う。二人ともサイズを変えられたら、色々出来そう。次回に期待。
ハンクもジャネットも量子世界から帰ってくるし、エイヴァの体も治った。FBIに監視される期間も終わり、スコットとホープもいい雰囲気。
楽しく観られたし、これ以上のハッピーエンドってないと思っていた。完全に油断してました。
エンドロールで、スコットが量子世界に入っていき、普通の世界のハンク、ジャネット、ホープとコンタクトを取っていたんですが、急に音声が途切れる。
不思議に思っていたら、三人は塵のように消えてしまって…。
あー! 『インフィニティ・ウォー』とここで繋がってしまった!
かさぶたを無理やり剥がされて、爪でぐりぐりとやられたような感じだった。『インフィニティ・ウォー』と同じくなすすべなく泣くしかないようなつらさがまた訪れた。
だいぶ傷が癒えてきたと思ってたのに…。そうだった。世界は大変なことになっていた。
本作は時系列的には『インフィニティ・ウォー』の前ということは以前から言われていたが、『インフィニティ・ウォー』を観た後ではそりゃそうだろうと思った。『インフィニティ・ウォー』にアントマンは参加していなかったが、あの後の世界を一人(タイトルからするとワスプもいるのだろうから二人か)で背負っていくのはつらすぎるだろうと思っていた。
それに、前作『アントマン』はこぢんまりはしていても、クスッとくるし、親子愛が描かれている、誰が観てもおもしろい作品だった。『インフィニティ・ウォー』後の世界はどうしたってシリアスにならざるをえない。『アントマン』の世界とはかけ離れてしまう。
だから、本作はあくまでも『インフィニティ・ウォー』とは別次元での楽しい話なのかと思ってた。
違うのだ。『アントマン』もMCUなのだし、同じ世界線である。
繋がってしまったのはいいんだけど、スコットは量子世界に取り残されてしまっているけどどうなるのだろう。気になるし、もしかしたら何かキーになるのかもしれない。
クォンタム…ということは『ドクター・ストレンジ』…? それに、量子世界で、『ドクター・ストレンジ』に出てきた万華鏡のような映像も少し出てきた。何か関係があるのかもしれない。
つらいけれど、ますます『アベンジャーズ4』が楽しみになったことは間違いないです。
本作は単体の作品としても楽しめたし、引きでばっちり次作以降への興味も持続させる。
毎回思うけれど、MCUを追っていて良かったし、これからも追い続けるしかなくなった。
アメリカでは2016年公開。日本ではNetflixでの配信のみ。
テイラー・シェリダン脚本作で、彼が脚本を担当した『ボーダーライン』、『ウインド・リバー』とアメリカフロンティア三部作になるとのことなので観ました。
原題『Hell or High Water』。どんなことが起ころうとも、みたいな意味。
去年のアカデミー賞で作品賞、助演男優賞、編集賞、脚本賞にノミネート。邦題だとテキサスレンジャーのジェフ・ブリッジスが主役みたいに見えますが、助演男優賞にノミネートされているので、主役は兄弟だと思う。
兄弟を演じたのが、兄がベン・フォスター、弟がクリス・パイン。
兄弟が銀行強盗を…みたいなあらすじが書いてあったけれど、いきなり銀行強盗のシーンから始まるとは思わなかった。町の静かな朝の様子をカメラが長回しでとらえるオープニングは、少し『フロリダ・プロジェクト』のオープニングを思わせた。
イラクに行ったのになんの補助も出ないといった落書きがあったり、サブプライムローンの余波なのか、そのような看板が立っていたり。誰もが金に困っているようだった。
場所はテキサス州西部。テキサス州は東部はヒューストンなどがあり栄えているが、西部は貧しい地域のようだった。周囲に建物もない。
テキサスレンジャーも一般の人もカウボーイハットをかぶっていたので、カウボーイが多いのかもしれない。牧場は多そうだし、土地は広大そうだった。
兄弟が銀行強盗をしているけれど、兄は刑務所帰りと言っていたし、悪いことにも慣れているようだった。しかし、弟は銀行強盗などはしたことがないようだった。ただ、計画を立てたのは弟のようだった。弟の計画は慎重なものだったけれど、兄はその計画通りにはやらない。慣れていないことと、その杜撰さですぐに捕まってしまうのかと思ったけれどそうはならなかった。
兄弟を追うのが引退間近の老テキサスレンジャーとその相棒。相棒はメキシコ人とネイティブアメリカンの血を引いているらしく、老テキサスレンジャーから先住民ハラスメントというか、からかいを受けていた。おそらく、悪気はなさそうだけれど、あの地域に住んでいるオヤジは不謹慎ギャグを言いがちなのだろうか。
『ウインド・リバー』でもそうでしたが、銀行強盗が起こっても、盗まれた額が小さいし、死人も出てないとなればFBIなどは派遣されない。田舎の事件は地元で解決しろということらしい。しかし、これも『ウインド・リバー』でもそうでしたが、おそらく範囲が思っているよりも広い。アメリカ大陸の広大さはあまり想像がつかないけれど、地元任せだとなかなかうまくいかないのだと思う。
老テキサスレンジャーがジェフ・ブリッジスなのですが、相棒は『ウインド・リバー』にも出ていたギル・バーミンガム。
テキサス州は元々ネイティブアメリカンが住んでいた土地で、そこにいたネイティブアメリカンの資金源のバッファローを白人が虐殺したことで追いやられたらしい。ただ、ネイティブアメリカンに限ってテキサス州でカジノを開くことが認められていて、カジノは『現代のバッファロー』と呼ばれているらしい。このあたりの話も知らなかった。映画内に直接出てくる話ではないです。でも、盗んだ金をマネーロンダリングをするのにカジノが出てくるので、あれがそうだったのかもしれない。
映画の作りとして、何かが起こって悩んだ末に銀行強盗に踏み切るわけではなく、銀行強盗シーンから始まるので、事態が少しずつ明らかになっていく。
この映画で取り上げられているのはテキサス州から追い払われたネイティブアメリカンではなく、ホワイトトラッシュです。
母親は多額の借金を残して亡くなる。その借金も銀行に騙された形で…と言われていたので、サブプライム関連かなとも思ったが、あまり詳しくは語られない。借金を返せないと牧場も取り上げられてしまうが、石油が出ることがわかったので、それは阻止したい。そのための、兄弟での銀行強盗だった。
兄役にベン・フォスター。いかにも荒くれという役柄だったけれど、うまかった。刑務所帰りでたぶん人生にもう何も目的も望みもない。テキサスレンジャーが言うように本当に『強盗が好き』だったのかもしれない。どちらかというと、弟の銀行強盗を手伝ってあげたという感じである。
弟役がクリス・パイン。クリス・パインは今まで優等生というか、ハンサム役が多かったけれど、頭はいい役ではあると思うけれど、泥臭く、影を背負っている演技がとても上手かった。今まで特に演技が上手い俳優としては認識していなかったけれど、一気に好きになりました。
元々血の絆があって、母が亡くなったことでさらに絆は強まったと思うけれど、銀行強盗を一緒に行ったことで共犯者として、絆は一層強まっているように見えた。忘れられた土地で、後戻りのできないところまで来てしまった兄弟。ハッピーエンドは望めないのだろうと思って観ていた。
銀行で撃ち合いになり、弟は背中を撃たれる。弾は貫通していても、放っておいたら危険である。そこで、兄は弟だけ逃すんですよね。
たぶん、自分には未来はないけれど、せめて弟だけでも…と思ったのだろう。
別れ際に「愛してるぜ、トビー」、「僕も兄貴のこと愛してる」と真面目に言ったあとで軽口を叩いて、違う方向へ車を走らせるシーンが泣けた。たぶんもう、一生の別れだと覚悟をしていたのだろう。
逃げた兄は丘の上からライフルでテキサスレンジャーを撃つ。相棒を失った老テキサスレンジャーは怒り、裏側から兄を撃つ。悲しい連鎖である。
弟は逃げ切り、金も手に入れて、牧場と石油は守られたが、老テキサスレンジャーは勘が鋭く、まだ弟を怪しんでいた。
これも途中で明らかになることだけれど、弟には別れた妻と子供が二人いる。普通、映画だと別れた妻はしっかりものだったり綺麗だったりするものだけれど、本作の場合は、妻も貧しい生活を送っているようだった。そういう土地なのだ。子供二人と暮らしているが、弟は自分のためではなく、この子供たちに牧場というか石油を残したのだ。
怪しんでいたテキサスレンジャーは牧場に来て弟と対峙する。
弟も銃を持っていたし、もしかしたら、撃ち合いになったりするのかと思った。
弟がこのシーンで言うが、貧乏な親の元に生まれると、子供も貧乏になり、またその子供も…というように、貧困が感染するように広がっていく。そこから抜け出すためには、一攫千金を狙うしかないのだ。
牧場を売らなくてもよくなったのだし、子供に引き継ぐこともできて、一応は作戦はうまくいった。勘付いているのは老テキサスレンジャーだけで、彼が何も言わなければ、この事件は終わりである。
兄を殺したテキサスレンジャーが来ても、弟は撃たなかった。テキサスレンジャーはあの場面で元妻(お金が入ったせいか小綺麗になっていた)と子供達が来なかったら、弟を撃ったのだろうか。
老い先短い(相棒に「一年後に死んでる」と言っていたのが冗談なのか、本当に病気か何かだったのかわからない)、テキサスレンジャーを引退した自分と、目の前の弟ではなくその子供達の未来を天秤にかけた時に、やはり撃てないのではないだろうか。
撃たないまでも、弟を捕まえたら、子供達も貧困から抜け出せない。それはこの先、その子供の子供とずっと続いていくのだ。ここで一旦断ち切れば、子供達の未来はきっと変わるのだ。その辺の事情だって、あの場でずっとテキサスレンジャーを務めて来た男ならわかるはずだ。
ただ、自分の功績というか、許せないという気持ちや正義感というのは、老テキサスレンジャーはもう何年間も積み重ねて来たのだと思う。
それを、初めて見逃すのだと思うと、かなりぐっとくるものがある。
兄弟とテキサスレンジャーたち。互いに、兄を亡くし、相棒を亡くしている。しかも、兄が相棒を撃ち、テキサスレンジャーが兄を撃った。因縁の二人である。
最後の会話のシーンは息詰まるような緊張感がありながらも、物哀しくもある。
砂ぼこりの舞う乾燥した土地は、いかにも暮らしにくそうだし、貧困もそれこそ感染するように蔓延しているだろう。
『ウインド・リバー』と同じく、描かれているのはこぼれ落ちた人々、見捨てられた人々である。
『ウインド・リバー』
Posted by asuka at 8:31 PM
『ボーダーライン』の脚本のテイラー・シェリダンが監督・脚本。その時点で気づくべきだったんですが、“なぜここで少女ばかりが殺されるのか”というコピーから猟奇連続殺人ものだと勝手に思っていたのですが、もっと重く、深く、考えさせられる内容だった。ニック・ケイヴの音楽も合っている。
主演はジェレミー・レナーとエリザベス・オルセン。「この扉を出たら君もアベンジャーズだ」のホークアイとスカーレット・ウィッチコンビ。
以下、ネタバレです。
舞台はワイオミング州ウインド・リバー・カントリー。冬は雪深く、厳しい土地のようだった。ここにインディアン保留地が舞台。私はインディアン保留地というのも知らなかったんですが、先住民が集められた場所がアメリカ国内に300箇所以上あるらしい。
本作で描かれている限り、牛がピューマに襲われたり、周囲には何もなかったり、雪もかなり降るようだったりと、住むのも大変そうな場所だった。
ジェレミー・レナー演じる コリーはここで野生動物被害に対応するハンターをしている。どうやら妻との関係がうまくいっていないようで、妻はこの場所を離れるらしい。観ているうちに明らかになるのだが、妻はネイティヴ・アメリカンの血をひいていて、白人のコリーはここに婿入りしたようだ。
コリーは野生動物の捕獲途中に少女の遺体を見つける。裸足、口から血が出ていて暴行の痕もあるという異常な状況。口からの血は、寒さで肺が傷つき、出血したとのこと。夜はマイナス30度になるらしい。そして、都会からやって来たFBIのジェーン(エリザベス・オルセン)と地元の保安官と協力して捜査を進めていくことになる。
コリーも娘を同じように亡くしていて、しかも遺体は野生動物に食われてしまっていてもう検視も何もできない状況だったことがあとで明らかになる。だから、今回遺体を発見した時のコリーは、どんな気持ちだったのか想像するとやりきれない。今回こそ、どうしても犯人を捕まえたかっただろう。
ジェーンはこの土地のことを何も知らないから、いわば観客と同じ目線であり案内役である。最初に訪れた時は自動車も冬仕様ではなかったし、服装も薄着だった。見くびっている。でも、この場所の土地の異常さは捜査をするうちに明らかになっていき、私もそれを知っていく。あまりにも無知だった。
雪山で見つかった遺体の少女の兄はヤク中ということで、悪いやつとも付き合いがあって、映画を観ながら、ああその辺りなのかなと思う。でも、違った。ただ、この映画の場合は違ったが、保留地でのドラッグが蔓延も根深い問題らしい。
そして、捜査班は殺された(というか、暴行は受けていても、直接の死因は凍死)少女の彼氏がいた掘削所へ乗り込む。
捜査の進展具合がよくわからないし、FBIはジェーン 1人だけで、お手伝いは来たものの権限は持たず、犯人が捕まえられたら運とも言っていたし、もしかして捕まらないのでは…と思い出していた。
しかし、掘削員たちの暮らすトレイラーハウスの扉をジェーンがノックする。中では髭の男性がシャワーを浴びている。そのままの姿で扉を開くと、扉の外には“殺された”少女が。一瞬にして過去に場面転換し、事件の種明かしが始まった。うまい。
シャワーを浴びていた男性がジョン・バーンサルだったため、こいつが犯人か!と思ってしまいました。
二人がトレイラーハウスで会っていたところに、他の掘削員たちが帰ってくる。酔っていて、暴行をしたということだった。少女はここから裸足で逃げる。
彼氏も退役軍人のようだったが、退役軍人は職が見つからないらしいから、仕方なくここで働いていたのかもしれない。それでも、少女と一緒に、抜け出して新しい場所に行こうと話している姿は、たとえ夢物語だとしても幸せそうだった。
ここで働く他の白人たちも訳ありなのだろうとは思う。周囲に何もない、女もいない、楽しみがない。それはわかるが、だからレイプをしていいというわけはない。それに、インディアン保留地の近くで掘削をしているということは、追いやられた先住民たちをさらに追いやる行為でもある。
コリーは、逃げた犯人を追い、少女と同じように裸足で放置をする。「道へ出れば助かるが、お前など100メートルくらいしか走れないだろう」と言っていたけれど、本当にそれくらいしか走れず、すぐに肺から血を出していた。
少女は10キロ走ったのだ。それだけ、生きたいという強い意志があったのに、結局死んでしまったことを思うと本当にやりきれない。
親は自分のことを責めていたし、その気持ちもわかるけれど、少女のことは映画内でほとんど描かれないけれど、10キロ走って逃げたという情報だけで、性格までわかる。このあたりも描き方がうまいと思った。
たぶん本当にしっかり者で、親たちも信用していたのだと思う。
コリーとジェーンの病室での会話のシーン。「生き残るか、諦めるかしかない」というコリーの言葉が重い。普通に、のうのうと暮らしていては死んでしまうのだ。
保留地の中では、死因はガンより殺人の方が多いらしい。少女は、大人になるための通過儀礼のようにしてレイプをされる。そして、映画の最後には、『失踪した女性の人数は把握されていない』というテロップが出る。
やりきれない。こんなことなら、まだ猟奇殺人もののほうが救いがあった。
最近、ホワイトトラッシュを題材とした映画が多いけれど、本作はホワイトトラッシュとは違うけれど、こぼれ落ちた人々、見捨てられた人々、取り残された人々を描いているという点では共通していると思う。
そんな状況になっていることを、まったく知らなかった。知ることができただけでも、観てよかったです。
『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』
Posted by asuka at 11:33 PM
2008年公開『マンマ・ミーア!』の10 年ぶりの続編。
前作を観てはいましたが、楽しかったという印象のみで、内容をほぼ忘れていました。たぶん、前作を観てからのほうが楽しめると思うので、復習をしておけばよかったと思った。また、本作を観ると絶対に前作が観たくなる。
監督はオル・パーカー。『マリー・ゴールドホテルで会いましょう』シリーズの脚本の方。
以下、ネタバレです。
まず、前作の主人公であるメリル・ストリープ演じるドナが亡くなっていて、前作ってそんな結末だったっけ?と思ったけれど、違った。本作は映画公開と同じく、前作より10年後設定とのこと。そして、ドナが亡くなったのは去年と言っていたので、前作では描かれていないですね。
娘のソフィは母の残したホテルを改築し、そのオープンパーティの準備を進めている。
その合間に母の昔の出来事が展開される。
とはいえ、過去の話ばかりというわけではなく、現在と半々くらいです。現在のソフィを演じるアマンダ・サイフリッド他、ドミニク・クーパー、すちゃらか男3人組(ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラん・スカルスガルド)、ダイナモスの2人(クリスティーン・バランスキー、ジュリー・ウォルターズ)と現在版キャストは続投。
過去のドナを演じるのがリリー・ジェームス。元気で奔放なドナがとても可愛い。ドナと出会う若いハリー、ビル、サムもそれぞれ可愛い。歌ももちろんうまいです。ハリー役の ヒュー・スキナーは少しマット・スミスに似ていた。『レ・ミゼラブル』に出ていたみたいなので、そこでアマンダ・サイフリッドと共演済みなのかな。レストランでの二人のダンスが楽しかった。ビル役のジョシュ・ディランはトム・グリン=カーニーと同じ学校(ギルドホール音楽演劇学校)で年も近い友人らしく、彼目当てでもありました。トム・グリン=カーニーもミュージカル映画に出てほしい。サム役は『戦火の馬』などのジェレミー・アーヴァイン。ちょっと情けない3人組…というかドナが魅力的すぎて3人組が情けなく見えてしまうのかもしれない。
彼らの他に若いダイナモスの2人も登場。彼女たちはいい友人であり、強い。ふられっぱなしでも、ドナを恨むことはしない。
現在の2人は、恰好良い男性を見れば「静まれ、私のヴァギナ」と言っていたりと相変わらず、口が悪い。でも恰好いいし、やはり可愛い。若い頃のキャストも、現在のキャストも全員可愛いのだ。
それに全員、良いキャラクターである。悩んだりはするけれど、人を恨まずにあっけらかんとしていて、いやなことがあっても、憂さ晴らしにケーキを食べたりお酒を飲めば忘れてしまう。だから、男3人ともどろどろの関係にはならないし、ダイナモス2人とも仲良しのままだ。これもドナの性格もあるのかもしれない。
映画を観ていて、嫌な気分になることがまったくない。
ソフィは、ホテルのオープンのパーティをやろうとしたけれど、嵐が来てめちゃくちゃになってしまう。飛行機も飛ばず、ゲストも来ない。島にいるサムはサポートをしてくれているけれど、ほかの父親2人は仕事でそれぞれ忙しい。
ご都合主義といえばそうなのだけれど、ハリーは長い会議を切り上げるし、ビルはスピーチに替え玉を立てる。双子だった。本来なら双子はご法度ですが。
また、フェリー乗り場で、過去に助けた男性に会って、恩返しをしてもらう。漁師たちが船を出してくれて、皆でパーティへ向かうのだ。
本当ならこのあたりの脚本にケチをつけたくなるところだけれど、今回は楽しく観てしまった。
そして、島に派手な船がやってくる。
コリン・ファースとステラン・スカルスガルドが船首でタイタニックポーズをやってるのが可愛かった。
そして、ここで満を辞してダンシングクイーンが流れる。
コリン・ファースもちゃんと踊っていて可愛い。人がたくさんいる中、コリン・ファースを目で追ってしまった。
コリン・ファースはこの前のシーンでも、椅子に縛られたまま海に落とされてずぶ濡れになったりと、散々だけれど可愛い。
また、パーティでの現在ダイナモス2人と亡くなったドナの代わりに現在ソフィの3人で歌うのも良かった。衣装も最高。過去シーンのダイナモスが店でマンマ・ミーアを歌うシーンも良かった。
ダイナモス関連のシーンは過去も現在も全部良かった。この映画はいいシーンが多すぎる。
メリル・ストリープに関しては、『ブリジット・ジョーンズの日記3』のヒュー・グラントも写真だけだけだったことを思い出した。きっと契約関係で写真だけになってしまったのだろうなと思っていた。でも、もし予算の関係ならば、ちょっとシェールの部分がおまけ的な要素としては長いと思ったので、シェールをばっさり削ってはどうか…などと思っていた。しかし、最後の最後、ソフィが赤ちゃんを教会に洗礼のために連れていくシーンで、ちゃんとメリル・ストリープが出てきた。これがすごく効果的でした。
出ないと思っていたのが最後に出てきて一曲歌う、しかもすごくうまい。それに、今までは写真で動かなかった母が動き、ソフィとの母娘のデュエットが実現する。
一緒に歌っていた曲は本来ならばラブソングなのだろうか。しっかりと母娘や絆の歌になっていた。
最初にドナが死んでいるということが明らかにされることで、全体的に楽しく能天気ではあるけれど、感傷的な空気が密かにずっと漂っていた。しかも、もちろんソフィにとっては母、男たち3人にとっては恋人、ダイナモスの2人にとっては友人ということで、ただでさえ喪失感は大きいけれど、前作の主人公であり、メリル・ストリープでもあるということで、失ったものをより大きく見せていた。
それが映画最後にきっちり出てくるのは、真打ち登場というか、出てくると出てこないでは映画の印象がだいぶ変わる。
ドナというか、メリル・ストリープが出てこなくても、ドナは話に出てくるし、常にみんなドナのことを考えているし、若いドナは出てきている。作品の中にずっとドナはいた。メリル・ストリープの出演がカメオ的になってしまったのは予算の関係もあるのかもしれないけれど、作り自体が実はとてもうまいのではないか。
また、エンドロール前の、歌のシーンが最高に楽しい。カーテンコールですね。登場人物が全員出てきて歌う。ここまで観て、全員のことが好きになっているので楽しかった。だから、過去、現在関係なく、全員勢揃いの海外版ポスターがとても良い。
過去の若いハリーがノリノリで煽りに行くのに、現在のハリーが踊らないぞ!といった感じにむすっとしている場面も楽しかった。
ABBAの曲がいいのはもちろんのこと。ミュージカル映画で曲が悪かったらどうしようもない。でも、それだけではなく、キャラクターが本当に良くて、観ているだけでにこにこしてしまった。とても好きな映画になってしまった。
大ヒット映画の続編、しかも10年ぶりともなれば、つまらなそうとかやめときゃいいのにと思ってしまっていたが、ちゃんと前作ありきに徹していたし、リスペクトを感じた。
また、エンドロール後にギリシャの税関職員の男性の小ネタがあるんですが、これも本当に最高でした。本編中でも印象的な動きを見せていたけれど、最後の最後にもにっこりさせられた。
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