『ナショナル・シアター・ライブ:ジュリアス・シーザー』
Posted by asuka at 9:28 PM
ナショナル・シアター・ライブでの上映。シェイクスピア原作の有名な戯曲ですが、「ブルータス、お前もか」くらいしか知らなかった。シーザー役にデヴィッド・コールダー、ブルータス役にベン・ウィショー、マーク・アントニー役にデヴィッド・モリッシー。
キャシアスが女性(ミシェル・フェアリー。『ゲーム・オブ・スローンズ』のスターク家の母、キャトリン・スターク役)になっていたり、配役にはアジア系などの有色人種も多く、多様性に配慮されていた。
舞台演出にニコラス・ハイトナー。
以下、ネタバレです。
服装がスーツやTシャツなど現代のものだったり、戦闘のシーンで防弾チョッキを着ていたり、シーザーを討つシーンは拳銃だったりと、舞台が現代的ではあるけれど、流れは原作に忠実のようである。また、セリフの言い回しが古くさい部分があって、名言的なものが多い舞台だし、それも原作のままなのだと思う。
シーザーを討つシーンは、ブルータスの一派が次々に銃を撃つ。原作でも次々に刺していたシーン。死んだシーザーの血で、一派は手を赤く染める。そして、「千載ののちまでもわれわれのこの壮烈な場面はくり返し演じられるであろう、いまだ生まれぬ国々において、いまだ知られざる国語によって」という名言が出る。それを観ているのは、メタ的というか、不思議な気持ちになった。
このシーンで、シーザーを慕うマーク・アントニーが現れるんですが、ブルータス一派と握手をするシーンが印象的だった。敵役と握手をし、しかも、手は慕っていた人物の血で赤く染まる。しかし、ここでブルータスの着ていた白いシャツにマーク・アントニーの赤い手形がべったりと付く。これが不気味な呪いのようになっていて良かった。
また、この後のローマの群衆を前にしてのマーク・アントニーの演説も良かった。デヴィッド・モリッシー、うまかった。やはり、演説シーンがうまい俳優さんには簡単にほだされてしまう。
あと、最初のバンドのシーンで、背中に“マーク・アントニー”と書かれているジャージで出て来て、背中を指差して“俺がマーク・アントニーです!”みたいにやるのがおもしろかった。
この『ジュリアス・シーザー』、一番おもしろいのは普通の座席もあるのですが、アリーナ席には椅子がない。立ち見でステージの周りを囲んでいる。それで、全部のシーンではないけれど、ローマ人の群衆役として、舞台に参加しちゃう。
オープニングもいきなりバンド演奏から始まる。小さいステージがあってその周りに観客が立っているから、まるでライブハウスのよう。演奏されるのも、オアシスの『Rock 'n' Roll Star』や『Eye of the Tiger』など、所謂ノれる曲。それで、ジュリアス・シーザーTシャツを着ている人がいたり、プラカードを持ってる人がいたり、標語がステージセットに掲げられていて、何かと思ったら、シーザーの凱旋を祝うパーティの一環だった。
またマーク・アントニーの演説はシーザーの葬式なのですが、客席には写真が黒枠で囲まれた遺影を掲げている人もいた。「ブルータスの家を燃やせ!」など叫んでいるのは役者さんだったので、プラカードや遺影などはもしかしたら役者さんが持っていたのかもしれない。それでも、そこに集った全員の総意のように思えた。ローマ人の群衆が棺を囲むシーンも、全員悲しんでいるように見えて、ブルータス一派が窮地に立たされているのがよくわかった。
舞台効果としてよくできていたと思う。
また、棺を囲むシーンもそうなんですが、お客さんたちは結構自在に動かされていて、暗いシーンで全体的に一歩後ろに下げるとか、少し間違えたら将棋倒しになりそうだった。
上がってくるステージの形もいろいろなパターンがあり、その上に客がいても怪我をしてしまう。おそらくスタッフの連携が完璧に取れていたのだと思う。
アリーナで観るのも楽しそうだったが、背が低いので一番後ろだと見えなさそう。通常の座席で見た後でアリーナで観てみたかった。
calendar
ver0.2 by バッド
about
- asuka
- 映画中心に感想。Twitterで書いたことのまとめです。 旧作についてはネタバレ考慮していませんのでお気をつけ下さい。
Popular posts
-
フランスCanal+、イギリスSkyの共同制作のドラマ。トンネルってタイトルはドーバー海峡のトンネルのことだった。もともとはデンマークとスウェーデンの共同制作で『The Bridge』というドラマだったらしい。 見たのは2013年のシリーズ1(全10話)。来年シーズン3が放映され...
-
2007年公開。サム・ライミ版。1から3まで観ていません。いきなり3から観るのはどうかと思ったけれど、やっぱりわからない部分がいくつかあったのでまたちゃんと観たいです。 以下、内容に触れます。 ジェームズ・フランコと戦ってるけどなんで戦っているのかわからなかった。少し...
-
アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、歌曲賞ノミネート、脚色賞受賞。その他の様々な賞にノミネートされていました。 以下、ネタバレです。 北イタリアの別荘に夏の間訪れている家族の元に、一人の青年が訪れる。家族の父親が教授で、その青年は教え子である。 まず舞台の北イタリアの夏の風景が素晴...
-
原題『Birdsong』。Wikipediaにはカタカナのバードソングで項目が作られているので、『愛の記憶はさえずりとともに』というのは、WOWOWが独自で付けた邦題なのかもしれない。 エディ・レッドメイン主演で約90分、前後編の二回のBBCドラマ。 もっと昔なのかと思っ...
-
2007年公開。このところ、ダニー・ ボイル監督作品を連続で観てますが、 こんなSFを撮っているとは知らなかった。しかも、 主演がキリアン・マーフィー。でも、考えてみればキリアンは『 28日後…』でも主演だった。 映像面でのこだわりは相変わらず感じられました。 宇宙船のシールド...
-
カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したこの作品、先行上映にて観てきました。 是枝監督といえば、テレビドラマ 『ゴーイング マイ ホーム』が記憶に新しい。テレビで毎週見られるのがすごく贅沢に思えるドラマに仕上がっていた。家族の面倒くささと優しさ、切っても切れない絆の深さがあたたか...
-
ほぼ半月あけて後編が公開。(前編の感想は こちら ) 以下、ネタバレです。 流れ自体は前編と同じ。ジョーがこれまであったことを話し、それに対して、セリグマン(今回はちゃんと名前が出てきた。ステラン・スカルガルドが演じている男性)が素っ頓狂なあいづちをうつ、と...
-
160万部を売り上げている小説が原作とのこと。 映画が始まる前に、“エンドロール後に第二章の予告編が流れます”というような注意書きが流れ、この映画を最後まで観ても決着がつかないんだ…と思いながらの観賞になってしまった。 でも、続編があるのを知らずに最後まで観て決着がつかない...
-
2000年公開。曲や映像づくりなど、とてもダニー・ ボイルらしい映画だった。 幻のビーチに辿り着くまでの話なのかと思っていたけれど、 かなり序盤でビーチには辿り着いてしまう。 そこから物語が展開していくということは、 ビーチがただの天国ではなかったということ。 一人旅の若者が...
-
フランソワ・オゾン監督。 すごい美少年が出ているというので観に行きました。 生徒に絶望している教師は、 一人の生徒の文章力とその内容にひかれる。 他人の家族を執拗に観察している作文は次第にエスカレートし、 教師もその内容が気になり…というストーリー。 映画のスチルやこの内容か...
Powered by Blogger.
Powered by WordPress
©
Holy cow! - Designed by Matt, Blogger templates by Blog and Web.
Powered by Blogger.
Powered by Blogger.
0 comments: