『スパイダーマン:スパイダーバース』
Posted by asuka at 11:17 PM
アカデミー賞、ゴールデングローブ賞はもちろん、他の様々な映画賞の長編アニメーション部門を総ナメした本作だが、観て納得した。
『ヴェノム』のおまけ映像として流れた時にはこんな作品だとは思わなかった。
ただのCGアニメではなく、かといってぬるぬる動く作画アニメとも違う。まったく新しい表現で、アニメ映画で今になってこんなに新しいものが出てくるのかと驚いた。
脚本にフィル・ロードの名前があり、製作総指揮にもフィル&ミラーの名前があるからか、ストーリーも安心安定の仕上がり。
以下、ネタバレです。
アニメなんですが、元がアメコミである。そのために、オノマトペが文字で記されていて、コミックが動いているようになっているシーンが多くあった。
スパイダーセンスは、トム・ホランドのピーター・パーカーは腕の毛がヒュンと立ち上がっていましたが、本作では顔の周りにひょろひょろした線で示される。彼らが何かを感じていると、一目で直感的にわかる。
また、キャラが登場時に静止画になって集中線がババンと付いていたこともあった。それは静止画になったので余計に漫画の一コマのようになっていたが、他にも一時停止をしたら漫画のコマのように見えるであろうシーンが多数あった。
また本作は異次元のスパイダーマンが集まってくるので、その次元の違いによって作画が違う。その違いによって動かし方も違うと聞いていたけれど、観るまではぴんと来なかった。しかし、スパイダーハムとピーター・パーカーの並びを見てなるほどと思った。まるで、アニメの世界に迷い込んだ実写の人間のように見えた。スパイダーハムはカートゥーン調なのでよりアニメっぽい動きに、ピーター・パーカーはより実写っぽい動きになった結果だと思う。
異次元のスパイダーマンが多数出てくるということで、『アルティメット・スパイダーマン ウェブ・ウォーリアーズ』の61話から64話(62話から65話)の“異次元のスパイダーマン”のようになるのかなと思っていた。しかし、『アルティメット・スパイダーマン』ではスパイダーマンが異次元を移動して、スパイダーマン自身がCGやら白黒やらカートゥーンに変わる。本作は向こうから来るから逆に来た側が世界に馴染まず動きが一人一人で変わる。
ラストバトルのカラフルさはアニメでしか表せない世界だった。列車が縦横無尽に飛び回り、黄色ピンクの色彩に目を奪われる。
最近、人間ドラマ的な映画を観ることが多かったので、久々にIMAXで観るべき、3Dで観るべき映画だったと思う。
映画館でしか体験できない。まさに体験だったのだ。
ストーリーとして、フィル・ロードっぽいなと思ったのは、自分を信じられずビルの屋上から跳べなくて、おとなしく階段を降りて行って低いビルに移動という単なるコメディリリーフかと思ったものがあとで効いてくるあたりだ。
また、おじさんの女の子口説き落としテクの肩ポンの伏線回収もフィル・ロードっぽかった。おじさんの声がいやにセクシーだなと思ったらマハーシャラ・アリだった…。
「自分を信じて跳べ」というのは『インセプション』でも出てきたんですが、これはLeap of Faith.というもので繋がりがありそう。
マイルスがスパイダーマンに蜘蛛の糸で縛り付けられますが、それを破った瞬間がこの映画の主人公が殻を破る瞬間だと思う。脚本のお手本のようでわかりやすいのも特徴だろう。
また、行きたくない進学校で一人ぼっちだったマイルスに友達ができて、親とも和解する。ストーリー開始時より、ちゃんと一歩前進する。
マイルスだけではなく、スパイダーマン・ノワール(ニコラス・ケイジだったとは)が白黒の世界にルービックキューブを持ち帰るというエピソードだけでも一歩踏み出したのがわかる。自堕落な生活をしていたピーター・パーカーがMJの元へ行くのも良かった。みんな身近な人を亡くしているという点で共通していた。けれど、悲しみを乗り越えて一歩踏み出すのだ。
やはりロード&ミラーの関わっているストーリーは安心して見られるほど完璧なものだなと思っていたら、最後に、『困ってる人がいたら助けるのがヒーローだ』というスタン・リーの言葉が出て、その次に、『一人じゃないと教えてくれてありがとう』というスタン・リーとスティーヴ・ディッコ宛の言葉が出るという…。
最後にこんなメッセージを出すのはずるい。不意打ちで泣かされた。
ただ、ちょっとしんみりしかけたところでエンドロール最後におまけ映像。
スパイダーマン2099という未来のスパイダーマンがアース67へ送られる。アース67というのは1967年のスパイダーマンらしく、昔風のアニメで、2099もカクカクした動きのアニメーションになってしまう。
エンドロールでオスカー・アイザックの名前を見て驚いたけれど、2099役でした。
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