『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』



普通の高校生4人がゲームの世界に入り込んでしまい…?というストーリー。

出演はドウェイン・ジョンソン、カレン・ギラン、ジャック・ブラックなど。いずれもゲーム世界のほうです。

以下、ネタバレです。







ジョックとナード(アメリカのスクールカーストで一番上と下の方)という今では宿題をやらせるくらいの接点しかなくなってしまった幼なじみのフリッジとスペンサー、自撮り好きのギャルのベサニーとガリ勉女子マーサという、普通ならバラバラの4人が居残りで集められるあたり、『ブレックファスト・クラブ』や『パワーレンジャー』を思い出した。

現実世界の4人はベサニーは可愛くはあるけれど、高校の中ではモテるだろうなというくらいの控えめな可愛さ。ジョックのフリッジだって体は大きいけれど、高校生の範囲は出ていない。いずれも普通の子たちである。

この4人がゲーム世界に入るとドウェイン・ジョンソン、カレン・ギラン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハートという、キャラクターっぽい見た目に変わるのがいかにもゲームの中っぽくて、おもしろい。筋肉、スタイル抜群美女、ころころとしたふくよかな中年男性、背の低い黒人の4人である。年齢の面だけでなく、普通の高校にいたら目立って仕方がない。

また、ナードのスペンサーが筋肉になり、ガリ勉マーサがスタイル抜群美女になり、自撮りのベサニーがころころした中年男性になり、ジョックのフリッジは背が低くなってしまうからそれぞれギャップがあって、このギャップを使ったギャグはゲーム世界でずっと貫かれている。

それを思うと、ゲーム世界を演じた4人の俳優はいつもとは違う役柄だったのだと思うし、見た目と中身のギャップを演じねばならずに大変だったのではないかと思うがいずれもうまい。元の姿にしか見えなくなってくる。

宝石を決まった場所にはめ込んだらゴールで元の世界に戻れます、3回まで死ねますというシンプルなルール。途中、敵やジャングルの動物が襲ってくる。

予想外のことは特に何も起こらない。3回まで死ねるというルールも余裕で、最初のほうなんて戯れに崖から突き落としたりするし、わざと死ぬことで危機を乗り切るシーンもある。命は軽視されているけど、ゲームの裏ワザと考えるとわざと死ぬというのもありっちゃありかなとは思う。

敵も、見た目が凶悪なわりにそこまで強くない。どちらかというと、4人がきゃあきゃあ言いながら試行錯誤する様子を見てるのが楽しい。

ジャック・ブラック(中身は自撮りのベサニー)が男になった自分の下半身に興味津々なシーンとか、ドウェイン・ジョンソンの特技のキメ顔とか、何度も出てきてくだらないと思っていても笑ってしまう(ベサニーは元の世界に戻るときにも下半身を見て「Later,dick.」と言っていて笑った)。
カレン・ギラン(中身はガリ勉マーサ)の誘惑シーンもスタイル抜群なのに、ぎこちなくて可愛かった。

カレン・ギランに関しては、ドクター・フーのコンパニオンだったこともあり、特別な思いで見てたんですが、ドウェイン・ジョンソンといい雰囲気になって、もしかしたら2人のキスシーンがあったりするんですか?とドキドキしながら見ていたら、中身がナードとガリ勉だからお互いファーストキスで知識もないからうまくできないという。そうくるとは思わなかった。可愛かったです。

ストーリーが予想の範囲を出ない緩いものでも、観ていてその単純さにとても好感が持てたし、おもしろかった。ちょっとトイレに行ったところで複雑なことやどんでん返しは起こらないので話にもついていけると思う。

ただ、1996年にゲームに吸い込まれたアレックス関連だけは切なかった。5人目の仲間ですが、現実世界では20年経っているが本人は気づいていない。私が大好物の、一人だけ時がズレてしまうパターンです。現実世界のほうでは20年行方不明だから、父親も疲弊してしまって、家も荒れ放題になっている。

ゲームの中では同年齢くらいだし、ジャック・ブラック(中身はベサニー)も淡い恋心を抱いていたけれど、現実世界に戻ると彼だけ20年、時がズレていた。ゲームに吸い込まれた時点に戻るというルールだったらしい。だから、4人は元に戻っても高校生で一緒だけれど、アレックスに会いに行くと、アレックスは20年前にもう帰ってきていて、子供も生まれている。
ベサニーとアレックスの恋は成就はしなかったけれど(そこまで想い合っていたわけでもなかったっぽい…)、アレックスが子供に命の恩人であるベサニーという名前をつけたというエピソードには泣いてしまった。アレックスは現実世界に帰ってきて一人だったけれど、ベサニーのことはちゃんとおぼえていたのだ。やはりこの、時がズレてしまうタイプの話に弱いし、グッときました。

妙に良いことを言いつつジュマンジの置いてある部屋を4人に片付けさせた校長がラスボスかな?とかアレックスが裏切るのかな?などと考えながら観たけれど、そんなどんでん返しは一切なし。残酷描写もないし、追い詰められる場面もそれほどない。本当にゆるいし単純。でも楽しく観られます。不快な気持ちにならない。

高校生4人がゲーム世界に行き、成長して、現実世界に帰ってきて仲良くなるという、所謂、行きて帰りし物語の形式をとっているのもわかりやすい。爽やかな青春もの。誰にでもおすすめできる。けれど、単純なのにおもしろいとか、話が予想できても楽しいとか、誰にでもおすすめできるというのはある意味すごいことでもあると思う。


0 comments:

Post a Comment