『セックス・エデュケーション』(シーズン1)



Netflixオリジナルドラマ。
童貞の息子とセックス・セラピストの母親の話と聞いた時にはエロメインのキワモノ枠かなとも思ったんですが、母子の関係がメインではなく、そちらを描きつつも、学校生活がメインになっていた。

ドラマ開始から学生同士のセックスシーンだし、どうだろうとも思ったんですが、キャラクターの性格が一辺倒ではなく、みんながそれぞれ悩んでいる。学園青春群像劇だった。
一話見ただけで、キャラクター全員が好きになってしまい、あっという間に数話続けて見てしまったけれど、全8話だと途中で知って、終わってしまう=キャラクターたちと別れるのが寂しくなってしまい、後半はちびちび見た。けれど、シーズン2の制作が発表されたため、安心して最後まで見ました。

主人公オーティスを演じるのはエイサ・バターフィールド。童貞であり、勃起もできないためオナニーすらできない。
友人のエリックはゲイなんですが、別に二人がどうこうなるわけではないのもいい。あくまでも、友人。あやしくなる部分もない。
学園のはぐれものメイヴはヤリマンという噂を立てられていて、実際経験は豊富そうだけれど、頭がよく、ちゃんと彼氏としかセックスしない。
彼氏は水泳の選手で生徒会長候補。母親二人に育てられているが、厳しさに息苦しさも感じている。エリックはゲイですが、母親たちはレズビアン。他にも学園にゲイの子がいる(この子も別にエリックと付き合うことはない)(エリックは仲良くなりたそうだった)、レズビアンカップルもいる。カミングアウトの難しさなどは描かれず、隠すこともせず、別に、普通にそこにいる。やはり最近のドラマという感じ。特にNetflixは多様性の要素を積極的に取り入れていると思う。

ストーリーはオーティスとメイヴが学園の子たちの性の悩みを聞いて解決するというもの。大きな流れはあるけれど、基本的に一話完結。

一話で乱暴者に見えて巨根を気にしていたアダムは、父親が校長先生であり、自分は落ちこぼれなので関係がうまくいっていない。その影の姿というのは、視聴者しか見ていない。学園では乱暴者のお山の大将だし、ゲイであるエリックには特にいじめを働く。これが寂しさゆえだというのは、テレビを見ている人はわかるんですけどね…。だから、アダムのことも嫌いになれない。

エリックの誕生日にオーティスは一緒に映画を観に行こうとしていて、それが、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』なのも良かった。しかも、二人ともヘドウィグのコスプレをしていて可愛い。
きっと今までなら二人でコスプレで映画を観て、キャーキャー楽しく過ごして帰ってきたのだろう。でも、オーティスはメイヴとの予定を優先してしまう。
二人なら楽しいコスプレも一人だとバカみたいに見える。しかも、カバンを盗まれるなど踏んだり蹴ったり。そこでオーティスと喧嘩をするんですが、学校主催のダンスパーティーで仲直りをする。その曲が、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』内の屈指の名曲であり代表曲の、『The Origin Of Love』なのも泣いた。大人になった時にこの時を振り返った二人の中で占める『ヘドウィグ』の役割はきっと大きいものなのだろう。

エリックも別にオーティスのことは男性として好きというわけではないけれど、メイヴと仲良くなってしまったし、友達が離れて行ってしまったように感じていた。
もう、これは序盤からなんですが、アダムとエリックが付き合えばいいのではないかと思っていた。孤独な魂同士が惹かれ合い寄り添うのが好きなのもあるからだ。アダムはホモフォビアっぽかったけれど、ホモフォビアとホモセクシャルって表裏一体だというし…。妙に意識してるし…。
と思っていたら、最終話でやっと、待ってました。居残り二人組で結ばれた。関係を持ってしまった後で、アダムは「誰にも言うな」と言っていたので衝動的なものだったのかなと思ったけど、その後、授業で隣りの席に座った時に、膝と膝、指と指をかすかに触れ合わせていて、ぼろぼろに泣きました。やっと孤独な魂たちが救われた!
それなのに、アダムは軍隊に入れられてしまい、学校は辞めさせられてしまう。父(校長)が業を煮やしたのだ。そりゃないよ…と思ったが、二人がハッピーになるなら、わざわざ最終話までじらさないもんな…とも思った。「遠くに行きたくない」とアダムは学校への未練を示していたが、それはエリックのことも考えていたと思う。それに、連れて行かれるアダムをエリックは目撃してしまうし、目撃されたのをアダムも認識していた。辛すぎる。お願いだからシーズン2でもう一度出会わせてほしい。でもシーズン1で少しの間だけでも心を通わせるシーンがあって良かった。

オーティスはオーティスで複雑なんですが、メイヴのことを好きになるけれど、メイヴ側は心許せる友達だと思っている。でも一話の最初では勃起ができなかったのが、メイヴを好きになって夢精する。
処女だけどセックスに興味津々の女の子がオーティスに言い寄って、いざセックスという時に、オーティスはパニック症状に陥る。これは後半なんですが、勃起できないのはどうやら、幼少期に父親が母ではない女性とセックスするのを見てしまったせいもありそうだった。
そんな中で母がちょっかいをかけている男性の娘からアプローチを受ける。オーティスがやっとその子の想いに答えようとしたところで、メイヴがオーティスへの想いへ気づく。メイヴはオーティスがキスしているのを見てしまい、何も言わずに去るところでS1が終わる。
もしかしたら、オーティスがメイヴとセックスをして終わるのかと思ったが、そうではなかった。そこまでは進まない。でも、オーティスはキスを思い出して、勃起することができた。一話のオープニングが勃起できずに悩んでいるところだった。つまり、オーティスが勃起できるようになるまでの話だったのだ。
これは下ネタではなくて、問題があって勃起できなかったのだから、8話を通して問題が解決したりオーティスが成長した結果、勃起できるようになったのである。問題解決や成長というのは普通のドラマでよく描かれることで、本作はたまたまそれが勃起になぞらえられていただけだ。よくできている。
ただ、射精するところまでいったかどうかは描かれないんですよね。射精できて初めて問題が完全に解決するのだ。だから、まだ中途半端である。あくまでもS2へ続く、なのだ。楽しみ。


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