『X-MEN:ダーク・フェニックス』



一応これで過去シリーズが終わりとのことだけど、それにしては…と思ってしまった。
監督はサイモン・キンバーグ。



以下、ネタバレです。






観たいものが観られなかったことで文句を言うのもおかしいかもしれないけれど、本当ならば、原点回帰というか、人間を信じたいチャールズと過激派ミュータントのエリックの対立と、でも根本では考えが一緒だし、ミュータントとして思うことも同じだから、どこか寄り添う部分もあり…というのが観たかった。最後なのだし。

本作はジーンについての話です。チャールズとエリックは主役ではない。そもそもの部分として、これが納得できなかった。シリーズ最後でなければまだいいけれど、最後なら二人を中心にしてほしかった。
序盤はチャールズ側での話なので、エリックがなかなか出てこない。二人が映画内で揃うことがなかったらどうしようと考えてしまった。しばらく経ってから出てくる。

ジーンは謎の力を手に入れて、その力が制御できなくて、何者かにそそのかされるけれど、その何者も謎の力もなんだかわからない。なんだかわからないものと、エリックとチャールズたちは戦い続ける。これ、最後まで何と戦ってるのかわからなかったんですが、原作を知っていたらわかるのだろうか。
なんだかわからない敵は感情がないことが長所と言っていたけれど、その役にジェシカ・チャステインをあてるのはうまいと思ったし、感情が無さそうな役としてソフィー・ターナーをあてるのも良かった。二人が並んでいると同じ系統なのがよくわかる。けれどやはり、ソフィー・ターナーは、今はゲームオブスローンズのサンサの印象が強すぎた。

ジーンは力を制御できないけれど、チャールズの元も離れるし、エリックにも受け入れられない。力が制御できない中でレイヴンを殺してしまうけれど、レイヴンはチャールズにとってもエリックにとっても、またハンクにとっても大切な人なんですよね。これは対比として描いてるのかはわからなかったけれど、大切にされるレイヴンと大切にされない(どころか、目の敵にされる)ジーンの違いが浮き彫りになってしまっていて可哀想だったし、ちょっとジーンの味方になってしまった。彼女のことも受け入れてあげてよ、と思った。

謎のなんだかわからない敵も、ジーンを受け入れるほどではなかったし、とにかく目的がわからない。エネルギー云々と言っていたけれど、それで何をしたいのかもよくわからなかった。私の星が滅ぼされたとか言ってたから宇宙人で同じように地球を滅ぼすつもりだったのだろうか。

あと、個人的にはバトルにクイックシルバーが連れて行ってもらえなくて、例の周りはスローなのに彼だけがひょいひょい動くスマートなお馴染みのあれがなかったのが残念。二回やったししつこいと言われたのかもしれないけど、最後だしやってほしかった。
エリックが父親で…みたいな話もどうなったのか不明。あれは前作で終わったことなのだろうか。とにかく、エリックとチャールズ自身の話がほとんど出てこなかった。

それなのに、最後のチェスはどういうことなのだろう。二人がチェスしている空を火の鳥が飛んできれいに終わらせたつもりなのかもしれないけど、全然うまくない。ROMA気取りかと思ってしまった。
そもそも、チェスのくだりが取ってつけというか、こちらへの目配せとしか感じられなかった。こんなの付けるならもっと本編をどうにかしてほしかった。本編で二人の話が出てこないのに、打ち上げだけで仲良くされても。

本作はもうどうにもならないけど、あと一作つくって二人が中心の話が見たかった。

良かった点は、マグニートーが地下鉄を地下から引っ張り出すところと、狭い列車の中でのバトルと、列車の後ろの車両をメキメキと折り曲げるところ。

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