『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』



『X-MEN2』の脚本などのマイケル・ドハティ監督。
単体の作品だと思っていましたが、レジェンダリー・ピクチャーズのモンスターバースシリーズ3作目とのこと。

以下、ネタバレです。







モンスターバース1作目の『GODZILLA ゴジラ』に出ていた芹沢博士(渡辺謙)とグレアム博士(サリー・ホーキンス)が出てきて、繋がっているのを知った。また、2作目の『キングコング:髑髏島の巨神』もエンドロールの最後にゴジラの話がちらりと出てきたので、その繋がりとのこと。
ただ、本作は髑髏島の話は出てくるけれど、キングコングは出てきません。巨大生物がたくさん出てきて主要なもの以外はわからないものもあったので、髑髏島にいた何かは出てきていたかもしれない。

本作は巨大モンスター同士のぶつかり合いが見せ場であることは間違いないし、その面で話題になっていた。人間ドラマが薄いと言われていたけれどそんなことはなかった。
最初にマディソンという少女が別居しているのか遠くにいる父に『母さんが心配』とメールを送っていたけれど、母は見た感じ心配されるほど変なところはなかった。仕事も普通にできているようだった。
しかし、この母の目的が、地球を汚染しているのは人間だから、モンスターに浄化してもらおうという、所謂サノス的なもの。それで、巨大モンスターを次々に蘇らせていく。

蘇らせることはできても人間にできることは限られている。放射能の力で瀕死のゴジラにパワーを与えたことで彼が味方になりはしたけれど、基本的に言うことを聞くタイプではない。また、モンスターというよりは巨大なだけで動物なのだから共存しないととも言われていた。

本作の主要なモンスターはゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラである。そのどれもが登場シーン、バトルシーンどれをとってもいちいち恰好いい。
『パシフィック・リム』でも見得を切るようなポージングが凝っていて、デルトロは本当に巨大ロボが好きなんだな…と思ったりしたのですが、本作も監督の巨大モンスター愛が存分に感じられる。
キングギドラは三つの首それぞれに違うモーションアクターがついていたというのもいい話。密かに名前がついてるとのことですが、性格の違いもわかった。もっと見たかった。
ラドンはスネ夫とかロキとか、おかしなあだ名がついていて観る前から気になっていたけれど、ラストでこれかー!というシーンがあった。お前死んだはずでは…というところからの、ゴジラ様にへこへこする感じは笑ってしまった。
モスラについてはどのシーンも神々しく描かれていた。羽ばたくと光の粉が舞う。チェン博士が双子であることも示唆されて、モスラのことはぼんやりとしか知らなくても、設定から愛を感じた。また、あのテーマ曲も使われます。
ゴジラはシンゴジラのような筋肉質ではなくずんぐりむっくり体型ですが、重量感があっていい。背びれが順番に青く輝いたり、形が変わるわけではないけれど赤く輝くのも恰好良かった。キングギドラの首を丸呑みしているのも、強い!怖い!といった感じで良かった。もちろんテーマ曲は良い場面で使われる。

また、『パシフィック・リム』っぽいと思ったもう一つの要因が人間側から巨大モンスターたちの戦いを見ているようなカメラワークです。もちろん、ゴジラとキングギドラがプロレス的に戦っている様子も恰好いいけれど、人間の主要キャラが逃げてる後ろですごいでかいのがやりあってて砂埃が飛んできたりというのは臨場感や迫力があった。
あと、予告でも使われていた、マディソンが不敵に笑うシーンは、キングギドラにやられそうになっているマディソンを助けるような形でゴジラが現れたシーンでゴジラを見ての笑みだった。恐怖を感じながらも、虚勢を張りながら、よく来たわねと歓迎するように強がる笑み。いろんな感情が内包されていてうまい。マディソンを演じたのがミリー・ボビー・ブラウン。映画は今回初だけれど、『ストレンジャー・シングス』に出ています。
ここのゴジラはもちろんマディソンを助けようと思ったわけではなく(キングコングとは違う)、王気取りのキングギドラを倒そうとしただけだとは思うけれど、さながらピンチに駆けつけるヒーローでした。

単純に人間対モンスターというよりは、モンスターたちの戦いは人間など気にしてないし、人間同士の意見は対立していても、モンスターの前ではなすすべがない。
中でも何度も言われていたけれど、モンスターたちは神であり、人間たちがどうにかできるような存在ではないのだ… というモンスター至上主義は監督の意見でもあるのだろう。おもしろかったです。

0 comments:

Post a Comment