『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』



トム・ホランドがスパイダーマンを演じるようになってからの二作目。だけれど、『アベンジャーズ』シリーズにも出てきていたから、二作目というのが意外に感じてしまった。監督は前作『ホームカミング』に引き続き、ジョン・ワッツ。
また、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の直接的な続きになっていた。そのため、前のスパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)と、前の前のスパイダーマン(トビー・マグワイア)のように、スパイダーマンだけで観ることができないのはどうかと思う。

以下、ネタバレです。










あの壮大な『エンドゲーム』のラストに続くということで、どうなるのかと思っていた。結果として、その部分がとてもうまかった。
ピーターが通っている学校の生徒が作った、今回の出来事の最中に命を落としたヒーローたちの追悼ビデオが流される。
生徒が作ったものなのでチープで、作った生徒たちもあまり事の重要性がわかっていなさそうだった。
でも、この少し笑える感じをオープニングに持ってくることによって、作品のトーンを決めていたり、湿っぽくなりすぎないような作りになっていて、よく考えられていると思った。私たちの作品に臨むスタンスも決められる。
町のそこかしこにはアイアンマンを偲んだものが残されていたようだったが、最初にアイアンマンのグラフィカルアートを見せられていたら、終始めそめそしながら観ていたと思う。
また、エンドゲームには市民が出てこないという話だったが、本作で市民の様子が描かれていた。なんとなく、私たちはヒーローたちを近くで見すぎていたのを感じた。一般の市民たちの感覚がわかりやすい。適度にヒーローとの間に距離がある。

また、指パッチンで消えていた人たちは5年間、年をとらないというルール説明があった。初耳でした。でもさして物語上は重要ではなかった。

『エンドゲーム』の直接の続編であり、青春映画であり、ヒーロー映画でもある。それぞれの要素の詰め込み方が絶妙なバランスだったのもうまかった。
でも、なぜか物足りなさが残ってしまった。よく考えてみたらその正体は、圧倒的な喪失感だった。
今までがトニー・スタークやアイアンマンでもってたというわけではなくて、彼の存在が消えたことで寂しさを感じたのだ。ここにいないのだとやっと実感した。

本作は新生アベンジャーズを作るのに模索している様子も描かれていた。
ピーターはトニーのことを尊敬してるから受け継ぎたいとは思っている。
でも、まだ16歳なのだ。彼が担うには重すぎる。アベンジャーズに声をかけられたのも最近の話ではないか。
それに、普通の生活を捨てるには早すぎる。大人は彼をせっついていたし、ピーターも葛藤していたが、そんなにはやく大人にならなくてもいいと思う。

ピーターは両親を亡くしている。このシリーズのメイおばさんは世話を焼いてくれていても、どうも親代わりとは思えない。
ニック・フューリーもだめだった。今回中身が違ったけれど、本物はどうだろう?
今回はハッピーが一番親っぽく見えた。
特に、〝レッドツェッペリン〟をバックにトニーの遺した機械をすらすら操るピーターを見て面影を感じてホロリとしているシーンは、そのハッピーを見てこちらもホロリとした。ツェッペリンとピーターは言っていたが、実際にはAC/DC。トニーだしそりゃそう。

ミステリオは、ジェイク・ジレンホールだし、最初から悪役だと思ってたのでそれほど意外さはない。
でも、バーのような場所での種明かしシーンはさすがのジェイク・ジレンホールで恐れ入りました。あんな変な格好で普通のバーにいて大丈夫なの?と思っていたらそういうことだったか。

でも、あんな風にホログラムを駆使されたら、なんでもありになっちゃうのでは…。と思ったけれど、現代の映画のVFX批判の意味もあるのではという意見も見てなるほどと思った。
原作を知らないからわからないけれど、前回のスパイダーマンもやはりトニーを逆恨みする形で敵になっていて同じタイプだった。トニーの敵の多さがうかがえるが同じパターンなのはどうかと思った。

ただ、ドローンを使った空中戦は素晴らしかった。飛ぶもの(スパイダーマン)対飛ぶもの(ドローン)なので、3Dと相性が良さそうだった。けど2Dで観てしまった。奥行きも感じられそうだった。
『スパイダーバース』のラスト付近の戦いを思い出したけど、スパイダーマンはどれもこんなものなのかもしれない。

ゼンデイヤはどのシーンでも可愛く美しく格好良かった。最後、スパイダーマンに掴まって町を移動するシーンは役ではなく本当にゼンデイヤ自身が怖がったり面白がったりしているようだった。撮影方法が気になる。

ちなみに本作はニック・フューリーと一緒にマリア・ヒルがたくさん出てきて、彼女が好きなので嬉しかった。けど、最後で思わず、あー!と言いそうになってしまった。変身されていただけだった。
ニック・フューリーの目にあからさまな猫の爪あとが付いていたけれど、『キャプテン・マーベル』後からかな。
南国っぽいところで休んでいたけれど、ついタヒチを思い出してしまいつらくなった。

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