『英国王のスピーチ』でアカデミー作品賞、監督賞を受賞したトム・フーパー監督作品。 以下、ネタバレです。






 ネタバレといっても、ストーリーは誰もが子どもの頃に読書感想文の一つも書いているであろう『ああ無情』なので、特に言うことはないです。

ミュージカル映画であり、ほとんど歌でした。ミュージカル映画が嫌いなわけではないし、むしろ好きなくらいなので、セリフも歌というのは別に気にならなかった。俳優さんたちも全員歌が上手かったです。
ただ、その歌のシーンほとんどで、歌っている俳優さんの顔が正面からとらえられていたため、俳優さんそれぞれのミュージックビデオのようになってしまっている。または、俳優さんののど自慢大会、課題曲レ・ミゼラブルといった感じ。
歌を別撮りせずに、演技の延長でそのまま歌うというのがこの映画の特徴らしいので、歌う表情を撮りたい気持ちもわかる。 もちろん感情をこめて歌う姿を映すことで伝わってくるものもあって、アン・ハサウェイが歌う『夢やぶれて』は、だからこそ心に響くのだと思う。ただ、他の人についても同じように延々と映されると飽きてしまう。カメラの動きが少なくて単調になっていた。
 舞台ならいいと思う。本物のミュージカルならば、歌う姿や表情のみで心を揺さぶらなければいけないだろう。でも、これは映画だし、映画としてどうなんだろうと思ってしまった。こうゆうのも表現の仕方の一つなんだろうけど、あまりにも実験的すぎるし、他の映画と並べて比べられない。
 衣装や背景も良かったのだから、役者さん一人一人だけでなく、全体を見たかった。

 ただ、観た日に寝るときや、次の日も歌が頭の中をぐるぐる回り続けていたので、やはり名曲揃いだし歌がしっかりと自分の中に刻み込まれたのを感じた。
 それから、ヘレナ・ボナム=カーターはもう演じるキャラが決まりつつあるようで。ティム・バートンもトム・フーパーも彼女のことなんだと思ってるのか。ただ、変人役ではあるけれど、監督らの起用に愛があるのがわかっておもしろい。


2002年公開。若いライアン・ゴズリングが見られます。

『完全犯罪クラブ』というから複数人いるのかと思ったら二人だけだった。 ライアン・ゴズリングと一緒に犯罪を企てる俳優さん、なんか見たことあると思ったらマイケル・ピットだった。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のトミー・ノーシスです。ヘドウィグが2001年公開なので、翌年ですね。
ちなみに、今作もヘドウィグも、吹き替えは両方とも石田彰でした。専属の声優がついていて、それが石田彰であるあたり、マイケル・ピットの将来性が買われていたんだと思いますが、結局いまいち鳴かず飛ばず。プラダの2012年春夏のモデルをやったみたいでその写真がえらく恰好いいので、今からでも間に合うはず。 マイケル・ピットの出演作を眺めていたら、『ヴィレッジ』にも出ていたらしく驚いた。まったく気づかなかった。『ヴィレッジ』はジェシー・アイゼンバーグも出ていたらしいけど、こちらも気づかなかった…。

ライアン・ゴズリングがボンボンでなんでもできるモテモテ役、マイケル・ピットが内向的な秀才役。モテモテが秀才にひどく執着していて気になったのですが、元になった実際の事件の犯人二人組は同性愛関係にあったらしい。なるほど。 二人を追い詰める女刑事役がサンドラ・ブロックなんですが、ここでの共演をきっかけにライアン・ゴズリングと交際していたらしい。この頃だとライアン・ゴズリングはまだそれほど有名じゃなかったと思うんですが、見る目がありますね。しかも、16歳下っていう…。

『ヴィレッジ』


2004年公開。世界観は好きでした。
外界とは遮断された小さな村と不気味な言い伝え。不穏な空気が流れていて、一体、何が起こるんだろうとわくわく待っていたら、結構最初のほうで村に住む怪物が実際に姿を現して、ぽかんとしてしまった。なぜか二足歩行で、着ぐるみ感満載の安っぽさ…と思っていたら、本当に着ぐるみだった。そこから話が考えていなかったほうへ進んでいった。
もっとどっぷりホラーにしてくれて良かったのに、結局哀しい人間ドラマだった。それだとしても、もっとどうにかなったんじゃないかと思ってしまう。続きをもとめたくなってしまう尻つぼみ感。
着ぐるみなら着ぐるみでいい。けれど、本当にそれだけというのがさみしい。森には実は本物が居た!というような怖さが欲しかった。大きい狼とかその程度でもいいから。
あと、ホアキン・フェニックス、もっと活躍してほしかった。序盤は恰好いいのに、後半で離脱してしまう。エイドリアン・ブロディのキャラクターについても、もう一ひねり欲しかった。
 すべてにおいて、Aかと思ったらBだった、で終わってしまう。Aかと思ったらB…かと思ったらC!みたいな感じに最後にどーんと驚かせて欲しかったし、驚かせてくれるのかと思っていた。


007に続き、また旧作をよくわからないまま鑑賞しました。
よくわからないというか、だいぶ前から今作の予告編は映画館で流れていたんですが、『ロード・オブ・ザ・リング』の外伝というか前日譚みたいな話だと知ったのは最近だった。一作も観てませんし、原作も読んでない。
主役がマーティン・フリーマンでベネディクト・カンバーバッチも声で出演となったら『SHERLOCK』ファンのための映画なのかと思っていた。 以下、ネタバレです。







 イライジャ・ウッドがフロドという名前で主人公だというのは知っていた。それだけです。だから、予告編の最初で「My dear Frodo.」と語られるときに気づけばよかった。 イライジャ・ウッド、今作の最初のほうにも出てきましたが、肌が真っ白く透き通るようで、天使みたいな美しさだったんですが、LotRでもそうだったんだろうか?
 旧作を観てないために、基本設定がなにもわからず、いろいろと勘違いをしていた。 まず、手をばたばたさせたり小首をかしげたりと、マーティンがとても可愛かったんですが、これはホビット種族の属性によるものだそうで。無邪気、おもてなし好き、戦争嫌いなどの平和的な種族らしい。
 また、最初に出てきた老ビルボが「60年前の冒険の話」云々と言っていたので、一体、マーティンは何歳のビルボを演じているのだろう?老ビルボが80いくつとして20代かな、マーティンの年齢は41歳だけど可愛いから許されるのかな、などと思っていたんですが、ホビット族自体の寿命が長く、最初のシーンはビルボの111歳の誕生会やるところだったらしい。じゃあ、マーティンは年相応だった…。
 また、途中で出会ったモンスター?となぞなぞ対決をするシーンがあるんですが、そのゴラムというキャラクターがどうやら重要だったらしい。映画を観終わったあとに売店に行ったらグッズがたくさん並んでいたし、ロケ地であるニュージーランドの空港には大きなゴラムが飾られているらしい。キーアイテムであろう指輪もここで出てくる。旧作と何かしら繋がってくるシーンなんだろう。 少し恐ろしいところがあるシーンなので敵だと思い込んでいるんですが、あのグッズ展開からすると、もしかして仲間になったりするのかもしれない。 そして、どこかの国でのプレミアのレッドカーペットの模様を見ていたら、ゴラム役の方も出てきていた。あの声は機械で変換しているのかと思ったら、そのまま喋っていたので驚いた。喋るだけでなく、モーションキャプチャーもやっているらしい。アンディ・サーキスさん、少し顔がゴラムに似ている。
 このビルボとゴラムのなぞなぞ対決シーンは、あまり動きがないのですが、カメラが二人を囲むように動き、長まわしで撮られている。緊迫感のあるやりとりで見ごたえがあった。

 次々といろんなクリーチャーが出てきて、それを倒していくので、『タイタンの戦い』や『タイタンの逆襲』を思い出した。逆襲よりもはっきりとクリーチャーの姿を見せてくれていたのは嬉しい。ただ、上映時間2時間50分にしては、話自体はあんまり前に進んだ感じはなかった。旅に出て、ビルボとドワーフたちの間に信頼関係が築かれるまで。三部作の一作目なのでこんなもんなのかもしれないけれど。
 あと、ガンダルフが強すぎる。ピンチに陥ってガンダルフが助けに来るシーンが何回も出てきて、戦いのシーンでガンダルフがいないと、どうせガンダルフがやっつけてくれるだろうと先が予想できてしまった。
 ドワーフたちがビルボの家に押しかけてくる序盤は愉快だった。3Dで観ましたが、本当に皿が飛んでくるようだった。そして、そのあとのはなれ山の歌が印象的。予告でも何度も聞きましたが、あらためて頭に残るし、本編中の各所で使われるし、エンディングもこの歌だった。頭に残る。

 三部作の二作目は2013年12月らしい。それまでにはLotRを観て、少し世界観を勉強しようと思います。 それと、今回、バッチさんはネクロマンサーの声役だったんですが、いまいちよくわからず。ドラゴンのスマウグ役でもあるらしく、二作目のサブタイトルが“スマウグの荒らし場”なので準主役ではないかと期待してます。

 今作はHFR(High Frame Rate)という新しい形式で撮影されたらしく、せっかくなのでそれに対応している上映館で観てきました。通常1秒24フレームのところを倍の48フレームで撮っているのでより滑らかに、リアルに表現できるとのこと。
 通常の3Dで観ていないので比較はできないのでHFR 3Dのみの感想ですが、最初の穴の中にいる薄暗いシーンではあまりよくわからなかったんですが、外に出て一気に明るくなったときに、驚いて字幕読んでられなくなるくらい画面に見入ってしまった。いつもの3Dでは考えられないくらいの明るさだったし、緑の葉一つ一つがくっきり見えた。
 ゴブリンのアジトのシーンは、その広さを示すためか遠くから撮っていたけれど、細かいところまでしっかりと映っていた。ただ、情報量が多すぎて、少し疲れる感じはした。 色が本当に鮮やかで綺麗ではあるけれど、気持ち悪いくらいパキパキしているので少しわざとらしくも見えた。コントっぽいというが、逆に安っぽく見えてしまうというか。
 あと、風景を映すときにカメラが後ろ向きに動くことがあって、動く乗り物に進行方向と逆向きに座っているときのようになって、ちょっと酔った。これも3Dの臨場感のせいなのかもしれない。
 通路のすぐ後ろの席にしたんですが、目の端に通路に立ち止まってる人がいるのが見えて、何してるんだろうあの人と思ってそっち向いたら、画面の端に、手前側に映ってるトーリンだったので驚いた。奥行きというよりは飛び出す3Dでした。


1994年公開。公開当時にとても好きで、VHSのソフトを買い、原作の『夜明けのヴァンパイア』も読みました。

 久しぶりに観たけれど、俳優さんが美形揃い。まず、インタビュアー役のクリスチャン・スレーターがいい。本当はリバー・フェニックスが演じる役だったそうですが、彼も相当いいです。メガネに腕まくりのワイシャツが良く似合ってる。
 ブラッド・ピットも若くて、はかなげで思いつめたような表情が綺麗です。現在のブラピから考えると、いくら白塗りでカラーコンタクトを入れたところで物憂げな美青年役は想像できないけれど、あれは若さでしょう。
 そして、やっぱりトム・クルーズがとても恰好良い。衣装やヘアスタイルやメイク、それに痩せているせいかもしれないけれど、それまでアメリカンでカラッとした印象だったトムが、見事に美形のヴァンパイアになっている。ポスターやジャケットに使われているセピア色っぽいイメージも綺麗で、もともとはこれが気になって観ることにしたのでした。ストーリーではなく、完全にヴィジュアルから入った。

 ストーリーは、改めて観てみて、こんなに少女漫画っぽかったかと思った。綺麗な男性たちが華美な衣装に身を包んでいて、屋敷などの装飾もゴテゴテしている。 その中で、吸血鬼には性別がないのではないかと思うくらい、レスタト(トム・クルーズ)はルイ(ブラッド・ピット)のことを好き好き綺麗と言い続けてる。少女のヴァンパイア(キルスティン・ダンスト! これも驚いた)のことをレスタトは「私とルイの娘」と言っていたし、ルイがこの子に執着すると、あからさまに嫉妬していた。あとから出てくるアーマンド(アントニオ・バンデラス)もルイに一目惚れしていた。
 また、ヴァンパイアもの特有の、吸血シーンにおける死と隣り合わせのエロティシズムも備えている。吸っている側が欲望を満たしている間、吸われている側も気持ち良さそうな顔をしている。お耽美に徹しています。

 それで、すっかり忘れていたんですが、ラスト、車で逃げようとするインタビュアーが後部座席にいたレスタトに噛まれたところで思い出した。ラストが最高だった。
 倒れたインタビュアーの代わりに運転席に座ったレスタトが、ビルの合間をドライブしながら、カーステでガンズをかけちゃうっていう。いままでの流れが完全に無視されて面食らう。お耽美を一気にかなぐり捨てる様が痛快。そのまま、エンドロールもガンズです。続編ではレスタトがロックスターになるっていう奇想天外な展開が待ってるんですが、おそらくそれの布石ですね。
 続編は映画化されてないものだと思い込んでいたんですが、されてた(『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』)。でも、レスタトを演じているのがトム・クルーズではないです。残念。

007シリーズはほとんど観たことがありません。007の新作を観に行ったというよりは、主演のダニエル・クレイグ贔屓での鑑賞。これが007らしいのかどうかは置いておいていいならば、とてもおもしろかった。 以下、ネタバレです。










 『カジノ・ロワイヤル』、『慰めの報酬』と観てみての共通しての感想は「007っぽくないな」ということだった。今回もそこは共通しています。ただ、007シリーズ自体を観ているわけではないから、私が考えている007っぽさが間違っているのかもしれない。
 何かっぽいというならば、最初の追いかけっこはボーンシリーズ、ボンド一人ではなくサポートチームで戦うあたりがミッション:インポッシブル(というよりはゴースト・プロトコル)、敵とボンドとの関係はダークナイトを思い出した。
 ボーンっぽさといっても、逃げる側ではなく追いかける側です。冒頭、屋根の上でのバイクに乗っての追跡劇、電車の上でのショベルカーを橋の代わりに使うなどのやりとりは、アクションとしてはすごいのにやりすぎ感がほとんどギャグのようになっていた。そして、緊張感あふれるやりとりは仲間からの誤射によって、唐突に終わる。
 水に落ちていくボンドと、アデルによるムード溢れる主題歌、水中での甘美な悪夢のような映像が合っていて、とても恰好良かった。ミュージックビデオのようでした。

 凝ったオープニングでしたが、他の部分でも映像美にこだわりが見られた。上海の高層ビルのシーンではネオンとクラゲの映像が妖しく美しかった。それをバックに殴り合う男たちのシルエット。銃が発射されるとその閃光で一瞬だけ姿が浮かび上がるのも効果的だった。シルヴァが捕らえられた近未来的なデザインの牢獄もスマート。シルヴァのいた廃墟のような島は軍艦島だったらしい。スコットランドの荒涼たる景色も素晴らしい。

 今回の007が前作前々作と違う点として、魅力的なキャラクターがたくさん出てくるというところが挙げられると思う。ハビエル・バルデムが演じる敵役のシルヴァはかなり濃いキャラだった。少しおばさんのような喋り方で物腰が柔らかいのに、Mの前で感情を爆発させる。演技がうまいので、シルヴァの言うことも一理あると思ってしまい、終盤のスカイフォールのシーンではどちらかというとボンドよりもシルヴァに感情移入してしまった。母親のように恋人のように慕ってきたMに裏切られたら、こうなってしまうのも仕方ない。泣ける展開だった。

 シルヴァがボンドにシンパシーを感じている点は、ジョーカーとバットマンの関係に似ていた。Mという存在を間に置いての表裏一体。お前も一歩間違えたらこっち側だろう、むしろこちら側に来いよと誘う様などが『ダークナイト』を彷彿させる。私が『ダークナイト』好きだから考えすぎなのかと思っていたら、サム・メンデス監督自身が「『ダークナイト』から影響を受けた」とインタビューで話しているので、関係なくもなさそう。MI6とは別のところで犯罪を犯している敵をとっちめるという話ではなく、MI6内部に、更に心理的にも深く食い込んでくるタイプなのもまたいい。
 敵以外にも、ボンドをサポートする周りのキャラクターたちも良かった。特に、Qが可愛かった。なで肩でひょろっとしたメガネで、一見頼りなさそうだけれど、天才的な技術を持っている。「ボンド」と名前で呼ぶのもいい。まったく物怖じしないふてぶてしい態度をとりつつも、サポート態勢が完璧。Qを演じたベン・ウィショーの他の出演作を眺めていたら、『レイヤー・ケーキ』に出ててびっくりしたんですが、役名を見て更にびっくり。シドニー役でした。(以下で『レイヤー・ケーキ』のネタバレあり)

 『レイヤー・ケーキ』で、主人公(ダニエル・クレイグ)はシドニー(ベン・ウィショー)の彼女を寝取るが、ラストでシドニーに撃たれてしまう。あの二人がこの映画ではこんな役を…。同じ俳優さんたちの作品ごとの関係性の違いがおもしろい。

 同じくサポート役のイヴも良かった。出会いが最悪で、ボンドが色気を出しても、すれすれのところでかわす。男女の関係になりそうでならないところが良かった。ジェームズ・ボンドと言うと、とにかく手がはやいイメージがあるけれど、彼女は少し違った存在なのだなと思った。
  ラスト付近で、“マニーペニー”という名前を意味ありげに明かしたときに映画館内がざわっとなったのですが、それも、007に疎いせいで理由がわからなかった。Mの歴代の秘書の名前なんですね。それじゃあ、なおさら男女になってしまっては駄目なのだ。一回きりで終わらない、次に続ける仲間でいるためには、すれすれに止めておいたほうがいい。

 今回、私はとても面白く観ることができたけれど、007ファンにはどう思われるのかはわからない。特に、新しいMに引き継がれることに関して、Mは長い間ジュディ・デンチだったらしいので、それが交代してしまうのは賛否あるのかなと思った。けれど、007ファンで『スカイフォール』を未見の友だちにMのラストは伏せたまま、Qが可愛いという話だけをしたところ、Qも前はおじいさんだったことを知らされて、「Qが若者に変わるなら、Mも変えればいいのにね」などと言っていたので、それほど気にしていないようだった。あと、M=MOTHERで、女性であることが前提なのかと思っていたら、ジュディ・デンチの前のMは男性だったらしい。杞憂だったようです、Mに関しては。
 それよりも、007ファンの友だちは観た後で「Qが若すぎる。頼りない。もっと荒唐無稽なスパイグッズが見たかった」と言っていた。現代的なQというのは、いままでの007ファンからすると、違和感があるようだった。おそらく、Qだけでなく、映画全体のイメージも旧作の007はもっと荒唐無稽だったのではないか。今作はそれほどスパイ映画っぽくもない。ボンドがMを護る様、英国を護る様を見ていると、ヒーローものにも思える。ボンドガールらしき女性もちょっとしか出てこないし、007らしさはやはり薄いのではないかと思う。

 それでも、007シリーズ自体には特にこだわりがない私としては、新M、新マニーペニー、新Q、そしてダニクレのボンドでの新体制での次作がいまからとても楽しみです。次もボンドガールが入る余地がないくらいでいい。