『レ・ミゼラブル』


『英国王のスピーチ』でアカデミー作品賞、監督賞を受賞したトム・フーパー監督作品。 以下、ネタバレです。






 ネタバレといっても、ストーリーは誰もが子どもの頃に読書感想文の一つも書いているであろう『ああ無情』なので、特に言うことはないです。

ミュージカル映画であり、ほとんど歌でした。ミュージカル映画が嫌いなわけではないし、むしろ好きなくらいなので、セリフも歌というのは別に気にならなかった。俳優さんたちも全員歌が上手かったです。
ただ、その歌のシーンほとんどで、歌っている俳優さんの顔が正面からとらえられていたため、俳優さんそれぞれのミュージックビデオのようになってしまっている。または、俳優さんののど自慢大会、課題曲レ・ミゼラブルといった感じ。
歌を別撮りせずに、演技の延長でそのまま歌うというのがこの映画の特徴らしいので、歌う表情を撮りたい気持ちもわかる。 もちろん感情をこめて歌う姿を映すことで伝わってくるものもあって、アン・ハサウェイが歌う『夢やぶれて』は、だからこそ心に響くのだと思う。ただ、他の人についても同じように延々と映されると飽きてしまう。カメラの動きが少なくて単調になっていた。
 舞台ならいいと思う。本物のミュージカルならば、歌う姿や表情のみで心を揺さぶらなければいけないだろう。でも、これは映画だし、映画としてどうなんだろうと思ってしまった。こうゆうのも表現の仕方の一つなんだろうけど、あまりにも実験的すぎるし、他の映画と並べて比べられない。
 衣装や背景も良かったのだから、役者さん一人一人だけでなく、全体を見たかった。

 ただ、観た日に寝るときや、次の日も歌が頭の中をぐるぐる回り続けていたので、やはり名曲揃いだし歌がしっかりと自分の中に刻み込まれたのを感じた。
 それから、ヘレナ・ボナム=カーターはもう演じるキャラが決まりつつあるようで。ティム・バートンもトム・フーパーも彼女のことなんだと思ってるのか。ただ、変人役ではあるけれど、監督らの起用に愛があるのがわかっておもしろい。

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