『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』



待ちに待った新作ですが、『エピソード1/ファントム・メナス』を待ちに待ってずっこけた身としては、期待しすぎるのもあまりよくないのかなとも思っていた。それでも、一体誰のフォースが覚醒するの?などと言いながら、期待しすぎのまま観賞しました。

以下、ネタバレです。









今作を観るにあたってあらためてエピソード4〜6を見直してみて、スター・ウォーズのこうゆうところが好きなんだよなあと思う場面がいくつかあり、それがしっかりと今作にも受け継がれていた。

例えば、最初に宙に浮いた四角っぽいバイクのようなものにレイが乗っていた時、見たことのない変わった形をしていて、それだけで嬉しくなった。
喉がカラカラのフィンが象と豚を掛け合わせたようなおかしなエイリアンと水を飲んでいるシーンにしてもそう。
もう序盤からして、このテイストを求めていたと思った。

変わったエイリアンがたくさん集まる酒場が出てきたのも良かった。バンド演奏も少しですがあって、これこれ!と思いました。

今回監督を引き継いだJ・J・エイブラムスは49歳なんですが、たぶん、彼自身がスター・ウォーズの大ファンなのだろう。簡単に言ってしまえば彼のスター・ウォーズ愛がしっかりと感じられ、受け取ることができた。

エピソード1〜3だか特別編だかが不評で、ファンメイドのものが好評だったなんて話もあったけれど、その感じに似ているとも思う。同じ志を持った方が作ってくれているのだから、好きにならないわけはない。

ドロイドに重要なデータを託して放つとか、敵要塞の破壊なども旧作のオマージュなのかなとも思う。

また、予告でも号泣しましたが、ハン・ソロやレイア姫が出てくる。しかも、ハリソン・フォードとキャリー・フィッシャーなのである。エピソード6が1983年、今年が2015年。32年の時が経っている。当たり前だけれど、その分年もとっているが、その時の経過は私たちの時の経過でもあるので、ノスタルジックな気持ちになり泣けてしまう。特に、ハン・ソロがレイアを抱きしめ、愛のテーマが流れたときにはもうグッとくるなんてもんじゃない。
まあそれに、ファンメイドでありファン向けであることを考えると、違う役者さんを使うという選択肢はないですよね…。

今作の悪役というか、ダースベイダーワナビーの若者、カイロ・レンがハン・ソロの息子だとわかったとき、そして、ハン・ソロとカイロ・レンの一対一での対決が始まった時に予感はしていたけれど、やはり、ハン・ソロは息子に殺されてしまう。
一瞬、殺すなら最初から出さないでほしいとすら思ってしまったけれど、今作でハン・ソロの出番は思ったよりも多いし、ノリがそのままなので見られて良かった。もっとゲスト的な役割なのかと思っていたけれど、準主役です。

あとミレニアム・ファルコンですよね。エピソード4の時点でもオンボロとか言われていた宇宙船ですが、今作でもまた古いなどと言われている。確かに、初登場以来40年近く経っているし、古いのは仕方ないんですが、砂漠の地表にガッコンガッコンぶつかりながら宇宙に飛び立ったときには感慨深かった。

しかし、旧作からのキャラや宇宙船、オマージュなどに歓喜しつつも、新要素やキャラ、演じた役者さんとどれもとても良かったのだ。昔から好きなバンドがあって、でも最新のアルバムは好きではないので、ライブでは昔の曲をやってほしい…なんてことがよくあるけれど、最新のアルバムも好きになれるこの感じはとても幸せなことだと思うし、嬉しい。

まず、ドロイドの新キャラであるBB-8が本当に可愛かった。コロコロ動き回る様子はもちろん、影からちょこっと覗いたり、サムズアップをしてみたり、感情の表現が豊かだった。映画を観る前には新キャラが好きになれるかわからなかったのでグッズは買わないようにしていたけれど、おもちゃが欲しくなった。

レジスタンスのポー・ダメロン役にオスカー・アイザック。常々、オスカー・アイザックは目が暗いので真っ当なヒーローにはなれないのではないか…、どこかで帝国軍に寝返るのではないか…と思っていたけれど、どうもそんなことは無さそう。今作のだいぶ序盤ですでに帝国軍にとらえられていたけれど、拷問されても吐いていなかった(拷問されている姿が少しセクシーに見えてしまったのは、私がオスカー・アイザックが好きだからだと思う)。

それに、最後の要塞へ侵入するシーンでは、フィンやレイやハン・ソロが地上戦をしているのに対して、ポー・ダメロンはうまいパイロットなので宇宙でドッグファイトをしていて、うまいこと部隊を二つに分かれるという役割を担っていたと思う。たぶん裏切りません。

カイロ・レン弱すぎという意見もありますが、一番の悪役はスノークだし、カイロ・レンは父を殺したところで次作でもっと邪悪になるだろうし、今回はこの程度でいいと思う。未熟な弱い悪役として良かったと思う。演じたのはアダム・ドライバー。この人もひ弱そうというか暗そうでいい雰囲気。オスカー・アイザックとは『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』でも共演している。

ちなみにスノークがアンディ・サーキスだった。あと、エンドロールでルピタ・ニョンゴの名前が出てきてどの役かまったくわからなかったんですが、マズ・カナタ役でした。

ドーナル・グリーソンも出てるって聞いたけど出てこなかったな…と思ったら、ハックス将軍役だった。思いっきり顔も出ていたし、このイケメンは誰だと思いながら見ていた人だった。ドーナル・グリーソンは『Frank』や『アバウト・タイム』の印象が強くて、ナヨナヨっとした少し縮れた赤毛の情けない男の印象だったので、今回のようなオールバックで悪そうな役だとわからなかった。なんとなくレジスタンス側かなとも思っていた。

あと、カメオというか、言われないと気づかない関連では、レイが廃材を買い取ってもらう回収屋のウンカ・プルート役にサイモン・ペグ。CGではなく、ちゃんと中に入って演技をしていたらしい。

ダニエル・クレイグもストーム・トルーパー役で出ているとか。捕まったレイがフォースの力で「拘束を解いて、扉を開けて、離れろ」と命令するストーム・トルーパーだそう。最初、「は?何言ってんの?」みたいな感じでいきがりつつも、結局命令されてしまう役ですね。セリフもある。エンドロールのスペシャルサンクスのところに007で使われる“パインウッド・スタジオ”の名前があったのでなんでだろうと思っていたけれどそういうことだった。

また、帝国軍の中にトーマス・B・サングスターがいるらしい。もう一度観たら探してみよう。今のところ聞いたのはそのあたりなんですが、他にも誰か出ていたりするのかもしれない。

今作は主役とも言えるレイとフィンがとにかくいい。新しい主役が好きになれなかったり、旧作キャストのほうがいいと思ってしまったらどうしようと思ったけれど、二人とも大好きになってしまった。二人とも、どの場面でも一生懸命だし、好感が持てるし、なんとなく可愛い。フレッシュな魅力にあふれている。

フィンを演じたのが『アタック・ザ・ブロック』のジョン・ボイエガ。今作でも演技のうまさに感心した。特にマズ・カナタのいる酒場から自分だけが逃がしてもらうシーン。自分の弱さを認めるのが良かった。葛藤がありつつも、それでも仕方ない、自分は逃げるのだという決意。それは、幼い頃に攫われてストーム・トルーパーにされ、そこでの過酷な生活には戻りたく無いという気持ちの強さなのだと思う。一旦逃げられたんだから、もう二度と。フィンがこれまでどんな目に遭ってきたのかが、そのシーンだけでしっかりとわかるのだ。

レイを演じたのはたぶん新人さんなのかな。でも、彼女もとてもいい。
砂漠の星、ジャクーで誰かを待っている少女。でも、突然フィンが現れて、手を引いて逃げる。レイはたくましく生きているけれど、そのままでは何も動かない。無理矢理に手を引っ張られて、新しい世界へ冒険へ出る。物語が動き出す。
もうこのシーンだけで、物語の、スター・ウォーズ新作の導入部分として完璧だった。ワクワクしてしまう。

後半、カイロ・レンとのチャンバラシーンがある。雪に突き刺さったルークのライトセイバー。それを自らの元にたぐり寄せようとするカイロ・レン。ライトセイバーが浮き上がり、ああ取られてしまう…と思うと、その後ろにいるレイがそれをがっちりと掴む。アツすぎる。まるで、ライトセイバーが後継者を選んだかのようだった。

そして、サブタイトルにもなっている、フォースが覚醒する時に、レイが着ている服が、今までただの砂漠の民のような衣装にしか見えなかったのに、しっかりとジェダイの胴衣に見えるのだ。素晴らしい。

最後も、レイは眠っているフィンにしばしの別れの挨拶をしていたので、ジャクーに帰るのかと思っていた。けれども、もう物語は動き始めている。彼女がチューバッカと向かったのはルークの元だった。
今作は行方知れずになっている伝説のジェダイの騎士、ルークを探す物語である。新スター・ウォーズは三部作なのはわかっていたし、レイがとらえられていて、フィンたちが助けに行くぞ!みたいになっている場面で終わってしまったら、中途半端すぎてどうしようかと思っていた。
けれど、一応一段落し、レイがルークにライトセイバーを渡そうとするところで終わり。もうこのタイミング以外ないだろうというシーンで“続く”になる。
振り返ったマーク・ハミルがルークにしか見えなかったのがすごかった。風格があった。『キングスマン』の教授はただのくたびれた爺さんみたいな感じだったのに。さすがである。
ルークはライトセイバーを受け取るのだろうか。それともレイに託すのだろうか。続編が本当に気になるし、わくわくした状態のまま待てる。

ルークは、自分の弟子であるカイロ・レンが父であるハン・ソロを殺したことをフォースの力で多分知っている。カイロ・レンは自分の師匠であるルークと祖父であるダースベイダーが戦ったことも知っているのだろうか。ダースベイダーが祖父であることは知っているみたいだったし、そのことも知っているのかもしれない。
どちらにしても、ルークは責任をとりたがったりけじめをつけたがったりするのだろうと思う。
父と息子、師匠と弟子、エピソード4〜6から連なる因縁。同じことが繰り返されていて、ストーリー的にもグッとくる。そして、やっぱり、ハン・ソロは死なないと話が進まないので仕方なかったのだ…。でも、ハン・ソロとルークの再会も見たかった。残念。

そこで問題になるのが、レイは誰の子供なのかというところだと思う。たぶん、彼女がジャクーで待っていたのは両親だと思う。一瞬だけ子供時代の映像が出ていたので、もう一度じっくりと見たい。
フォースが強いので、おそらく、ルークかレイアのどちらかが親なのではないかと思う。最初、ハン・ソロとレイアの子供は双子という噂も出ていたが、そんなそぶりはなかった。レイはハン・ソロを父親のように思っているというセリフがあったけれど、本当に子供だったらそんなセリフもないように思う。

残された謎は今後明らかになっていくのだろう。妄想しつつ、続編を待ちます。

0 comments:

Post a Comment