『ゴーストバスターズ』



1984年公開の『ゴーストバスターズ』の続編ではなく、リブート作品となる。なので、過去作を観ていなくても大丈夫。でも、観ていると、小ネタに気づいて楽しいかもしれない。
私は大昔に観たきりですが、あの有名な主題歌さえ知っていれば、それだけで楽しい気分になれるシーンもあった。

ただ、登場人物を女性に変更して…という話が出たときに、少しどうなんだろうと思ってしまった。でも、予告編を見たら、なんとなく想像していたものとは違っていて、とてもおもしろそうだった。

あと、なぜかイギリス映画だと思っていた。ポール・フェイグ監督の風貌からイギリス人だと思っていたのと、日本ではビデオスルーになってしまった『SPY』がジェイソン・ステイサムとジュード・ロウが主演だからだ。
だから、一緒に出ているメリッサ・マッカーシー(この映画ではアビー役)もイギリス人かと思っていたし、なぜか、クリステン・ウィグもイギリス人のつもりだった。
アメリカ映画でした。

以下、ネタバレです。








IMAX 3Dで観賞。普通の3Dでも同じかもしれないけれど、画面上下の黒い部分にゴーストや、攻撃するレーザーがはみ出るという仕掛けがあり、より効果的に3Dを感じることができた。
上のあたりを自在に飛び回っていて、まるでお化け屋敷のような楽しさがあった。

ゴーストバスターズなので、ゴーストを退治するのだが、ちょっと怖くありながらも、基本的に愛嬌がある。たぶん、怖いものが苦手な人でも楽しめると思う。

大学で働きながらも、過去の幽霊研究の著書が発見されてしまい、解雇される物理学者。
高校の教室を勝手に使ってゴーストを見つける道具を作ったり研究している教師二人。やはり学校を追い出される。
地下鉄の改札係だったが、ゴーストに遭遇し、メンバーとなった女性。改札係時代はお客さんに話しかけても無視され続けていた。
四人とも変わり者ではみ出し者である。野暮ったい。けれど、四人でわちゃわちゃやっている姿はとても楽しそうだったし、観ている側も楽しかった。
ちなみに、四人ともサタデー・ナイト・ライブに出ていたこともあるコメディエンヌである。

旧作は子供の頃に観たきりだったけれど、旧作へのリスペクトはいろいろな場面で感じられた。

まず、あの有名な主題歌がところどころで印象的な使われ方をしていた。あのあの音楽がなければゴーストバスターズじゃない。

後半にタクシー運転手が、あの曲の歌詞の「I ain't 'fraid of no ghost.(幽霊なんて怖くない)」というセリフを言った後、メロディがほんのちょっとだけ流れて粋だなと思った。
そのタクシー運転手は、旧作の主要メンバーであるダン・エイクロイドだったというから、更に粋である。

旧作に出ていたビル・マーレイも出てきます。幽霊を捕まえたなんて信じない研究家の偏屈じいさん役。本人は嫌な役なら出ると言っていたらしい。

また、エンドロール後にシガニー・ウィーバーも登場。ホルツマンの師匠役。その後に、「ズール」という名前が出て来ていたけれど、これが旧作でシガニー・ウィーバーが演じたディナが取り憑かれた幽霊の名前。

他、あの有名なロゴというかマークも出てくる。地下鉄のスプレーの落書き、そして、アニメでも動く。
動き方はとてもキュートだったけれど、一転してでっかくなっていき、その様子はマシュマロマンを彷彿とさせる。あのロゴのゴーストが大きくなるのはなるほどと思う。

また、アグリー・リトル・スパット(醜く小さいじゃがいも)通称スライマーと呼ばれるゴーストも出てくる。むしゃむしゃとゴミを食べ、車に乗って暴走していた。

リスペクトというより、ポールフェイグ監督自身がゴーストバスターズをすごく好きなのではないかと思う。そうでなければ、こんなに愛情を感じる作品にはならないだろう。
ゴーストバスターズを作れて嬉しい!という気持ちが伝わってくる。ファンムービーである。

『ゴーストバスターズ』というのは誰でも知っている作品なので大作だと思うけれど、中に出てくるギャグはこぢんまりしていた。私は好きですが、わりと不評らしいという話も聞く。
たぶん、ギャグパートだけだったら日本では公開されないで、ビデオスルーになるか、バルト9の単館でしか公開されないと思う。

変な赤毛になってしまったエリンが「髪染めの箱にガーフィールドって書いてあった。猫じゃなくて、大統領よ」と言っていた。ゴーストの飛ばされる先は「わからないけどミシガン州あたりじゃない?」というのはデトロイトあたりのゴーストタウンを指しているのだろうか。

また、「マイ・キャットを連れて来ていい?」「猫?」「いや、犬。マイク・ハット」という発音で笑わせるのもアメリカンジョークなんでしょうか。その後、「正式名はマイケル・ハットなんだ」って言ってたのも含めて好きでした。

どれも、爆笑!といった感じではなく、くすっとくる。それがいいんだけれど。

ゴーストバスターズの事務所の受付役というか、事務員さん役にクリス・ヘムズワーズ。おバカなキャラだという話は聞いていたけれど、おバカを通り越して、何もわかっていないキャラだった。イラッともする。
最初に、「ロゴを考えてきたんだ!」と嬉々として出してきたやつがどれもこれも差別的で絵が下手めで、微妙な空気になる感じもおもしろかった。

でも、ケヴィンのような男性がいたら、事務所が華やかになるのもわかる。

後半では体をゴーストに乗っ取られてしまい、本当になんのために出てきたキャラなの?とかわいそうにもなった。
けれど、乗っ取られシーンのクリス・ヘムズワーズは、ああやはりアクションのできる俳優さんだなと再確認した。
アクションといえば、ホルツマンの2丁拳銃に舌を這わせてのLet's go.は予告でもやたらと恰好良かったけれど、それに続くアクションシーンもとても良かった。

エンドロールでにこにこしながら踊っているのも可愛い。文字自体も踊っていて観ている側も嬉しくなる。
やっぱり憎めない。これで好きになる人もいるのではないかと思うくらい愛らしい。

でも、これは男女逆転版なのだ。なんのために出てきたの?とか、イラッとするとか、おバカを通り越して何もわかってないは、普段ならばこのポジションにいる女性キャラに向けての印象なのだ。
そう考えるとちょっと複雑である。

体を乗っ取られたケヴィンが「女は準備が遅い、つなぎを選んでるのか?」と言ったり、序盤でゴーストバスターズあてに、「女にゴースト退治ができるのか?」という苦情メールが届いていた。これは、この映画に対する意見とも思える。
実際に私も最初は思ったし、アメリカでも差別的な発言もあったようだ。

男女を逆転させることで、ちゃんと問題提起もしているけれど、かといって、女が男を倒す話ではない。倒すのはあくまでもゴーストで、男は悪役ではない。
でもそれは、ケヴィンというキャラクターがいなかったら、怪しげな機械でゴーストを召還したホテルの従業員の男が悪役になってしまい、最終的に女が男を倒すみたいなことになってしまっていたかもしれない。話の分からない市長も男だし。
そう思うと、大して役には立っていなくても、ケヴィンがいかに必要なキャラだったかというのがわかる。

クリス・ヘムズワーズ、キャラはともかくとして、背中が大きくて体型も恰好よかった。beefcakeと呼ばれていて、マッチョという字幕になっていたけれど、もっと性的な意味合いがあるかなと思った。
コメディーとの相性が良いなあと思いながら観ていたけれど、考えてみたら『お!バカんす家族』もとても楽しそうだった。好きなんだろうな。

続編はどうなるのだろうか。あったらいいなと思う。2と言わず、3でも4でも出してほしい。
彼女らと彼にまた会いたい。それくらいいいキャラクターたちだった。

四人の女性がいて、お色気で解決♡みたいなキャラが一人もいないのは清々しいやら意外やら…と思っていたけれど、理由がわかった。
そんなキャラはケヴィン一人で充分だ…。

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