『ローン・レンジャー』


2013年公開。あんまり評価がよくなかったので映画館へは行かなかったんですが、ハリー・トレッダウェイが出ているということで観てみたらおもしろかった! 映画館で観れば良かった。
149分と多少長く、長いわりにエピソードが細切れでまとまってない印象はあったけれど、これも劇場で観ていれば気にならなかったのではないかと思う。

とにかく、主演の二人、アーミー・ハマー演じるローン・レンジャーとジョニー・デップ演じるトントが可愛かった。二人のやりとりだけで長時間観ていられる。そのため、エピソードが細切れでも、その一つ一つでにやにやしながら楽しく見られた。
ところどころの笑いも二人の漫才みたいだった。でも、ボケツッコミの役割は決まっていなくて、どちらかというと、二人ともボケのようだった。
トントが頭にかぶっている死んだカラスを使ってのギャグも好きでした。餌をあげるしぐさは何かまじない的な意味合いが含まれているのかと思ったが、都合が悪くなるとあげるふりをしたりと便利に使っているようだった。猫が恐いといって鳥かごを頭からかぶる様子もかわいい。
トントの動きはところどころパントマイムのように大袈裟だったり、漫画っぽかったりしたんですが、ジョニー・デップが「サイレント映画を参考にした」と話していて納得した。
ロー ン・レンジャーは主人公ではあると思うけれど、ヒーロー然としてないのが良かった。どこか情けなく、いまいち強くない。調子に乗って、愛馬であるシルバーにまたがって「ハイヨー!シルバー!」と後ろ足だけで立ち上がらせたとき、「二度とやるな」とトントに怒られた時のしょんぼりした様子もかわいかった。
このシルバーという白馬も、CGも使われていたんだと思いますが、喋りこそしないけど愛嬌があってかわいかった。結構良い感じに活躍する。『塔の上のラプンツェル』の完全に王子よりも目立っていた馬のマキシマスを思い出す。
ローン・レンジャーとトントの並んでいる姿もまたいい。すらっとしたアーミー・ハマーの横に立つと、ジョニー・デップはずんぐりして見える。顔が大きめで背が低い、昔の人の体型という感じだけれど、これがトントにとてもよく合っていた。

この二人と一匹の罵り合ったり牽制し合ったり協力したりする姿が楽しいんですが、それだけでなく、序盤と最後に出てきた列車を使ったアクションも見応えがあった。
特に後半のカーチェイスならぬトレインチェイスはど派手。二台の並走する列車の中や上を使ってのスリリングな攻防がおもしろかった。馬に乗ったまま列車の上を走ったりと、このシーンもかなり漫画っぽい。
ここで使われているBGMが“ウィリアム・テル序曲”なのも合ってるけれど、少し変わっていておもしろい。一段落したあとで楽隊の方々が映るし、開通記念式典での演奏がベースになっているのかと思ってたんですが、この曲はドラマ版で主題歌だったらしいです。こうゆうオマージュがきっと各所にあったんだろうな。

メイキングを見てみると、トレインチェイスのシーンは列車に見立てた車を並走させて撮影していた。極力CGを使わないようにしたらしい。また、実際に線路を敷いて、ちゃんと動く機関車を三台も作って走らせたりもしていた。

メイキングでそこまでやるなんてすごい!と感動していたんですが、どうやらそのせいで大赤字になっていたらしいです。興行成績が芳しくなかったのに加えて、制作費がかかりすぎていたとか…。
私はとにかくこのコンビが大好きになってしまったので、是非続編を作ってほしいと思ったんですが、どうも難しいらしい。

『ローン・レンジャー』、元々は1933年のラジオドラマであり、その後、コミックス化、テレビドラマ化、更に、映画化も今回で四度目らしい。私は過去作はどれも観ていないんですが、よく知っている人からすると、リメイクとしてもあまり出来がよくないらしく、ラジー賞まで受賞していた。それに、今回が初映画化でもないのだから、ますます続編はなさそう。

メイキングと一緒に特典映像として“アーミー・ハマー、西部を行く”というコンテンツも収録されていたんですが、その映像を見る限り、かなり気さくそうな感じで好感度が一気に上がった。曾祖父が石油王で、イケメンで、馬も乗りこなせて、おまけに気さくなんてことになったら、ケチつけるところがない。

ハリー・トレッダウェイは悪役一味の子分みたいな役だった。子分の中でも目立つ子分。半女装が可愛かった。死に際がはっきりとは映らないので、続編があったらまた出てきてほしい。
切に続編を希望します。

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