『ソーセージ・パーティー』



セス・ローゲンとかエヴァン・ゴールドバーグとか、例のあの一派がCGアニメを作るというので珍しいと思ったら、ソーセージが主役で恋人がホットドッグのパン、しかもR指定という…。話だけは聞いていたけれど、話題になった『ザ・インタビュー』の公開すらしない国では本作も公開しないと思っていた。しかし、数ヶ月遅れという異例のはやさで公開が決まってびっくりした。

あの一派が監督もつとめているのだと思っていたけれど違って、『マダガスカル3』のコンラッド・ヴァーノン、『きかんしゃトーマス』のグレッグ・ティアナン。
序盤に出てくる曲は素敵だったけどパロディなのかなと思っていたら、リトル・マーメイド、美女と野獣、アラジンと誰でも知っている曲を作曲したアラン・メンケンだった。なんで!?

以下、ネタバレです。







ソーセージに顔が付いている分にはまあぎりぎりセーフかなとも思うけれど、ホットドッグのバンズが縦になって歩いていて、しかもソーセージは全員男、バンズは女というのはアウトである。しかも、二人は合体することを夢見ている。

ただ、いつものようにというかよくあるパターンというか、ソーセージ同士のブロマンスっぽいものとか、憧れのバンズをモノにするために四苦八苦みたいなものはない。ソーセージとバンズは最初から恋人同士である。
ではなぜ結ばれないかというと、各々はパッケージに入ってスーパーマーケットで売られているんですね。人間に買われることで自由になり、楽園に行けると思っている。
しかし、それは間違いで、人間に買われた後は自分たちは食べられることに気づいてしまう。

それでどうするかというと、先に食べられた仲間たちの復讐も兼ねて、人間を倒そうと画策するんですね。
ただ、これがいまいち共感できないせいか、話に入っていけなかった。

こちら(人間)としては、スーパーで買い物をして料理をして食べることは日常のことだし、悪いことをしている意識はない。また、咎められるべきことでもないと思っている。

まだ食べられる食品を廃棄したり、スーパーで買いすぎて腐らせたりという所謂MOTTAINAI問題を主題にしたほうが良かったのではないかと思った。スーパーの店員に捨てられた食材の逆襲とか。
でもそうすると説教くさくなってしまうからやらないか…。
それか、ソーセージなどの加工食品ではなく、牛や豚などが加工され食べられる未来を知って逆襲すれば…とも思ったけれど、それもベジタリアンとか微妙な問題に足を突っ込みそう。

しかも、その人間への逆襲が、事故もあったとは言え、首を切り落とすなどエグい殺し方だった。
後半のスーパーを舞台にした大バトルでは、普通だったら主人公(ソーセージ)たちの応援をしなきゃいけないのだと思うけれど、どうしても悪者(人間)が悪いと思えなかったので、気持ちが入らない。ただスーパーで買い物をしているだけなのに酷い目に遭う。
また、ここで勝ったところでまた明日別の客が買いに来るだろうし、そのうちそれこそ腐って廃棄処分になるかもしれないし、戦いに終わりが見えない。映画を観ながら、どうやって話をたたむのだろうというのが気になってしまった。

ソーセージが男でバンズが女ということで、見た目はアレだけれど合体するにしてもホットドッグとして挟まるだけだろうと思っていたから、これでR15(日本では)だと厳しいと思った。
しかし、中盤、人間がドラッグでトリップするシーンが出てきてなるほどと思った。その後の生首もそうかもしれない。

けれど、後半はもっととんでもないことになる。
ソーセージは序盤からビデ(あのビデ)に因縁をつけられているのだけれど、後半、いろんな液体を飲み込んで悪い方へパワーアップしたビデが、店員の尻に刺さって人間を自在に操り始める。ここの時点でかなりアレですが、そのビデがソーセージを捕まえることにより、店員の股間のチャックからソーセージが飛び出しているという見た目になる。もしかして、この画が欲しかったからビデを出したんじゃないかな…。

そして、人間たちが片付いた後、ソーセージとバンズが合体するんですが、ただ挟まるだけではなく、普通のセックスシーンでした。その雰囲気にのまれたのか、いがみあっていたベーグルとピラピラした中東のパン(ナンの薄いやつみたいなの)も男性同士ですが事に及び始める。そのうち周囲も巻き込んでフリーセックス状態になっていく。これはR15でもぎりぎりです。

このベーグルとピラピラしたパンなんですが、何故いがみあっていたのかよくわからなかった。でも、ベーグルはもともとユダヤ人のパンが起源だったらしく、ピラピラしたパンは見た目がいかにも中東っぽかったのでアラブ人で、その人種間の問題なのかもしれない。
また、フムス(中東の豆料理。ひよこ豆とオリーブオイル、ゴマなどをペースト状にしたもの)を共通項として話していて、少し打ち解けていた。

この辺で人種や性別に関わらず人は愛し合えるみたいなことを描いているのかなとも思ったけれど、そこまで考えていないかもしれない。

それで、「これは実はフィクションなのだよ」というメタ的な説明で話を締めていた。主人公の声を担当しているセス・ローゲンの顔もちょっと出てきたり。続きは映画の外の世界で…みたいなことを言っていたけれど、現実と繋ぐならやっぱり食品廃棄とか積極くさくしたほうが良かったのかなとは思った。

エンドロールでは出てきたキャラクターの絵の下に声を担当した俳優の名前が出てきていたのが親切だった。セス・ローゲン以外は調べないで行ったので、ジェームズ・フランコは出てくるとは思ってたけどアイツかー!とか、ジョナ・ヒル、マイケル・セラ、ダニー・マクブライド、クレイグ・ロビンソンとお馴染みの名前が次々出てきて面白かった。
ビル・ヘイダー、ポール・ラッド、クリステン・ウィグはいてもおかしくない面子だけれど、エドワード・ノートンがいるとは思わなかったのでびっくりした。ベーグル役だった。
ある意味、エンドロールで一番笑ったかもしれない。

あと、好きだったのは、Meat Loafの『I'd Do Anything For Love(But I Won't Do That)』が流れ出したところでミートローフのMeat Loafが出てきたところです。

いろいろと言いたいことがないわけじゃないけれども、この映画が日本で公開してくれたというのが嬉しい。劇場は少ないけれどもヒットはしているようです。

あと、こんな映画だし人間は殺されるけれど、各国の食材や調味料のレイアウトが凝っている大型スーパーマーケットは楽しそうで行ってみたくなった。
あと、悪意なくホットドッグが食べたくなる。

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