『モアナと伝説の海』



そこまで最近のディズニー映画に思い入れはないのですが、モアナがハートマークを作っているポスターの通りの映画ではないというので観に行ってきました。

マウイ役のドウェイン・ジョンソンが気になったので字幕で見ました。

以下、ネタバレです。








ポスターだと、海の前にモアナが一人で立ち、髪をなびかせて微笑み、ハートマークを作っている。まるで王子様を待ち焦がれている少女のようだ。
ところが、事前の口コミでは“そんな映画ではなく、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だった”という話がまわってきた。
実際に観てみたら、確かに『マッドマックス』だった。

ポスターにはマウイが載っていない!と言われていたけれど、一応、猛禽の姿で載っていた。あと、物語のキーとなる石をハートの中に持っている。間違ってはいないのがなんだかずるい。

ただ、映画を観てからだと、海外版ポスターのような不敵な笑みのほうがモアナっぽい。髪の毛をなびかせているけれど、映画内では長い髪は顔にばさっとかかってしまうこともあって、ここぞというときにはおだんごにしていた。

ある日焼け止めクリームの宣伝にモアナが使われていたけれど、映画のモアナは日焼けなんて気にしなさそう。

モアナはポスターからイメージされるような、何かを夢見て、待っているだけの女の子じゃない。自ら行動を起こす。一人きりで乗り込んでいく。親に反対されても、大海原へ出て行くのだ。

全編ほぼ海上アクションである。
アニメの技術のことはあまりよくわからないけれど、エンドロールを見ていたら、髪の毛の担当の方と、波の担当の方が別々にクレジットされていた。モアナだけでなく、マウイも髪の毛が長い。海上を船で行くから風がある上にアクションだ。相当大変そう。

ただ、海の上とはいえ、実写のように漂流ものにはならない。
公式サイトのキャラクター紹介を見ると、“モアナ”などに混じって“海”と書いてあるけれど、確かに、海も仲間のようだった。そのため、海上でも孤独感のようなものはない。船から落ちても大丈夫だし、ピンチらしいピンチもそれほどない。ニワトリのヘイヘイより、よっぽど頼りになる存在だった。

モアナは可愛い子豚のプアを飼っていて、この子のグッズも映画館には並んでいたんですが、ほぼ出番はない。プアではなくヘイヘイが冒険についていくのが変わっていると思った。というか、ヘイヘイにしても、本当についてきているだけなのもすごい。キャラクターデザインを見てもヘイヘイは役に立つとは思えないのだが、本当にほとんど役に立たない。

マウイに「女の子が動物を連れてりゃプリンセスだろ」と言われるけれど、その動物がプアならまだ絵になるけれど、ヘイヘイではとてもプリンセスのペットっぽくはない。それに、モアナははっきりと「プリンセスじゃない。村の娘よ」と言う。
ここ最近のディズニー映画はプリンセスがいて王子様がいて…というストーリーから脱却しようとしているのは感じていたけれど、ここまであからさまに否定するとは思わなかった。

それに、冒険先で出会うマウイは男性だけれど、いわゆる恋愛関係にはならない。半分神様なせいもあるのだろうか。仲間としての絆は強めていくが、最後だってすっぱり別れる。お姫様と王子様の話ではないのだ。

モアナは村へ帰るので、行きて帰りし物語ではあると思う。しかし、行きて帰りてまた行きし物語というか、ただ冒険から戻って、成長した娘はこれからは村で長として暮らしていきますというラストではないのだ。
成長はもちろんした。けれど、村の全員を引き連れて、大きな船で新たな世界へ旅立つのだ。とても爽やかだし、何が起こるかわからないワクワク感のあるラストだった。何が起こるかはわからなくても希望に満ち溢れている。
号泣という感じではないけれど、いいラストだった。

映画で出てくる歌がすべて良くて、サントラCDが欲しくなってしまった。
アカデミー賞歌曲賞にノミネートされていた主題歌とも言える『How Far I'll Go』は、歌い上げる系で少し苦手かもしれないと思っていたけれど、物語の中に組み込まれているとしっくりきた。歌詞も物語の一部だし、読みながら映画を観ていると、モアナの海の向こうへの憧れや実際に冒険へ出かけなくてはという力強い意思を感じた。

そして、知らなかったのだが、マウイの歌もあった。マウイは大きな体にタトゥーが入っていて、キャストであるドウェイン・ジョンソンを連想させないこともない。
ちなみに、モアナを演じるハワイ出身のアウリイ・カルヴァージョもすごくモアナっぽい。ドウェイン・ジョンソンとアウリイ・カルヴァージョ二人の写真が可愛かった。吹き替えの沖縄出身の屋比久知奈さんもモアナっぽいが、マウイを演じた尾上松也さんはマウイっぽくはないです。

ドウェイン・ジョンソンの歌声というのが、とてもうまくて聞き惚れるというところまではいかないけれど、可愛くて好感が持てて、ますます好きになってしまった。
この体のタトゥーが動くのだけれど、マウイの相棒なのかと思っていたけれど、彼の自己や内面らしい。

最初、マウイが悪役なのかと思っていたけれど、モアナと序盤で会うし、最初は粗暴な面も見せるが、別に悪い奴ではない。
二人は仲間として行動を共にして、最後にボスとの対決もあるけれど、そのボスも本当は悪い人ではなかった。悪い奴がいて、それを倒しに行く正義の味方たち…という単純な話でもないのだ。

そして、カニと言われているのでカニなのだと思うけれど、いわゆるカニというフォルムではない甲殻類のタマトアが最高。
キラキラしたものを集めるのが好きで、甲羅をギンギラにしているのだけれど、その印象から歌うのがグラムロックである。かっこいい。
エンドロール後にも出てくるので、結局、曲が最後に流れることになり、一番頭に残ってしまう。
曲がセクシーなせいもあるけれど、歌声もセクシー。演じているのはジェマイン・クレメント。肩書きは俳優・コメディアン・ミュージシャン・声優と多彩。
声優として『怪盗グルーの月泥棒』に参加してるのも目を引いたが、一番気になったのは、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の監督、脚本、出演をしていたところ。予告はおもしろそうだと思ったけれど、未見です。連名でタイカ・ワイティティも監督になっている。これは『ソー ラグラロク』の前に観なくては。
タマトア役の吹き替えキャストがローリーなのもいいと思う。グラムロックの人で演技もできてミュージカルにも出ているとはいえ、よくキャスティングしてくれたと思う。ローリー以外ないだろうと思う。吹き替えでも観てみたい。

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