『グレイテスト・ショーマン』



“『ラ・ラ・ランド』の製作チームが”という宣伝文句だったので最近まで監督がデミアン・チャゼルなのかと思っていた。『ラ・ラ・ランド』の『Start a Fire』以外の作詞をしたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが本作で作詞をしているらしい。そんな感じなので、『ラ・ラ・ランド』っぽさは全く感じなかった。

以下、ネタバレです。









この映画に関しては予告が随分前から映画館で流れていてたのでストーリーを勝手に想像していた。
貧乏だけれど夢見がちな男(ヒュー・ジャックマン)がショービジネスの世界に憧れている。彼はちゃんとしたショーをやる宣伝をして客を集めたが、実際に出てきたのはフリークスたちで騙された客たちから反感を買う。劇場が燃やされるなど困難が続く。でも、フリークスたちは、男に感謝をする。ここで『THIS IS ME』が流れる。世間に疎まれてた私たちを光の当たる場所に連れて行ってくれて、家族を与えてくれたのはあなた。意気消沈していた男も元気を取り戻して劇場を再興する…というあらすじを考えていた。

ヒュー・ジャックマン演じる劇場主はヒュー・ジャックマンだし、ちゃんとした人間かと思っていたが、そこが一番違った。

夢見がちな男、バーナムがフリークスたちを集めてショーをやるのは同じだけれど、別にこれは騙さずに会場の外にもポスターが貼ってある。ショーは成功するけれど、いわゆるB級であり、上流階級や批評家からは無視される。
しかし、美人オペラ歌手リンドと出会い、彼女のショーを一晩プロデュースし、大成功。そこで上流の味を知ってしまったバーナムはフリークスたちを見捨て、リンドのツアーを計画する。

公式サイトにはリンドのツアーを成功させたら箔がつくからバーナムはそちらに帯同したというようなことが書いてあったが、完全に絆されたようにしか見えなかった。
でも、仕方ないよな…と思ってしまうのは、リンドを演じたのがレベッカ・ファーガソンで彼女が本当に美しいです。彼女のような人が目の前に現れたら、何もかも捨てて彼女と一緒にいたいと思ってしまうと思う。
『ミッション:インポッシブル』シリーズでも美しいですが、今回は白いドレスを着ていて化粧もキメキメで本当にうっとりしてしまう。
歌も歌えるんだ…と思ったが、エンドロールを見ていたら歌部分は違う人だったようです。ただ、うまいけれど、オペラ歌手という歌い方ではない。
絆されたのかと思っていたから、もっと不倫っぽいことになるのかとも思ったけれど、そこまではならなかった。

一方的にされたとはいえ、キス写真が新聞に載ってしまい、妻も実家に帰ってしまう。キスに驚いてリンドを捨てると、リンドのツアーも途中で中止になってしまい、一文無しに。おまけにバーナムがいない劇場で騒動が起こって火事で燃えてしまう。
散々だけれど、自業自得だと思ってしまった。

でも、戻ってきたバーナムをサーカスの仲間はあっさりと許すんですよね。もっと怒るのかと思った。しかも、一文無しの彼に、相棒のカーライルは金を貸してあげちゃう。
酷い扱いを受けたんだから、こんなに簡単に受け入れなくてもいいのにと思ってしまった。それくらい、バーナムのことがあまり好きになれなくて、主人公が好きになれないと、映画自体もそれほど盛り上がれない。善人のヒュー・ジャックマンが演じているからぎりぎり許されている役だと思う。

でも、ラストでバーナムがカーライルに劇場を譲っていて、話の着地点として、それなら納得した。バーナムがカーライルに自分のシルクハットをかぶせてあげるのも良かった。そういう継承の仕方が好きです。『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を思い出した。

また、このシーンで歌がバーナムからカーライルに移るのも良かった。カーライルを演じているのがザック・エフロン。声質が似ているのか、ミュージカル歌唱だからか、歌の切り替えで違和感がないというか、ガラッと印象が変わるわけではないのがいい効果を上げていると思った。おそらく彼ならバーナムの意志を引き継げるだろうなと想像できた。

バーナムがカーライルをスカウトする時に、掛け合いの曲があるんですが、二人の声か歌の相性がいいせいか、とても恰好良かった。バーで歌うんですが、そこのマスターも歌いはしないものの、脇役としてショットのドリンクを次々提供していておもしろかった。

ゴールデングローブ賞を受賞したり、アカデミー賞にノミネートされているだけあって、『THIS IS ME』がやはり一番良かったですが、映画内では、バーナムに見捨てられたフリークスたちが怒り半分で自分たちを鼓舞するために歌っていた。力強さは怒りだった。当然、ヒュー・ジャックマンの歌唱は入っていません。『LET IT GO』以来のこんなシーンで出てくるとは思わなかった感。クライマックスかと思っていました。

フリークスを集めてショーをやることをサーカスと呼ぶようにするとか、劇場が燃えてしまったあとでテントでショーをやるとか、サーカスの成り立ちのようで、もしかして実話なのかなと思っていたら、最後にP・T・バーナムという名前付きで格言のようなものが出てきた。
史実通りではないようですが、実話でした。

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