ロバート・ダウニー・Jr主演作ですが、彼を愛らしく撮ろう撮ろうとしているように感じました。ヒロイン役、ミシェル・モナハンもとてもキュートだった。若いということもあるのかな。彼女は顔が個性的というか、おぼえやすいので、出てくると気になっていましたが、今回の役が一番好きです。キャラクターそれぞれを愛をもって撮るのがうまいのかもしれない。
監督はシェーン・ブラック。『アイアンマン3』の監督も決まっているようです。この調子だと、可愛い社長が見られそうで楽しみ。

スタッフをざっと見ていて最初気づかなかったんですが、製作総指揮のスーザン・レヴィンって、スーザン・ダウニーか。RDJの奥さんか。スーザン・ダウニーのプロデュース作を眺めていると、『シャーロック・ホームズ』しかり、『ロックンローラ』しかり、一貫した雰囲気があるのがわかる。ええ、ブロマンスです。『ロックンローラ』もそうですが今作も、ほのめかすどころではなく、ちゃんとしたゲイのキャラクターが出てきたりもする。
以下、ネタバレ。




RDJがドアに指をはさまれるシーンがあるんですが、力が強かったのか、はさまった拍子に指先が切れてポロッと下に落ちてしまう。しかも、その指が犬に食われちゃう。散々な目に遭うんですが、一連の流れがなんだかコミカルなんですよね。愛のあるいじめです。悲惨なのに可愛い。

あと、ズボンを下げられて股間に電流を流すというの拷問シーンは、なかなかお目にかかれないと思う。他にもいろんな方法あっただろうに、わざわざその拷問にすることないでしょうと思った。監督かプロデューサーの趣味なんじゃないかな。勃起しているように見せて、股間に仕込んだ銃で反撃というのもフェチ的である。

それと、追跡の目をごまかすためとはいえ、RDJとゲイの相棒、ヴァル・キルマーとのキスシーンもあった。別にそれほど重要なシーンではないんですよ。なくてもいいのに、余計に加えてくる。ある層を喜ばせようとしているか、やっぱり自分ら(監督・プロデューサー)が楽しんでるか、どちらかです。


丸の内TOEIにて鑑賞。上映前に「携帯電話の電源をお切りいただくか、マナーモードに…」というアナウンスが入ったのが気になった。マナーモードでも画面が光るし、振動音が気になることがあるからやめてほしいです。映画を観る人のことを考えていない、こんなアナウンスをされたら、映画館自体の印象が悪くなってしまう。偏見かもしれないですが、シャンテあたりとは客層が違うし、上映中のおしゃべりも気になった。
それでも、ひさしぶりのTOEIだったので、予告がいろいろ初見だったのは良かった。『苦役列車』は山下監督なので観るつもりだったけど、高良くんが出るのでより楽しみになった。『北のカナリアたち』は雪の映像だけで、まだちゃんとした予告が出来上がってなかったけど、11/3公開だそうで、こちらも楽しみ。


『僕達急行』自体はすごくおもしろかったです。 もしかしたら、雰囲気がゆるすぎる面から賛否両論あるかもしれないけど、私は好きでした。

鉄道好きじゃなくても問題ないとは思うけど、好きなほうが楽しめるとは思います。登場人物の名前、携帯の着信音、チェックのシャツなど、小ネタが満載なので。あと、鉄道好きな人たちの気持ちがわかるので、いちいち共感できて、観ていても蚊帳の外にならない。東京から福岡に鉄道で行ってみたいと思う人向けかもしれません。

悪者らしい悪者が出てこなくて、映画全体がほわほわしていて、ストーリーも気持ち悪いくらいに丸くおさまるので、リアリティはないんだけど、観ている最中や観た後にすごく幸せな気分になれる。
あと、会話が棒読みなのもリアリティの無さを増長しているんですが、これはたぶんわざとでしょう。会話の仕方以前にセリフの作り方も変わっていた。本来なら「◯◯してたんだよ」というのが話し言葉では自然だと思いますが、「◯◯していたんだよ」になっている。このセリフだと、自然と棒読みになる。
でも、セリフは棒読みでも、表情などから本当に鉄道好きに見えてしまうのは、松山ケンイチ、瑛太の演技力の高さなのだろう。あと、ピエール瀧も案外しっかりとした演技をしていて驚いた。
以下、ネタバレ。







主人公の男の子は結局二人とも女性に振られてしまい、まあ落ち込むなよという気持ちをこめて二人で電車の旅に出かけるんですが、このような次に繋がるラストが好きです。
出演者同じまま『僕達急行2』でも作ってほしかったけど、森田監督の遺作なのでかなわぬ願いです。 
エンドロールの最後、監督手書きの“ありがとう”の文字にほろり。それはこちらの台詞ですよ。楽しい作品をつくってくれて、ありがとうございました。


リース・ウィザースプーン演じるOLを取り合うCIAコンビ(クリス・パイン&トム・ハーディ)の話。思っていたよりも、ラブコメ度・高/アクション度・低。テンポがよくて、さらっと軽くて、最後まで飽きることなく笑いながら観ることができた。

CIA二人組みの片方がプレイボーイで片方が真面目で一途で…というような説明を読んだときに、トムハがプレイボーイのほうだと思ったら違って驚いた。でも、両方とも観ているうちに違和感なくなりました。真摯な態度をとってるのに色気が出てしまうトムハが良かった。あと、わかりやすいコメディに出ているトムハを見るのが初めてだったので、新鮮でした。ギャグシーンなのにびしっとサムズアップを決めるところがとても好きだった。

でも、せっかくCIAなのに、銃を使うシーンが少なかったのも残念。序盤のアクションシーンが恰好良かったのでもっと観たかった。そこと、ラストのちょ こっとしかアクションらしいアクションが出てこない。せっかくいいコンビ風だったのに、二人の掛け合いがもう少し観たかった。

以下、結末について触れています。




これはこれでいいとは思うんで、この先は個人的な要望なんですが、リース・ウィザースプーンがどちらかを選ぶラストはやめてほしかった。女の人を取り合ってすったもんだするも、ラストにはその女の人は別の人とくっつくとか、何かしら理由をつけて、二人ともを振ってほしかった。すっかりCIAコンビを主役として観ていたんですが、ラストであくまでもリースが主役というのを思い知らされた。

どちらも選べなくて、三人でわいわいした感じのラストならば、続編に繋げることもできたと思うんですよ。でも、話が丸くおさまりすぎたし、双方の落とし具合からいっても、この二人を前面に出した話を作るつもりもないんでしょう。

同じ題材を使っても、こうなったらいいのにと私が考えてたものと、マックG監督の撮りたいものは違ってた。その辺、この前観た『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』は見事に合致したんですよね…。


(追記)
でも、どうやらUS版のBDには別エンディングが収録されているらしい。友情EDとか男EDなどと呼ばれているみたいですが、これは…。日本版にも入るといいなあ。

(追記の追記)
日本版にも収録されるらしい! 期待。


メリル・ストリープが主演女優賞を受賞しただけあって、さすがの演技力に圧倒された。サッチャー首相に似ていた。老メイクも自然で、メイク部門での受賞も納得です。衣装やヘアスタイルも素敵だった。ただ、それが目をひきすぎるせいか、ストーリーはいまいちだと感じてしまった。

ストーリーというか、自伝なので仕方ないのかもしれませんが、もうちょっと、ドラマ性というか盛り上がりがあっても良かったのではないか。サッチャーが首相を目指す少し前から退任するまでを、ざっと振り返っているだけ。起伏がなくて、どうにもつめこみすぎ感があった。
そのくせ、上映時間は105分と短い。上っ面だけを軽く、一気に見せただけのようだった。これでは、残るものがない。

何か、ひとつふたつくらいのエピソードにしぼって、掘り下げてくれたら良かったのに。私は具体的には旦那さんとの話が見たかったです。せっかくのメリル・ストリープの好演がもったいなく思えた。


セックス依存症の男が主人公だとか、過激すぎて公開が危ぶまれたとか、映画中セックスしかしてないとか衝撃的な話題ばかりが先行してましたが、もっと詩的でおとなしい映画でした。過激さでいったら、同じ18禁でも『アンチクライスト』のほうが上。別に過激さを求めていたわけではないので、だから良いとか悪いという話ではないです。好き嫌いなら『SHAME』のほうが断然好き。あと、どちらも18禁でセックスシーンが出てきますが、エロくないです。

主人公の背景とか人物の関係についてなど、あまり説明がなくて、察せよという部分が多いので、解釈があっているのかどうかわかりませんが、孤独感と圧倒的な飢えと哀しさが際立っていた。

主演のマイケル・ファスベンダーとその妹役のキャリー・マリガンの演技が良かった。キャリー・マリガンは、『わたしを離さないで』『17歳の肖像』と今作でまったく違うイメージの女性を演じているけどどれも可愛い。『わたしを離さないで』ではふわっとしたボブで落ち着いたヘアカラーで真面目な子の役、『17歳の肖像』では黒に近いロングヘアーでお嬢様役、今回は金髪でビッチ風です。

マイケル・ファスベンダーは私の中では『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の印象が強いけど、ここまで演技のできる役者さんだと思ってなかった。ほとんど一人で出ずっぱりです。指が細いんだけど、少しゴツっと男性的なのも素敵。
以下、少しネタバレです。



兄妹の間に近親相姦的な関係があった?とも思ったけれど、話がそちらへは進まなかった。確かにセックスシーンの多い映画ではあるけれど、二人は安易に行為には及ばなかった。本当に何もないのかもしれないし、この辺も察せよということなのかな。妹が兄の部屋でかけていたレコード、Chicの『I want your love』が印象的。

あと、電車の中の女の人の指輪の数は気づきませんでした。どうだったんだろう。


U2の『Where The Streets Have No Name』が使われていた予告編を見て涙ぐんでいたんですが、予告編だけで少し期待しすぎてしまったかなと思いました。

 原作既読済み。映画だけ観ていたらまた違った印象だったかもしれない。原作と比べると、だいぶ重い仕上がりだったのが気になった。9.11が題材になっているので内容が重いのは当たり前なんですが、映像化することにより、崩れるビルや飛び降りる人、オスカーの体の傷、オスカーが叫ぶ声などが、ダイレクトに伝わって来たからかもしれない。また、オスカーが精神的に不安定すぎるように感じました。
原作でもオスカーは確かに傷ついてはいたし、癇癪持ちでもあった。でも、文体のせいか、もっと軽やかな印象で、作品全体も、爽やかとすら思えるような雰囲気だった。ペンで書いた文字がいろんな色で印刷されていたり、タイプライターで印刷した文字でページが真っ黒に埋まっていたりと、視覚的にも工夫されていていたこともあって読みやすかった。

ジョナサン・サフラン・フォアの著書は他に読んだことはないのですが、『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』は映画で観ました(邦題『僕の大事なコレクション』)。こちらも笑いを交えたロードムービーかと思いきや、実は重いテーマで…という内容で、映像で観る限りは、これがジョナサン・サフラン・フォアの持ち味なのかもしれないと思った。

映画版『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』で気になった点がもう一つあって、間借り人の過去についてのエピソードがごっそり省かれているのが物足りなかった。マックス・フォン・シドーの演技が良かっただけに、観てみたかったです。残念。でもそれ入れたら、たぶん上映時間が4時間くらいになってしまうだろうし、尺の関係で仕方なかったのだとも思う。

マックス・フォン・シドーだけでなく、トム・ハンクスはさすがだし、サンドラ・ブロックも、オスカー役のトーマス・ホーンも素晴らしい演技でした。トーマス・ホーンはもともと役者さんではなかったらしいですが、目が大きくて色も白い美少年でした。今後活躍するんでしょうか。

ただ、“二大オスカー俳優共演!”みたいなのを売りにするのはどうかと思う。トム・ハンクスはそんなに出てきません…。


話はもちろん違うけど、ほとんど推理をしない武闘派ホームズだし、ロンドンの街並みは薄暗く美しいし、他のシーンでもゴテっとした建築物が並んでるのも前作と一緒。回想のスローシーンなど、演出面でも同じにしてるところが多かった。次作があるかわからないけど、あるならばこの雰囲気で通していくんだろうなと思う。ジャンルはミステリーというよりアクションだし、展開ははやいながらも深く考えるところもなく流れにまかせて軽く観ることができる。逆に、原作にこだわりがあったりするシャーロキアンの方にはおすすめできない。ガイ・リッチー監督やRDJ、ジュード・ロウが好きならおすすめ。

音楽はわかりやすいバリバリのハンス・ジマー、そして、日本語字幕はアンゼたかしでした。『インセプション』と同じ組み合わせで、この辺はふまえた上でもう一度観たいくらいです。
ポスターなどで見てもわかるとおり、だらっとしたRDJの隣りにきりっとしたジュード・ロウがいるだけで絵になる。ホームズ/ワトソンという名前だけ借りたオリジナルキャラクターっぽいけど、ガイ・リッチーがうまいこと動かしていると思いました。
私たち向けに。
以下、ネタバレがあります。





ホームズとワトソンの二人ですが、こうなるといいなというところで本当にその通りに話が進んでいくので逆に戸惑う。例えば、葉巻のまわし吸い然り、男同士でのダンス然り。これら、やおいテンプレが一箇所じゃなく各所にふんだんに盛り込まれていました。もう、妄想や二次創作の入る余地ナシ。ガイ・リッチーによるシャーロック・ホームズの二次創作ですよ。

序盤の結婚式のシーンからしておかしい。普通、相棒の結婚式であんな風にあからさまに切なげな表情を見せないでしょう。別に式場の中に入って普通に祝ったらいいじゃない。それができない理由ってなんなの。新婚旅行に乱入して奥さんを車窓の外へ放り投げるのも、助けるためというのは建前で、『この作品には彼女は必要ないよ!』のポイ捨てに見えたし、実際に本編にあまり出てきません。
大体、さびしげな表情で、「新婚旅行と(いま俺と一緒にいるこの状況と)どっちが幸せ?」なんて聞くのおかしいでしょ。「奥さんと俺とどっちが好き?」って聞いてるのと一緒ですよ。

ホームズがワトソンをかまいすぎる。振り向いてもらおうとちょっかいかけすぎる。素直になれないけど、ワトソンのことが好きすぎるのがすごくよくわかる。ワトソンもその愛情表現に戸惑ったりツンツンしながらも、大切なところではしっかり答えてあげる。これが私の妄想ではなく、映画の中でしっかりと行われているからすごい。

これは『ロックンローラ』を観ててもわかることだけど、たぶんガイ・リッチーがそうゆうのを好きなんだと思う。だから、わざとらしくないし、変に媚びてないし、迎合してるわけじゃない。同じ感覚なんだと思う。キャラクターに対する愛を感じるところなど、本当に二次創作本を読んでるときと同じ気持ちになる。
よく考えたら『ロックンローラ』でも、男同士のダンスという今回と同じことやらせてたんだった。まあ、あれは本当にゲイだったわけですが、ホームズとワトソンは違う。しかし、映画を観る限り、説得力がない。それとも、ガイ・リッチーの中ではあれが標準なのかもしれない。


初日、3D鑑賞。原作既読済みということで、かなり期待をしてたんですが…。期待しすぎたのか、
ストーリーを知ってしまっていたのがいけなかったのか、いまいち満足感が得られなかった。
以下、原作と映画についてネタバレあり。





原作はとても好きだったので、大まかなストーリー自体は問題ないです。映画の始まりの話だし、それを映画館で観るというのは、とても意味のあることだと思う。それに、その黎明期を最新技術である3Dでやるっていう試みはいいと思う。すごく飛び出す!というよりは3Dメガネが下がってきてしまうのが気になるくらいでしたが、各所では3Dが評価されているらしい。ここで2Dで観てたらおそらく3Dでも観たくなってしまったと思うので、結果的に3Dで観ておいて良かった。歯車の手前奥がわかりやすいのは良かったし、雪が舞うのは綺麗でしたが、個人的にはそれくらいでした。あと、アカデミー賞総ナメにした美術面も素晴らしいと思うので、大画面で観ておいて良かった。少し黄っぽい色みが昔風でいい雰囲気でした。

でも、映画の流れというか、テンポがとにかく悪かった。原作を読んで先を知っていたから、話の進み方に余計にイライラしてしまったのかもしれない。でも、本を読んだときのわくわく感もなかったのは、内容知っていたことだけが問題ではないはず。起伏がなさすぎたのも気になった。もっといい観せ方、作り方があったのではないかと思う。

クロエ・モリッツはだいぶお姉さんになっていて、もうヒットガールちゃんの印象はなかった。役柄も優しいお姉さんっぽい感じだったんですが、原作だともっと子供っぽくてわがままだし、ヒューゴに対しても意地悪なんですよね。
あと原作との違いでは眼帯の人が眼帯を着けていなかったのがビジュアル面でマイナス。あとは、当たり前ですが、ラストが違う。原作のラストは、『ここまでを、実は機械人形が書いてました』っていう、小粋なびっくりオチがついてるんですが、それがない。仕方ないけど、そのせいで、機械人形があんまり活躍した印象が残らない。ディズニー映画みたいに、最後に本が閉じるような終わり方にすれば良かったのに。