『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』


U2の『Where The Streets Have No Name』が使われていた予告編を見て涙ぐんでいたんですが、予告編だけで少し期待しすぎてしまったかなと思いました。

 原作既読済み。映画だけ観ていたらまた違った印象だったかもしれない。原作と比べると、だいぶ重い仕上がりだったのが気になった。9.11が題材になっているので内容が重いのは当たり前なんですが、映像化することにより、崩れるビルや飛び降りる人、オスカーの体の傷、オスカーが叫ぶ声などが、ダイレクトに伝わって来たからかもしれない。また、オスカーが精神的に不安定すぎるように感じました。
原作でもオスカーは確かに傷ついてはいたし、癇癪持ちでもあった。でも、文体のせいか、もっと軽やかな印象で、作品全体も、爽やかとすら思えるような雰囲気だった。ペンで書いた文字がいろんな色で印刷されていたり、タイプライターで印刷した文字でページが真っ黒に埋まっていたりと、視覚的にも工夫されていていたこともあって読みやすかった。

ジョナサン・サフラン・フォアの著書は他に読んだことはないのですが、『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』は映画で観ました(邦題『僕の大事なコレクション』)。こちらも笑いを交えたロードムービーかと思いきや、実は重いテーマで…という内容で、映像で観る限りは、これがジョナサン・サフラン・フォアの持ち味なのかもしれないと思った。

映画版『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』で気になった点がもう一つあって、間借り人の過去についてのエピソードがごっそり省かれているのが物足りなかった。マックス・フォン・シドーの演技が良かっただけに、観てみたかったです。残念。でもそれ入れたら、たぶん上映時間が4時間くらいになってしまうだろうし、尺の関係で仕方なかったのだとも思う。

マックス・フォン・シドーだけでなく、トム・ハンクスはさすがだし、サンドラ・ブロックも、オスカー役のトーマス・ホーンも素晴らしい演技でした。トーマス・ホーンはもともと役者さんではなかったらしいですが、目が大きくて色も白い美少年でした。今後活躍するんでしょうか。

ただ、“二大オスカー俳優共演!”みたいなのを売りにするのはどうかと思う。トム・ハンクスはそんなに出てきません…。

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