『ザ・マペッツ』


マペット関連のものはテレビシリーズをいくつか観たくらいで、キャラクターで知っているのもカーミットとミス・ピギーくらい。ほぼ予備知識なしの状態でしたが、存分に楽しめました。

ひょこひょこっとした歩き方、口をぎゅむっとやる悔しそうな表情、口をかぱっと開ける驚いた顔など、マペットの動きの愛らしさはセサミストリートなどを見ていてもよくわかる。両方ともジム・ヘンソンによるもの。フラグルロックもこの方によるもので、もうマペット界の文字通り神様みたいな存在の方です。

歯磨きをしながら歌う一曲めから、少し泣きそうになった。曲もキャラクターの動きもよく出来ていて、これぞエンターテイメントというのを見せつけられた。そして、その高いクオリティーが最後まで持続するのはさすが。積み重ねてきたものが違うのだろうと思った。老舗の職人芸ですね。

ただ、内容は楽しいだけではない。マペットたちは私たちと一緒にしっかり時を経ていて、全盛期を過ぎ、忘れられたものの悲哀が描かれていた。その状態から、メンバーを再度集めていく。かつての仲間との再会。しかし、昔のようにはうまくいかないことでの焦れ。そこからの再興とエンディングへ向けての盛り上がりは、ベタではあるけどよくできていた。
それに交えて、ウォルターとゲーリーといういつも一緒にいた兄弟(のような存在)との離別は『トイストーリー3』を思い出した。本当にわかりやすく単純明快なものだけど、世代を問わず響くストーリーだと思う。合間合間の細かいギャグにも笑った。

『魔法にかけられて』での世間知らずのすっとぼけたプリンセス役もとても良かったけど、今回のエイミー・アダムスもとても良かった。綺麗なんだけど、ドンくさくて、少し昔風の容姿がいいんでしょう。あと、二の腕のむちむち加減もいい。ダンスも歌も大袈裟な演技も良かった。

ミス・ピギーは、ハンカチ噛み締めながらキィィッ!みたいになるヒステリックなキャラクターかと思ってたけど、案外大人だった。今回はLady Gagaモチーフだったのかな。カーミットが好きで、一方的に追いかけてるだけなのかと思ったら、二人はいい雰囲気になっていた。

カメオが豪華で、出てくるたびに劇場内に笑いが起こっていた。みんな大好き『ハングオーバー』から、ケン・チョンとザック・ガリフィアナキスが登場した際には特に盛り上がっていた。ジャック・ブラックはジャック・ブラック役で出演。彼はカメオというよりは、結構重要な役でした。


しかし、全国33館、東京2館って、もう少しなんとかならなかったのか…。『ザ・マペッツ』は、アメリカで公開したときには興収一位にもなっていたし、日本公開を結構楽しみに待っていた。なのに、映画館で予告も流れない、映画情報サイトでもなんのアナウンスも無い、もちろんテレビCMもなしで、いつ公開されるのかわからなかった。あとから聞いたところ、ディズニーチャンネルではCMが流れていたらしい。
私は六本木のTOHOシネマズで観たんですが、水曜日なのにかなり小さい劇場がガラガラだった。明らかに宣伝不足もあると思う。しかも、その後すぐに一日二回(昼12時くらいと21時過ぎ)と縮小上映。更に、来週からは朝9時くらいからの一回のみ。こうやってひっそり上映が終了していくのか。日本はマペットへのなじみが薄いとはいえ、もっと多くの人の目に触れていい作品だと思う。

そんな状況だったせいもあるのかもしれないけど、鑑賞後、売店でサントラがあるか聞いて、出されたCDがトリビュート盤だった。その時は洋盤が欲しかったので買うのをやめて、家で調べてみて初めて知りました。欲しかったのは純粋なサントラだったので、買わなくて良かったけど、店員さんは知らなかったのではないかと思う。ウィーザーが何をカヴァーしてたのかも気になったけども。

0 comments:

Post a Comment