『ファミリー・ツリー』


おもしろかった! 役者さんの演技も、脚本も、ハワイという舞台のいかし方も、すべてが完璧で隙がなかった。今回のアカデミー賞関連の作品だと、観た中では『ヘルプ』かこれが好きです。

ジョージ・クルーニー出演作を積極的に観てきたわけではないですが、いままではプレイボーイ的というか、かっこつけな役が多い印象があった。今回はちょっと違うタイプです。一言で言えば、駄目父親、駄目夫。頭を抱えてるシーンが多く、思い悩んでいる。外面を気にする余裕がなさそうなほどの、一生懸命さが良かった。いままで観た中では一番好きなジョージ・クルーニーでした。こんな演技ができるとは思わなかった。

一つ大きな事故が起きて、そこからの関係修復、問題解決が主題となっている。真ん中にある文字通り動かぬ事実が軸となってストーリーが進んでいくので、エピソードがばらばらにならず、話がまとまっているし、わかりやすい。凝っているというわけではない。派手さはなくて地味めでもある。でも、シンプルゆえの力強さのある脚本が好きです。

ハワイを舞台にしていますが、景色だけではなく、しっかりとハワイという土壌も生かしていていた。代々ここに住んでいたとか、不動産の売買のこととか、ハワイなりの問題を抱えている。ファッションではなく、意味づけも硬派なものだった。もちろん、綺麗な海などもしっかり映されています。ハワイ行きたい。

『ファミリー・ツリー』というタイトルは原題通りなのかと思ったら、違っていた。『The Descendants』は、子孫とか末裔とかの意味らしいですが、あまり馴染みのない単語だし、家系図でも別にしっくりくる。それに、“ファミリー”という単語が入ってた方が、家族ものだというのがわかりやすくて良い。

アレクサンダー・ペイン監督作品を観たことがないんですが、作品ごとに“らしさ”が漂う監督らしいので他の作品も気になる。少しジェイソン・ライトマン監督作品に似てると思ったんですが、同じくジョージ・クルーニー主演の『マイレージ、マイライフ』を思い出しただけかもしれない。

0 comments:

Post a Comment