『ラヂオの時間』


1997年公開。三谷幸喜の初監督作品。原作は三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ名義。もともと、1993年に東京サンシャインボーイズで舞台でやっていたものの映画化。

話自体は嘘に嘘を重ねた上塗りで、進む方向がまったくわからなくなって、収拾つかなくなりそうなところを強引にオチつけて、最後はベタともいえるいい話に仕上げるという、いつもの三谷幸喜パターン。だけど、とても面白かった。

ラジオドラマが舞台ということで、広くてもラジオ局内、ほぼ収録のブースで展開されるワンシチュエーションコメディ。このシンプルさでも、話が面白いのは、しっかりと脚本が練られているからだ。
リアルタイムで進行していくけれど、しっかりとオチに向かって突っ走る。そんなバカなと思っても、いつしか話に夢中になってしまい、「メアリー・ジェーン!」で感動して泣く始末。
シンプルであってもこれだけのものができるんだから、『ザ・マジックアワー』のような、本物のような豪華セットなんていらないんじゃないかと思う。

キャラクターが多いけれど、全員味があっていなくてもいいキャラはいない。要所要所で出てくるトラックの運転手を演じる渡辺謙さんも良かった。聴取者代表ですね。

エンディングテーマは布施明のいやらしいほどの良い声の曲だったんですが、よく聴いていたら、「千本のっこが笑っていれば、それだけで僕は満足だ」と歌われていて、まさかのキャラソンだった。いまいち気持ちのわかりにくい堀ノ内の気持ちの補足にもなっているし、完璧だと思う。

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