『笑の大学』


2004年公開。脚本三谷幸喜、監督星護。もともとは1994年のラジオドラマ、その後、1996年に西村雅彦と近藤芳正で二人芝居が上演されている。ラジオドラマは知らなかった。二人芝居の印象でした。

映画版は少し外のシーンが出て来るものの、ほぼ取調室が舞台となっていて、ほぼ二人芝居。二人芝居で役所広司はともかく稲垣吾郎は厳しいのではないかと思ったけれど、少しボンボンっぽい演技がよく合っていた。うまいわけではないけど合っていたのでいいと思う。

検閲が添削に変わっていって、結果的に台本が良くなってしまうというおかしさ。役所広司演じる検閲係の態度の変わり方が自然なのがうまい。
また、警官役をやってみてくれと言われて取調室内を走るシーンは、次第に軟化していった気持ちがついに「楽しい!」に変わる瞬間で、追いかけるようにまわるカメラと音楽でいきいきと描かれている。この表現の仕方は映画ならではだと思う。

とはいえ、最初の他の劇作家たちの台本に不許可の印を押していくシーン等はいらなかった気もする。もっと二人芝居にしてくれても良かった。

もともとの時代背景が反映される最後のシリアス展開も良かった。台本が出来上がって、公演されて、その公演を検閲係が観にきて終わり、ではないのだ。
いろんな場所で台本を読んで笑う役所広司の演技は泣けた。
最後の最後に敬礼ではなく、お辞儀をさせるのも良かった。面白かったです。舞台版も観てみたい。

調べていたら、イギリス版では作家役をマーティン・フリーマンがやっていたらしい。2007年。観たかったなー。タイトルは『The Last Laugh』だったそうです。

0 comments:

Post a Comment