『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』


マペッツの映画としては8作目だけれど、2011年の映画『ザ・マペッツ』の続編にあたる作品。日本での劇場公開は二つの映画館のみというさみしい結果になってしまった。それでも劇場公開してくれるだけでもいいのかもしれないけれど。そのため、シネマイクスピアリに観に行きました。当たり前だけれど、パンフレットもグッズも製造されていません。

以下、ネタバレです。





前作の撮影が終わったあと、もうENDマークが出ているシーンから始まるので、直接的な続編です。
でも、前作とは雰囲気が全く違う。前作が『テッド』や『トイ・ストーリー』系だとしたら、今作は『ボーン・アイデンティティ』『007』『ミッション:インポッシブル』系。前作のほうが誰でも楽しめる、ストーリーの強さがあった。
あまりにも違うのでてっきり監督が変わったのかと思っていたら、同じ方だったので、どうやら作風に幅がある方らしい。

それに、最初の続編を作ろうという曲で、前作はこえられないけれどって歌っちゃうんですよね。前作のラストが今作のオープニングだったり、続編を作ろうとキャラたちが歌っていたり、ウォルターに対して「前作で主役にしてあげたのに!」などというメタ発言が多数あった。これを考えると、前作が本編で、今作はそれに付随するおまけのようにも見える。いずれにしても、肩を抜いてのんびり作ったような印象を受けた。

前作のキーとなったウォルターの特技である口笛も、一回だけだけれど出て来て良かった。

ワールド・ツアーという楽しげな邦題がついていますが、原題はMost wanted(最重要指名手配)という物々しいものになっている。ストーリー的には、ワールドツアー(というか実際にはヨーロッパツアー)の影で指名手配犯が強盗を行うというものなので、邦題と原題でうまく裏表になっているのかもしれない。

このツアーをまわる先なんですが、ベルリン、マドリード、ダブリン、ロンドン、シベリアとなっているが、島国(イギリス)に行くにもすべて電車なんですよね。地図の上で電車がびゅーんと動く絵はインディジョーンズのようでもあったし、場所何時何分という文字がスクリーンの右下に出るのがボーンシリーズっぽいと思った。
ただし、実際には不可能なスケジュールだし、ドーバー海峡ではなかったと思うので海を電車では越えられない。
今回のマペッツは、前作に比べて子供向けではないと感じたが、この辺のリアリティはない。ただ、細かいことはいいんだよというような強引さは痛快でもある。

人間側の出演者はまったく調べていなかったのですが、ジェイソン・シーゲルとエイミー・アダムスが少しも出てこないとは思わなかった。
そして、人間側の主役のポジションがイギリスの人気コメディアン(であり、俳優・脚本・司会業などもこなしている)、リッキー・ジャーヴェイスだとも思っていなかった。
カメオについても誰が出ているのか知らなかったため、気を抜いていると知っている人がどんどん出てきてびっくりするのの連続だった。観ながら驚いて「あっ!」と言ってしまうこともあった。
クリストフ・ヴァルツ(ワルツがワルツを踊るというダジャレで出演。ワルツを踊っている)やダニー・トレホ(歌を披露している。かわいい)やトム・ヒドルストン(歌と変な体操。かわいい)、ザック・ガリフィアナキス(前作にも出てました。マペットとの絡みが似合う)くらい長い時間出ていればわかる。長い時間といっても1分くらいなものです。ダニー・トレホはトータルで3分くらいはあったかもしれない。
その他に、一瞬出て来る系の人は本当に気が抜けない。ジェームズ・マカヴォイ、マッケンジー・クルックは見間違えかと思った。特にマッケンジー・クルックは釘付けになってしまって、隣りにトビー・ジョーンズがいたらしいんですが、それを見逃している。
他にも多数見逃していて、クロエ・グレース・モリッツ、ラッセル・トビーあたりはちゃんと観たかった。あと、ダウントン・アビーの当主役のヒュー・ボネヴィルは言われてみれば、そういえば何か見たことある…と思った気もする。
特にカメオにはイギリスの俳優が多く、好きな人が続々出てきて、発見するたびに楽しかったです。

ミュージシャンからはトニー・ベネット、レディー・ガガ、セリーヌ・ディオンなど。セリーヌ・ディオンは役名がピギーのフェアリー・ゴッドマザーとなっている。迷えるピギーが歌うときに、後押しするように一緒に歌っている。

今回も曲はどれも楽しく、聴いているだけで顔がにこにこしてくる。
どの曲もいいんですが、特に『I'll Get You What You Want』が好きです。エンディングではブレット・マッケンジーも一緒に歌う。

今作ではカーミットにそっくりなコンスタンチンという悪党が出てくるのですが、マペッツなのにちゃんと表情が違うのが面白い。動きもそうなんですが、カーミットとはまるで違うのがよくできている。悪い顔のときは少し口がしゃくれたりしていた。
あと、これは今回に限ったことではないけれど、恐縮するときにカーミットの頭が三角っぽくなるのが可愛かった。
悪党と入れ替わるので、カーミット自身の出番は少なめ。でも、シベリア仕様のもこもこの服を着ていたりと可愛い。
途中まで、というか、わりと終盤までコンスタンチンのことをマペッツたちはカーミットだと思い込んでいるので、カーミットが不憫でならないんですが、最後の『Together Again』で全部帳消しです。強引ながらも丸くおさまる。

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