『メイズ・ランナー』


160万部を売り上げている小説が原作とのこと。
映画が始まる前に、“エンドロール後に第二章の予告編が流れます”というような注意書きが流れ、この映画を最後まで観ても決着がつかないんだ…と思いながらの観賞になってしまった。
でも、続編があるのを知らずに最後まで観て決着がつかないほうが文句が出たかもしれないので、前提としてふまえさせてくれたのは良かったのかもしれない。

以下、ネタバレです。







ある若者が謎の場所に急に放り込まれるところから物語が始まる。
記憶も無くしているし、何もわからないということで、観賞している私たちと一緒に謎を解いていき、少しずつ物事が明らかになっていくスタイル。
また、どうやら閉じ込められていて、そこからの脱出をはかるということで、『CUBE』や『ソウ』系統でもあると思う。

違うのは、閉じ込められているのが若者たちであるという点。そして、性格に外見がぴったり合っていて、それが各キャラクターでかなり特徴的なため、漫画っぽく見えた。ガタイのいいリーダー、細いイケメンは全ての上で中立派、アジア系の頭が切れる子、腕っ節が強く男らしいタイプ、低身長でくせっ毛でおデブだけど下っ端の愛されキャラ…。登場人物は多いけれど、特徴があるのでおぼえやすい。
ランナー側にも主要な人物がいたらなとも思うけれど、そうすると主人公と性質がかぶりそうなのでいなかったのだと思う。

登場人物それぞれに愛着がわいたけれど、物語の性質上、どんどん死んでしまう。残り二作あるというのに、主要人物も容赦なく。これ以上死なないでほしい…と思いながら観ていた。

特にウィル・ポールター演じるギャリーが死んでしまうのは残念だった。『リトル・ランボーズ』『なんちゃって家族』も良かった彼が、まさか一作目で死んでしまうとは思わなかった。やっぱり、少し悪人顔だからでしょうか。
後半で、残ると宣言したときも、迷路に突入していった主人公たちを途中で助ける展開なのだと思っていた。離脱した主要級のキャラは、主人公がピンチの時に助けに来る、ガンダルフの法則です。
助けに来て仲直りするのもいいし、助けに来た結果で命を落とす場合は仕方ないと思える。でも、何故か追いかけて来て、途中で敵に刺されていたので正気を失っていて、仲間に殺された上、愛されキャラのチャックを道連れにするという…。

原作があるものなのでその通りなのだと思うけれど、ギャリーは仕方ないにしても、チャックまで殺す必要はあったのだろうか。感動シーンのために入れたのかもしれないけれど、不条理さしか感じなかった。それか、後二作がよりハードなものになるからこの辺でチャックは退場させたということだろうか。

ギャリーは、記憶をなくしていてもおそらく外の世界であんまりいい扱いを受けていなかったんじゃないかと思う。親からか、友達からかはわからないけれど。だけど、閉じられた世界では、それなりに上のほうの地位にも立っていたようだったし、尊敬もされていたようだったし、仲間もいた。だから、もう中でぬくぬくと暮らしていきたかった。壁で守られた世界はさぞ居心地が良かっただろう。乱暴者のようにも見えるけれど、臆病な子供であり、かなり保守的な人物のようだった。
あとから突然現れて、状況を変えようとする主人公トーマスと対立するのもよくわかる。リーダーがいなくなってからは尚更だ。

人物像を考えてしまうくらい好きなキャラになったのに、あの最期は本当に残念だった。

トーマスと一緒にわけがわからないながらも謎解きをしながら観るのはわくわくする体験だった。夢もたぶん記憶なのだろうし、その断片的な情報から予想するのもおもしろかった。WCKDという謎組織がどうやら諸悪の根源なのだというのもわかってくる。

直接的に攻撃してくるグリーバーは蜘蛛や蠍のようなデザインで、機械のような外見ながら、人間の内臓のようなものも併せ持つ。内臓の奥に機械のパーツが出て来て、そこに出ているデジタルの数字がキーになって…という展開も面白かった。

中の世界で策を練って、それを元に迷路に乗り出して攻略するのはゲーム的でもあったし、その二つだけを舞台にして話が進んでいくのがコンパクトでおもしろかった。

ただ、今回で迷路は脱出してしまったし、主人公が何者かということも含め、謎もほぼ解けてしまった。
三部作なので、根本的な謎は残されているけれど、最後の方の展開と予告編を観る限り、話が大きくなりすぎそうな気がする。
あと、今回のように若者だけというわけではなく、大人も出てきそうだ。子供対大人というようになるのだろうか。

原作があるものなので仕方ないとは思うけれど、この一作で終わりにしてもらっても良かった。『CUBE』や『ソウ』も一作目が一番おもしろかった。

少年少女が集められて、それが実験で外部から見られてるというのは、まあそうだろうなという感じ。外の世界は更に地獄だったというのは、少しダンガンロンパを思い出した。
ちなみに、WCKDと書かれていたけれど、Wickedと呼ばれていた団体、最後の方で団体の代表みたいな女性が正式名称を言うけれど、字幕には出ず。調べてみたら、World In Catastrophe:Killzone Experiment Department(大災害の世界:戦場実験部、みたいな感じ…)だそう。

あと、さきほど少年少女と書きましたが、集められた若者が何歳設定なのかいまいちわからなかった。ニュートを演じるトーマス・サングスターは実際には25歳だけれど、かなり幼く見える。確実にティーンです。細身のタンクトップが似合っている。

主人公のトーマスを演じたディラン・オブライエンのほうが年下なのにびっくりする。一つ下の24歳。原作では16歳設定らしいけれど、ぎりぎり20歳くらいに見える。

ウィル・ポールターは更に年下の22歳。年相応か、少し下に見える。トーマスが16歳設定ということは、全員ティーンの設定なのかもしれない。

ただ、途中から加わるテレサ役のカヤ・スコデラリオが23歳ながらかなり大人びていて、トーマス・サングスターと並ぶと親子のように見える。また、小綺麗で、トーマスやニュートたちと一緒に行動していてもサバイバルっぽさを感じない。
「私たち、組織の人間なのよ」と言われても、確かにそのほうがしっくりくると思ってしまった。
今作ではあまり活躍もしないので、次作からどう動くのか気になるけれど、予告編を見るとトーマスとの恋愛もはさんできそうだった。ラブ要素は本当にいらないです。



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