『フラワーショウ!』
Posted by asuka at 2:23 AM
チェルシー・フラワーショウというガーデニングの品評会で、2002年に28歳という最年少で金賞をとった女性の実話。
以下、ネタバレです。
監督のヴィヴィアン・デ・コルシィは、弁護士から監督になったという変わった経歴の持ち主。アイルランドでメアリーご本人に会って脚本を書き始めたとのことだが、映画化するにあたって苦労したのが資金集めだったらしい。
映画の中でもメアリーは資金集めに苦労している。なんとなく重なる部分もあるのかなと思った。
しかし、映画の中のメアリーはわりとトントン拍子で話が進んでいく。実話を基にしているということだけれど、どこまでが実話なのだろうか。
まず由緒あるコンテストなので、当然、一見さんというか若者は願書すら取り寄せることができず、チャレンジもできない。
けれど、問い合わせの電話を何度かするうちに、受付の女性と仲良くなり、内緒で願書を送ってもらう。そして、2000通の応募のうちの8件に入るという…、まさにシンデレラストーリー。
本来ならば、急にこの大会に挑戦するとなったらそこまでが厳しいのではないかと思う。彼女に才能があったということだろうか。
資金繰りも、あては無く苦労はしていたけれど、ラジオで訴えたところ、地元の企業(病院?)がわりとあっさり援助してくれていた。
大会本番でも、カリスマガーデナーと火花を散らすのかと思った。最初に弟子入りし、メアリーのネタ帳を盗むなどいわく付きだったからだ。
けれど、別に対決らしい対決はなかった。夜にメアリーの作った庭に忍びこんだときも、こっそりとぐちゃぐちゃにしてしまうのかと思っていたけれど、ノートを返しにきただけだった。
きっと、悪い人ではないのだろう。意地悪で盗んだわけではない…のだと思う。
ただ、このように大会があっさりしてしまったのも、観ている人は金賞をとることを知っているからなのかもしれない。あらすじを読んだりせずとも、ポスターや予告に書いてあった。情報を極力入れないようにしていても、入ってきた。
だから、金賞を取れるの?取れないの?というドキドキはなかった。思えば、願書受付のシーンがあっさりしていたのも、出るのがわかっていたからなのだろう。
ではメアリーは何に苦労したのかというと、クリスティという植物学者関連についてだった。
彼女の庭に野草を植えたいので、野草の専門家に手伝ってほしいと。けれど、クリスティはガーデニングのような作られた物、金持ちの道楽には興味がなく、砂漠の緑化のために、エチオピアに旅立ってしまう。
これも実話なのだと思うけれど、大会まで残り日数が少ないというのに、しかも資金のあてもないのに、彼女は彼を説得するためにエチオピアに一人乗り込む。
彼女がいない間、彼女の庭作りを手伝うことに賛同した人々はどうしていたのだろう。多分、旅立つ時点でメアリーはクリスティに恋をしているようだったし、なんとなく身勝手に感じてしまった。
でも、映画の見せ場的な意味合いとしての恋愛要素も入れたかったのだと思う。
押しかけて行ってもクリスティとは意見がすれ違っていて、もう残して帰るのかと思っていたが、わりと長く滞在しているようだった。お願いだから、アイルランドに残した仲間のことも少しは思い出してほしい。
恋は盲目ということなのかもしれないけれど、これだけ恋愛要素を出してくるなら、ライバルのカリスマガーデナーとは恋もライバルみたいな描き方のほうが良かったような気がする。もともとはクリスティはカリスマの元にいたのだし。
結局、クリスティともうまくいったけれど、最後に出てくる現在の彼らというような文章によると、二人は良い友達関係らしい。
どうゆうことかと思ったら、実際のメアリーは、あの後でミュージシャンとつきあい、クリスティを振ったらしい。そして、二人の子を産んだけれど、結局うまくいかずに別れたとか。このことがあって、クリスティとは8年間喧嘩していたらしく、今では許してもらって“良い友達”になっているとのこと。
なんとなく、アバンギャルドさとか思いきりの良さに、彼女の性格が出ているような気がする。いきなりフラワーショウに申し込む、いきなりエチオピアに行く…。思い切った行動の一端である。性格なのだろう。
ちなみにメアリーを演じたエマ・グリーンウェルは、メアリー・レイノルズご本人と対面し、大股ですたすた歩く様子なども似せたらしい。ご本人いわく、結構似ているとのこと。けれど、クリスティはイメージが少し違うらしい。
本物のクリスティは“大地の人”という感じと書いてあったけれど、どうゆう雰囲気なのか、いまいち想像がつきにくい。がっしりした体型なのだろうか。
“大地の人”の想像はつきにくくても、映画版のクリスティは明らかに違うのはわかる。王子様であり、かなりいい男に、そしてものすごい色気が醸し出されている。
序盤、カリスマガーデナーのパーティで、メアリーが一人暗い部屋で泣いているシーンがあるんですが、そこにクリスティが通りかかるんですね。暗い部屋にぱっと顔を出しただけでドキッとしてしまう(私が)。暗い場所で二人きりという状況に、何かが起こりそうな気配を感じてしまう。序盤だし、向こうは何とも思ってないし、何も起こりません。
ツリーハウスに招待をしてくれたときも、「梯子にのぼって」と言って、後ろから手を重ねてきた。顔も近い。それだけでも(私が)緊張するのに、ツリーハウス内で二人きりになったときも、もしかしたらここで二人で寝るのか?と思って、ドキドキしてしまった。クリスティは出て行ってしまった。
ポラロイドを撮るときに、肩を組んできたのも良かったし、無駄に上半身裸シーンも多かった。
エチオピアでは、クリスティもメアリーのことが好きになってきて、目線が熱いというか、すごく見てくるというか、ねっとりと絡んでくるというか、見られているだけなのにとんでもないいやらしさだった。
もちろん、メアリー相手のクリスティなのだけれど、(似ているところがあるとかそういう話ではなく)メアリーに自分を重ねてしまうというか、劇中のメアリーがどんな気持ちだったかはわからないけれど、私は存分にドキドキさせてもらいました。
トム・ヒューズ、『セメタリー・ジャンクション』のときは、悩める不良というか、喧嘩っぱやくて鬱屈してるけれど爽やかな部分もある若者だった。いつのまにこんなに色っぽくなってしまったんだ。なってしまったというか、大歓迎ですけれど。
『セメタリー・ジャンクション』が2010年ということは、多分、トム・ヒューズは23歳とか24歳くらいですね。今まだ30歳、これからどうなるのか、期待しています。
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