『ザ・マミー/呪われた砂漠の女王』



トム・クルーズ主演のホラー映画。
ではなく、ダーク・ユニバースというプロジェクトの一作目である。
今回のマミー(ミイラ)や、透明人間、フランケンシュタイン、狼男、ドラキュラなど、モンスターを扱った往年の映画を蘇らせる企画らしい。
本作も1932年の『ミイラ再生』のリブートとのこと。
ユニバーサル・ピクチャーズが、アベンジャーズなどのMCUやDC側のDCEUに対抗するためのプロジェクトとも言える。

以下、ネタバレです。








ダーク・ユニバースのことをなんとなくしか頭に入れていなかったため、次回作からもトム・クルーズ演じるニックがいろいろなモンスターを倒していくシリーズなのかと思ってしまった。どの程度のクロスオーバーなのかはわからないけれど、本作を観る限り、主役はモンスターではなく、ニックだった。だから、クロスオーバーするとしたら、ニックが共通して出てくるのだろうと思ったのだ。
それか、ニックの力で蘇った相棒のクリスとコンビの力で解決。
または、ハイドを宿したジキル博士との共闘。

本作でニックはモンスターの力を得る。おそらく、アマネット王女と同じ力だと思われる。クリスも一度死んで蘇っているからなんらかの力を持っていてもおかしくない。終わり方も続きを予感させるものだった。

ニックは途中まで、特殊な武器を持つこともなく、ゾンビだかミイラだかわからないけれど蘇った死者を素手で殴って倒していた。頭を殴るとサラサラと崩れるのだ。
けれど、アマネット王女にはすっ飛ばされていたし、とても素手では対抗できそうになかった。なんの攻撃が効くのかもよくわからないし、明確な弱点もしめされていなかったのでどうするのかと思ったら、ニックは自らに呪われたナイフを刺して、アマネット王女と同じタイプのモンスターになってしまった。

結局これで倒すことはできたけれど、シリーズもので、終盤でこの展開があると、ここまでがプロローグなのかと思ってしまったのだ。デビルマンのように、手に入れた悪の力を影で良いことに使うダークヒーローものシリーズの開幕かと思った。

これでアマネット王女とニックの関係も終わりなのだろうか。というか、モンスターが主役のシリーズなのに、主人公っぽい主人公(なんせトム・クルーズ)にあっさり倒されてしまっていいのか。

モンスターが主役のダーク・ユニバースシリーズだというなら、もっとアマネットを活躍させてほしかった。アマネット役のソフィア・ブテラは魅力的だったしもっと見たかった。

序盤、古代エジプトであったことは口頭で説明されて、それに総集編のような映像が付いているものだったけれど、ここはもう少しちゃんと見たかった。
あと、アマネットがニックを“選んだ”けれど、ならもっともっと執拗に執着してほしかった。モンスターではあっても見た目がゾンビなわけではないから、いっそラブストーリーにしてしまっても良かったと思う。相手もトム・クルーズだし、美男美女だ。

しかも、アマネットの攻撃方法がキスをして口から生気を吸い取るという方法である。何かしらうまく使えたのではないか。
おそらく同じ能力を得たニックは、最後、アマネットにキスをして生気を吸い取って倒していた。ここに愛があったらもっと複雑になっておもしろかったとも思う。

映画を観た直後は、次回作ではキスでばったばったと敵を倒すトム・クルーズが観られるのか!楽しみ!と思っていたけれど、そのような趣旨のシリーズじゃないようなので、おそらくトム・クルーズは出ない。残念。

本作でトム・クルーズ演じるニックは本当に良かったのだ。軍隊に入っているが勝手に行動するし、盗み癖があって姑息。女性を置いて逃げたりする。完璧じゃない人物なのがいい。
全裸になるシーンもあって、久しぶりにトム・クルーズの裸を見たなという感じにもなった。また、いつも以上に肌がつるつるに見えて、とても55歳とは思えなかった。いいトム・クルーズが観られる作品であることは間違いない。だから、この映画がダーク・ユニバースではなく、ニック三部作(ニックが人間に戻るための旅)だったら良かったのにと思ってしまう。

トム・クルーズは出ないけれど、ジキル博士役のラッセル・クロウはダーク・ユニバースをつなぐ存在として出てくるらしい。ジキル博士の研究機関プロディジウムが中心となっていくらしい。ロンドンの自然史博物館の地下にある秘密の研究機関というのはわくわくするし、ちらっと出た牙のついた髑髏とかは気になった。今回ももっと出てきたら良かったのにと思う。
ジキル博士も、今作ではハイド氏に脅かされてロクに活躍しないというか邪魔をしていた。今作の調子だと、こんな不安定な人がシリーズをナビゲートできるのかなと思ってしまった。

今後のダーク・ユニバースはジョニー・デップが演じる『透明人間』とハビエル・バルデムが演じる『フランケンシュタインの花嫁』が決定しているとのこと。フランケンシュタイン博士役も気になるところ。

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