『ワンダーウーマン』



DCエクステンデッド・ユニバース第四弾。え?この前に三作品も出てたっけ?と思ったけれど、『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『スーサイド・スクワッド』に続く四作目。
映画前に11月公開の『ジャスティス・リーグ』の予告をやっていたが、それがこの次で、来年末(アメリカ公開日)の『アクアマン』、再来年四月(アメリカ公開日)『シャザム』と続いていくらしい。
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でもワンダーウーマンのくだりがかなり恰好良かったが、本作ではそれが全編で満喫できる。あの印象的なテーマ音楽もしっかり使われています。

以下、ネタバレです。











ガル・ガドット演じるダイアナが、ルーブル美術館で働いているところにウェイン産業の使いの者が写真を届けるシーンから始まる。
戦時中、今と変わらぬ姿のダイアナが写っていて、ダイアナはそれを見て過去に想いを馳せる…という導入部分。
結果的に映画はすべてダイアナの過去の回想だし、続編に出ることがわかってるから、死ぬの?死なないの?みたいなハラハラはない。ひたすらに彼女の強さを堪能する作りである。

不思議なバリアで守られた孤島にダイアナとアマゾネスが住んでいる。このバリアが戦いの神アレスから守るためだけのものだったのかわからないけれど、迷い込んだ普通の人間はバリアに弾かれることなく中に入れてしまう。よく今まで守られてたなと思ってしまった。原作にあるのかもしれないけれど、仕組みがよくわからなかった。

兵士のスティーブが迷い込んでくるが、ここから少しスティーブの回想も入り、回想の回想で時系列が混乱しそうになった。
スティーブ役にクリス・パイン。泳いで助けにきたダイアナを眩しそうに見る顔とか、素っ裸で自分の下半身を自慢する様子など、おどけた表情をしていて、こんな漫画っぽい顔もできるのかと驚いた。本作のクリス・パイン、かなりキュートです。

戦争を止めるためにスティーブと一緒にダイアナも人間の世界へ行く。入ってくるのが簡単なら出るのも簡単で、船で寝ている間にロンドンに着いていた。陸地ともそれほど離れてないようだし、やっぱりどう守られてたのか謎だけど、たぶんその辺を追及するのは無粋なのだと思う。

ここから少しカルチャーギャップコメディのようになる。ダイアナは自然がいっぱいでいつでも晴れていた孤島を出たことがなかったから、曇りで排気ガスもくもくのロンドンはまったく違う世界のようで勝手が掴めないようだった。それでもマイペースに振る舞う様子が可愛くもあった。

町中を歩いていても、ガル・ガドットがすごく綺麗なので一人だけ浮いてる…と思っていたが、まさに一人だけ浮いてる設定だった。綺麗すぎて周りと馴染まないというのもすごい。
洋服選びのシーンでは、目立たないようにと眼鏡をかけさせるが、隠せてないというツッコミが映画内でも入っていた。確かに眼鏡をかけて得意げに眉をあげるダイアナは、眼鏡をかけた綺麗な人にしか見えなかった。
ガル・ガドットはアマゾネスの島でも綺麗だったが、風景や衣装のせいで周囲と馴染んでいたのかもしれない。普通の服を着て、普通に町中にいると本当に綺麗さが際立つ。

第一次世界大戦当時のイギリスの女性蔑視批判もしているのが良かった。
会議に女性が参加してる!と軍人に言われて言い返したり。カルチャーギャップもあるのだろうが、持ち前の正義感により、世の中のおかしいことにちゃんとおかしいと声を上げていた。きちんとした主張も感じられた。

しかし堅物というわけではなくて、その一方で初めて食べるアイスクリームに目を輝かせていて本当に可愛い。

スティーブとその仲間(『トレインスポッティング』のスパッドでお馴染みの所以・ブレムナーもいた。憎めない役です。正装としてのキルトスカートも履いていた)と一緒に戦争の前線を目指す。なんとなく、戦争映画っぽい感じで観ちゃってたけれど、ここで正義感を爆発させたダイアナが頭に冠をつけ、マントをとって、ワンダーウーマンに“変身”する。そこでそういえば、これ『ワンダーウーマン』だったと思い出した。
そして、そりゃそうだという感じですが、めちゃくちゃ強い。一人で部隊を殲滅する。人間ごときが敵わないのだ。
スティーブと仲間もダイアナのサポートしかできない。

その後の救った村でお祭り騒ぎをするシーンで、スティーブはダイアナにダンスを教える。戦いでは敵わないけれど、ダンスではリードできる。ここのクリス・パインはダイアナを口説きにいっていて、ここではいい男っぽい演技をしていたのも良かった。いろんなクリス・パインが見られる。

ドイツ軍の毒ガス基地を破壊しに行くシーン、さっきの戦いぶりを見てたら、またワンダーウーマン一人で大丈夫なのでは…と思っていたら、人間ではないアレスが出てくる。そのため、人間ではない者同士の戦いと、人間同士の戦いに分かれることで、ワンダーウーマンとスティーブ部隊、両方に見せ場があるのが良かった。

ここでもクリス・パインが良かった。ワンダーウーマンとアレスの戦いには加担しない。できないのが見ただけでわかるから。
でも、せめて自分のできることはやろうと、毒ガスの積まれた戦闘機を盗む。もしかしたら、ダイアナの正義感に感化されたのかもしれない。
毒ガスを上空で爆発させる際に、当たり前だけれど躊躇する表情をしていて、それもとてもうまかった。勇ましいだけでなく、ちゃんと弱さも表現されていた。スティーブはワンダーウーマンとは違う、ただの人間なのだ。今回のクリス・パインは私史上最高のクリス・パインでした。

このシーンで涙が出たのは、クリス・パインの演技がうまかったせいもあるが、アレスが言うとおり、人間は愚かだけれど、全員が全員愚かなわけではなく、正しい心を持った人も存在するのだと示したからだ。人間も捨てたもんじゃない。そして、ダイアナもそのことに気づく。気づかなければ、ダイアナもアレスと一緒に人間を滅ぼしただろう。

そういえば、ドイツ軍の毒ガスを開発してた博士の女性、どこかで見たことがあると思ったら、『私が、生きる肌』のエレナ・アナヤだった。今回も顔に歪なマスクをつけた異様な風貌だったが、『私が、生きる肌』も似たイメージで何かしら影響されているのかなと思った。

ダイアナはアレスとの会話により神であることが明かされる。アレスを倒し、終始曇っていた人間界に光が射す。仁王立ちになるダイアナは文字通り神々しくて、ひれ伏したくなった。
ただのヒーローではなく、本当に女神様に見えた。彼女は完全に違う世界の人物だけど、人間界を救ってくださったのだ…。

ダイアナの回想が終わり、ブルース・ウェインにメールを返すところで映画は終わる。本作はダイアナがジャスティス・リーグに参加するまでの話だったのだ。
完全に独立した話にしちゃっても良かったのではないかとも思ったけど、私はどうせ『ジャスティス・リーグ』も観るつもりだし、MCUみたいに見続けてないと何がなんだかわからないところまではいってないから大丈夫。

ただ、『ジャスティス・リーグ』はもしかしたら『ワンダーウーマン』を観てること前提になったりするのかなとは思った。
『ジャスティス・リーグ』の予告ではフラッシュとアクアマンをブルースがスカウトするシーンが入っていたが、ワンダーウーマンはすでに仲間になってるところから始まるのかもしれない。

どちらにしても、今後の展開が楽しみになった。ガル・ガドットの『ワンダーウーマン』がこの先も見られることが嬉しい。

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