『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』



スター・ウォーズの正史以外のスピンオフシリーズの『ローグ・ワン』に続く第二弾。
ハン・ソロの過去の話。

以下、ネタバレです。









過去のハン・ソロといってもいつ頃のハン・ソロなのかよくわかってなかったんですが、『新たなる希望』(スター・ウォーズ4)の10年前くらいらしい。
チューイとの出会い、ランドとの出会い、ミレニアム・ファルコンの入手などが描かれるのはなんとなく知っていたので、序盤にモンスターがいると言われた地下に落とされるシーンでは、そのモンスターがチューバッカなんでしょ?とわくわくしてたら泥々のチューバッカが出てきて盛り上がった。泥々のチューバッカとはハン・ソロがウーキー語を操ることにより、わりとすぐに仲良くなっていた。
途中、ゴーグルを着けたチューイが出てきて、このミニフィグが売店にあってずるいと思った。あんなの欲しくなってしまう。

その他にも、ほのかに話に出てきた時点で来るぞ来るぞとドキドキして待ち、実際に出てきてすごく盛り上がるという展開の連続だったので、ファンにはたまらない内容だった。
他にも、ファン向けの要素としてイースターエッグがたくさん隠されていたらしいけど、ほとんど気づきませんでした。お楽しみがたくさん隠されているのが嬉しい。
また、ミレニアム・ファルコンの操縦士席にハン・ソロが座り、副操縦士席にチューイが座る見慣れた図が初めて出た時に、スター・ウォーズのテーマが少しだけ流れるのも感動した。
『クリード』でも、ロッキーのテーマはここぞというときにバーン!と出てきたのが効果的だったのを思い出した。

逃げて、最初の任務を失敗するまでが1幕だったかなと思う。もともと、暗くて何をしているのかが観にくいという話があったけれど、最初の電車アクションは別に悪くはないと思うけれど、暗いというよりは色が少なく感じて地味に見えてしまった。
ただ、最初のほうで細い路地を宇宙船を縦にして運転して乗り切るシーンは、ミレニアム・ファルコンの操縦を思わせるもので、そこで、ハン・ソロはすでにこの操縦してるのか!と感動したし、これも隠し要素だと思う。中盤では、ちゃんとミレニアム・ファルコンを縦にするシーンもあります。

続いて連れて行かれたドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー)の宇宙船は縦型で、ビルがそのまま動いているようなおもしろさがあった。
スター・ウォーズシリーズには、エイリアンの集まる場末のバーでバンドが演奏しているシーンがよく出てきますが、今回は高級クラブ。ディーヴァのような人間型の女性と、顔だけがホルマリン漬けになっているようなエイリアンのめちゃくちゃ歌が上手い二人のデュエット。なぜか、ドクター・フーを思い出した。
パンフレットには彼らの設定も書いてあって、エイリアンのほうは“クローンウォーズ以前にヒットチャートを席巻し、映画にも出たことがある”とのこと。パンフレットには他のエイリアンの設定も書いてあっておもしろい。

1幕で仲間を失ったベケットとハン・ソロは、ドレスデン・ヴォスからの依頼を受けて、惑星ケッセルでコアクシウムの奪還作戦に挑む。
ここからの2幕が、まさにアドベンチャー映画という感じでわくわくした。
まずランドを紹介されて、ハン・ソロとランドはギャンブル勝負を繰り広げる。ミレニアム・ファルコンも登場する。問題の、ケッセル・ランを12パーセクのシーンも出てきます!
L3という女性ドロイドも出てくるが、そういえば主要ドロイドで、女性がいままで出てこなかったのが少し意外な気がする。
彼女は正しさのかたまりで奴隷解放を扇動したり、ドロイドと人間の平等を訴える。まるでジャンヌ・ダルクのようだった。「好かれて困る」と言っていたけれど、結局ランドが好きなのも可愛い。
コアクシウムを盗んだあと、人間の奴隷、ウーキー族の奴隷をドロイドが解放するという、種族民族問わない姿勢に愛を感じた。
結局、L3はここで壊れてしまうけれど、システムがミレニアム・ファルコンに組み込まれるというのはなるほど!と思った。そうすれば永遠に生き続けるし、別の作品でも、ミレニアム・ファルコンのシステムについて言及されているシーンもあるらしい。

また、ミレニアム・ファルコンの中のホログラムチェスみたいなやつは、この頃からあったのにも感動した。ベケットとチューイが対戦してるけれど、チューイは自分が弱くてイライラしていた。
ここで机の上のチェスを退かすようにチューイが机の上を乱暴にさらうんですが、この時に壊れて映らなくなってしまったキャラは、4で登場させようとしてお蔵入りになったキャラだというのも…。もう…知らないよ、そんな話…といった感じで、そのマニア向けの心遣いも嬉しい。

コアクシウムを無事に奪還してめでたしめでたしと思ったら、ハンソロたちは盗賊団に囲まれてしまう。最初からミレニアム・ファルコンに追跡装置をつけていたし、不穏な感じはしていた。このあたりからが3幕です。
ピンチ!と思ったけど、そうではない。
冒険映画のようになっていたし、盗むのが成功してやったー!と思っていたけれど、悪人(ドレスデン)からの依頼だったのを忘れていた。
盗賊団は帝国に苦しめられてきた反乱同盟軍で、ハン・ソロはここで初めて同盟に会う。
はっとさせられた。これは、単体の話ではなく、他のスター・ウォーズに繋がるし、ハン・ソロの人生は繋がっている。私は彼のこの先の人生、なんなら最期まで知っているのだ。

ハン・ソロは同盟側につくべく、ドライデンを騙そうとするけれど、ここでベケットの裏切りにあう。でも、これはさして意外でもない、知ってたという案件だった。
最初からいかにもあやしかったし、一緒に行動をしていても、心を開いている感じはなかったから。

実は私はチューイとランド以外は疑っていたので、キーラのこともずっと裏切ると思っていた。
ハン・ソロを一人逃したときに、この子は本当にハン・ソロと冒険がしたかったんだな…というのがわかって泣いてしまった。たぶん最初で最後だけれど、一緒に冒険できてよかった。
彼女は何があったのかは明らかにはされないけど、とんでもない契約をさせられたようだ。
最終盤にはダースモールと話をしていてすごく驚いた。と、同時に、これは『ファントム・メナス』(スターウォーズ1)の前の話だったのか!とこの時に思ったのだけれど、そうすると、ハン・ソロとレイアの年齢差はどうなってしまうんだ…と考えていたら、この映画は『新たなる希望』の10年前だとあとでわかった。
つまり、ダースモールは生きていたらしい。この辺はクローンウォーズ参照とのことだけれど、クローンウォーズがシーズン6まであるらしく、なかなか観るのが困難だと思っている。

ドライデンが所属している組織の名前がクリムゾーン・ドーンだったが、ドライデンも怒りを覚えると目が充血し、武器は三日月型で赤い光を放っていた。赤色がキーになっている。ここで、ダースモールとの関係に気づけたかもしれない。
私はプリクエル(スター・ウォーズ123)はなくてよかったと思っているくらいで、特に見直すこともなかったんですが、今回、本作を機に、もう一度ちゃんと向き合ってみようかなと思った。
私は本作の様々な部分でわくわくしたし、おもしろかったし、好きな作品にもなったけれど、一番心を動かされたのは、プリクエルともう一度ちゃんと向き合ってみようかなと思わされた部分のような気がする。

ハン・ソロは同盟には入らないけど、資源は無事に同盟側にわたる。
ハン・ソロはランドの元へいき、今度はギャンブルで勝って、ミレニアムファルコンをゲット(これも、言われていたエピソードが映像で見られた!とわくわくしたところ)。

前半には多少不安になる部分もあったけれど、抑えるべきところは抑えられてるし、この若いハン・ソロをシリーズで観たい気もしてしまう。
常にお喋りで乗り越えようとしているあたりに、今のハン・ソロの片鱗が見られる。調子のいい適当なことを言って、口八丁手八丁で乗り切ろうとする。多少いらっとする面も含めて、やはりハン・ソロ自体が好きだし、ちゃんとハン・ソロが描かれてた。

主演のアルデン・エーレンライク(今はオールデン・エアレンライク表記なのかもしれない)は、『ヘイル、シーザー!』のときに、陽のデイン・デハーンとか、デイン・デハーンにゴリラを混ぜた感じとか呼んでたけれど(悪口ではなく好きです…)、今回も同じく、健康的になったデイン・デハーンという感じがした。あの銃の構え方はかなり物真似を研究したな?と思った。
やはりいい俳優さんだと思うので、ハン・ソロはもちろん、他の作品も観てみたい。

ランド役のドナルド・グローヴァーもうまい。『オデッセイ』や『スパイダーマン:ホームカミング』など、いろいろ出ているけれど、演技もうまいのに本業はミュージシャンというのが驚く。強烈な批判満載の『This Is America』のPVも話題になった。多才である。

ヒロイン、キーラ役のエミリア・クラークは、どうしても私の中で、『ゲーム・オブ・スローンズ』のデナーリスの印象になってしまっているので、上に立ったり、命令したりという演技が板についているように見えてしまった。でも、黒髪なので、言われなければ気づかなかったかも。

ドライデンを演じたポール・ベタニーは悪役らしい悪役でかっこよかったし、スター・ウォーズシリーズに出たくてロン・ハワードに「冬の長い夜に、なぜ自分がスターウォーズシリーズに出ていないのかと考えたことがありますか? 僕はあります」とメールを送ったらしい。妙に詩的なのは友達だからふざけているようです。その甲斐あって見事出演が決まったとあって生き生きしていた。胸元が広く開いていてセクシー。自ら出向くことなく、配下にすべてやらせていそう。でも、最後はアクションもやっていたのもよかった。
冷酷でありながらセクシーになっているのは声のせいかもしれない。

ウディ・ハレルソンは出ていることも知らなかったんですが、かなり主要キャラだった。『True Detective』、『スリー・ビルボード』と良い役が続いている印象。今回も良かったです。

ポール・ベタニーとウディ・ハレルソン、『ヘイル、シーザー!』で気になったアルデン・エーレンライクと『ゲーム・オブ・スローンズ』のデナーリス(エミリア・クラーク)とチューバッカが並んでいるという図が、個人的にはとても豪華に思えました。





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