『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』


話はもちろん違うけど、ほとんど推理をしない武闘派ホームズだし、ロンドンの街並みは薄暗く美しいし、他のシーンでもゴテっとした建築物が並んでるのも前作と一緒。回想のスローシーンなど、演出面でも同じにしてるところが多かった。次作があるかわからないけど、あるならばこの雰囲気で通していくんだろうなと思う。ジャンルはミステリーというよりアクションだし、展開ははやいながらも深く考えるところもなく流れにまかせて軽く観ることができる。逆に、原作にこだわりがあったりするシャーロキアンの方にはおすすめできない。ガイ・リッチー監督やRDJ、ジュード・ロウが好きならおすすめ。

音楽はわかりやすいバリバリのハンス・ジマー、そして、日本語字幕はアンゼたかしでした。『インセプション』と同じ組み合わせで、この辺はふまえた上でもう一度観たいくらいです。
ポスターなどで見てもわかるとおり、だらっとしたRDJの隣りにきりっとしたジュード・ロウがいるだけで絵になる。ホームズ/ワトソンという名前だけ借りたオリジナルキャラクターっぽいけど、ガイ・リッチーがうまいこと動かしていると思いました。
私たち向けに。
以下、ネタバレがあります。





ホームズとワトソンの二人ですが、こうなるといいなというところで本当にその通りに話が進んでいくので逆に戸惑う。例えば、葉巻のまわし吸い然り、男同士でのダンス然り。これら、やおいテンプレが一箇所じゃなく各所にふんだんに盛り込まれていました。もう、妄想や二次創作の入る余地ナシ。ガイ・リッチーによるシャーロック・ホームズの二次創作ですよ。

序盤の結婚式のシーンからしておかしい。普通、相棒の結婚式であんな風にあからさまに切なげな表情を見せないでしょう。別に式場の中に入って普通に祝ったらいいじゃない。それができない理由ってなんなの。新婚旅行に乱入して奥さんを車窓の外へ放り投げるのも、助けるためというのは建前で、『この作品には彼女は必要ないよ!』のポイ捨てに見えたし、実際に本編にあまり出てきません。
大体、さびしげな表情で、「新婚旅行と(いま俺と一緒にいるこの状況と)どっちが幸せ?」なんて聞くのおかしいでしょ。「奥さんと俺とどっちが好き?」って聞いてるのと一緒ですよ。

ホームズがワトソンをかまいすぎる。振り向いてもらおうとちょっかいかけすぎる。素直になれないけど、ワトソンのことが好きすぎるのがすごくよくわかる。ワトソンもその愛情表現に戸惑ったりツンツンしながらも、大切なところではしっかり答えてあげる。これが私の妄想ではなく、映画の中でしっかりと行われているからすごい。

これは『ロックンローラ』を観ててもわかることだけど、たぶんガイ・リッチーがそうゆうのを好きなんだと思う。だから、わざとらしくないし、変に媚びてないし、迎合してるわけじゃない。同じ感覚なんだと思う。キャラクターに対する愛を感じるところなど、本当に二次創作本を読んでるときと同じ気持ちになる。
よく考えたら『ロックンローラ』でも、男同士のダンスという今回と同じことやらせてたんだった。まあ、あれは本当にゲイだったわけですが、ホームズとワトソンは違う。しかし、映画を観る限り、説得力がない。それとも、ガイ・リッチーの中ではあれが標準なのかもしれない。

2 comments:

  • e | June 16, 2012 at 10:39 AM

    ガイ・チッリー説、ウケました!
    前作もそうでしたっけ…?

    ロンドンの街並みは本当に美しく描写されてましたよねー。
    本の中に居るみたいな感じ。

  • asuka | June 19, 2012 at 2:37 AM

    美術、意外と凝ってましたよね。衣装も素敵でした。

    前作もそうだったけど、今回のほうがあからさまかなと思いました(笑)。

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