『ミッドナイト・イン・パリ』


本作は、アメリカでウディ・アレン監督の最高興行成績をたたき出したらしい。実は、私はウディ・アレン監督作品が苦手ですが、これだけ人気なのと、アカデミー賞にノミネートされていたので観てきました。

冒頭の、役者さんは出てこずにパリの景色が流される場面で、オシャレさに圧倒された。また、主人公が雨のパリにこだわったり、パリに住みたいと言うあたり、監督の言葉の代弁なのかなと思ってしまった。それくらい、パリに対する愛を感じました。
以下、ネタバレです。









主人公は12時の鐘のあと、走ってきた古い形の車に乗せられて、バーへと連れて行かれる。いつのまにかそこは憧れの1920年代、しかも生きている芸術家たちと触れ合える。いろんな人が出てくるたびに笑いが起こっていたし、ワクワクしました。バーやカフェも洒落てるし、パリのワンダーランドっぷりが加速し た。

ただ、どうしてこうなったかという説明が一切ない。夢、または酩酊状態が見せた幻なのだろうとも思うけど、途中に出てくる古本のせいで、タイムスリップの可能性も捨てきれない。その辺がわからなかったので、もやもやしたものが残ってしまった。
それでも、きっと、説明を求めるのは野暮なんだろうとも思う。結局、どうして過去へ行けたのかというのを描きたい作品ではなく、いろんな芸術家がたくさん出てきたらおもしろいよね!というところが主題なのだと思う。

あとは、主人公の成長譚でもある。過去のパリに憧れていた主人公が、マリオン・コティヤール演じる1920年代の女性アドリアナと一緒に、さらに昔 (1870年代か80年代くらい?)へとぶ。「ここに住みたい」とはしゃぐアドリアナを見て、初めて、客観的に自分の姿が見られたのだと思う。
過去の積み重ねが現代になり、つまらないと思っていた現代も未来から見ればまた黄金時代かもしれない。そう気づいて、もと居た世界へ帰っていく。それ以降はきっと、あの角で車を待つことはしなかったのではないか。主人公は小説家を目指していたので、自分も未来から見て誰かから憧れられる存在になることを目指し始めたんだと思う。

『ミッドナイト・イン・パリ』もアカデミー作品賞にノミネートされていましたが、受賞した『アーティスト』や『ヒューゴの不思議な発明』とともに、古きをたずねて新しきを知る作品だった。今年はテーマがはっきりしてたようです。

トム・ヒドルストンさんがフィッツジェラルド役で出てた。『マイティ・ソー』のロキ役のときは特に気にしてなかったけど、そのあと出てきた彼の写真やら情報やらを総合すると、どうやら相当愛嬌のある方らしくて好きになってきてます。『アベンジャーズ』も楽しみ。

0 comments:

Post a Comment