『ハート・ロッカー』


2008年公開。アカデミー賞作品賞受賞。劇場公開時に観たきりでしたが、細部まで結構いろいろおぼえていました。
以下、映画というよりほとんどジェレミー・レナーについてですが、ネタバレあり。









この映画を観たときには、ジェレミー・レナーを知らなくて、出てきたときにはそんなに恰好良いとも思っていなかったんですが、でも映画が終わったときにはまんまと好きになっていた。それで、翌年の『ザ・タウン』では、同じような暴れん坊で銃ぶっ放つ役をやっていて、これまた恰好良かったのです。銃が似合って、何を考えているかわからない危うさがありながら、どことなく色気がある。

ゲイの殺人鬼役『ジェフリー・ダーマー』もレンタルで観ました。スプラッタ系なのかと思ったら、血がほとんど出ない、心理描写の多い切ない映画でした。この映画公開時、ジェレミー31歳。撮影したのがいつかはわかりませんが、20代後半から30代前半の若い姿が美しい。演技もうまかった。『28週後…』も銃を持った役でしたが、人間味あふれるいい役柄でした。

それらをふまえた上での『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』がとても良かった。他の作品では“眉間に皺が寄っている/冷静沈着/仕事はきっちりこなす”というような印象の役が多かったんですが、ここでは、それを引き継ぎつつも、“振り回される/冗談を言う/必死”などの違った一面も見られる。前までのギャップのせいもあってか、えらく可愛く見える。

最初から好きな状態で『ハート・ロッカー』を観るのは初めてでしたが、あらためて、この映画はジェレミーを好きになるようにできていると思った。
死をも恐れぬ男。言うこともきかないし、ワンマンプレイが目立つし、最初の印象は悪い。しかし、仕事はできることが証明されて、好感度がグッと上がる。その後、少年の死に心を痛めるシーンで、仕事ができるだけではなくいい奴でもあることがわかって、更に好感度アップ。戦場から戻った普段の生活シーンの私服姿、なんとなくかみ合わない日常会話、スーパーマーケットでのうろたえ、赤ん坊との触れ合いと、さっきまでとは違った一面を見せて、また好感度をグンと上げる。その後のラスト、戦場へ戻った生き生きした表情と爆弾処理に向かう確かな足取りと後ろでかかるミニストリーで、完全に好きになってしまう。

これは、キャスリン・ビグローが女性監督だからじゃないかな…。関係ないかな…。
久しぶりに戦場から帰宅したとき、奥さん(離婚したと言っていたから彼女?)とのセックスシーンはないくせに、戦場での同じ部隊の男性たちとの濃厚な絡み合いはある。映画館で観たときにも気になったけど、改めて観返したら、上着は脱ぎだすし、どう見ても騎○位だし、そのシーンがやけに長いしで大変だった。この有名なホモソーシーンの前にも、序盤で、兵士同士の「聞いたらちゃんと返事をしろ」「デートか?」というやり取りがあったりもした。

手持ちカメラでドキュメンタリーっぽいリアリティを出したり、爆弾除去シーンの息が詰まるような緊迫感など、本来の見所はきっと別なところなんだろうなとも思いつつ、私にとってはジェレミー・レナーのいいところがつめこまれた映画になっている。


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