『リンカーン/秘密の書』


“昼は大統領、夜はヴァンパイアハンター”という宣伝文句にワクワクしていたし、製作にディム・バートンの名前があったので公開前からかなり期待をしていました。しかし、アメリカで一足先に公開されたときの評価が低く、興行収入もいまいちということで不安になっていたのですが…。
以下、ネタバレです。





アクションシーンはよくできてたと思う。大量の馬が駆けてくる中での格闘、舞踏会でのカーテンを使った演出、走る列車と落ちる橋など、各シーンはおもしろかった。役者さんたちも恰好良かった。くすんだような全体の色合いも、ゴテゴテしたゴス衣装も、統一されていたし雰囲気は良かった。それなのに、流れがない。それぞれがブツ切れ。

なんとなく、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』に悪い面が似てた。短時間で人の生涯を描こうとしてるから、一つ一つのエピソードに深みがなくて、総集編みたいに上滑りしてしまう。

今作だと、ヴァンパイアハンターとして活発に活躍していたのは大統領になる前で、いざ大統領になってからは、通常の大統領業務をこなしているようだった。年老いてから再び斧を手にするものの、それでは“昼は大統領、夜はヴァンパイアハンター”というキャッチコピーとは違ってしまう。一人の人間の二面性が見たいのに、ヴァンパイアハンターパートと大統領パートはきっちり分かれてしまっていた。
大統領として普通に働いているシーンはいらない。それを観たいなら、別の映画を観る。中途半端です。もうずっと、斧を振り回してヴァンパイアを狩っていれば良かったと思う。斧アクション、恰好良かったのに。だからもう、大統領になろうとしている若い頃のエピソードはいらなくて、最初っから大統領になっていてくれていい。

ドミニク・クーパー演じるヘンリーだって、もっとうまくいかせるキャラクターだったはず。リンカーンが大統領になって普通の仕事をしている何年間かは、この人が何をしていたのかもわからない。
リンカーンとのブロマンス的な引っ張り方だってあったはずだし残念です。

ストーリー/キャラクター共に、素材はいいのに、それがうまく調理されていなかった。いくらでも面白くできそうだったのにもったいない。最後の締め方は良かったけど、それでうまくまとまったみたいな顔をされても困ってしまう。

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