『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』


『The World's End』の邦題が決まりました。第6回したまちコメディ映画祭にて。先行上映で本公開は2014年春。エドガー・ライト監督、サイモン・ペグとニック・フロスト出演のいつものメンバーで、『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホット・ファズ−俺たちスーパーポリスメン!−』に続く三部作の三作目とのこと。『ショーン・オブ・ザ・デッド』がゾンビ映画への憧れ、『ホット・ファズ』がポリスアクション映画への憧れ、そして、今作はSFになるのかな。
英国俳優満載でそれだけでも満足なのに、五人の学生時代の仲間でかつて果たすことができなかった夢であるパブ巡りをするという内容も楽しい。

以下、ネタバレです。











最初のシーン、輝かしい過去、若かりし日々を話すペグの老いっぷりがなかなかのものです。目の周りの皺と髭、そして、話している状況がアル中の更生施設?というのも笑えない。

若い頃は楽しかった。いまのこの状況は本当の俺じゃない。あの頃に戻りたい。
そんな気持ちがサイモン・ペグ演じるゲイリー・キングの原動力になっている。だから、自分が楽しかった時代の仲間たちを彼らの事情もかまわず集め、迷惑がられているのに気づいているのか気づいていないのか、とにかくはしゃぎまくる。周囲のみんなは大人になってしまって、自分だけが子供のまま。だけど、あの頃楽しかった気持ちはみんなも一緒だろ?と信じて疑わない。

私は彼らよりも少し年代が下だけど、ほぼ似たようなものだし、気持ちがすごくよくわかる。みんな仕事や家庭があると、遊んでくれなくなっちゃう。時が過ぎているんだし、当たり前のことだけど、さみしい。

また、使われている曲が90年代初頭の特にUKロックなのも、その頃青春を過ごした人たちには、より響く。本当に音楽って、聴いていたその頃のことを瞬時に思い出してしまう。
プライマル、ハピマン、The Stone Roses…。エンドロールに使われていて、ゲイリーもTシャツを着ていたThe Sisters Of Mercyは80年代後半と少し前だけれど、ゲイリーが学生時代に憧れていたということで、その頃流れていた音楽との時差があるのかな。

Pulp の『Do You Remember The First Time』は気づかなかった…けど、曲が曲だけに、あのあたりかな。Blurの『There's No Other Way』はゲイリーが最初に車で現れるときに大音量でかけてたけど、ちゃんと流れたのはイントロだけだった。Suedeの『So Young』は2コーラス目が飛ばされていたものの、最初から最後までまるまる使われていた。この曲の内容的に映画とも合っている。特にサビが“we're so young and so gone,(僕らは若すぎて歯止めがきかないから)”というわけでそのまんまですね。

ちなみに、ここで五人並んで歩いているときに、若者五人組とすれ違いますが、この五人って後で出てくる五人だったのかな。あと、最初か二軒目のパブからもうスクールディスコのポスターが貼ってあるんですが、このポスター、目の部分が光ってた? 単にメガネかもしれない。あと、パブの看板とその後の展開についても因果関係があったとかなかったとか。いろいろ確かめたいのでもう一度観たい。

パブを巡ってビールを飲みまくるので、とても喉が乾きます。タップから注がれるさまが上から撮影されていてうまそう。また、水を注文したメンバーがいて、ビールを四杯注いだあとに同じアングルで五杯目に水を注ぐというのはよくオチがついたコントっぽい撮り方。今回に限ったことではないけれど、テンポがいいです。

特に前半、ゲイリーが上機嫌でペラペラ話す様子は聞き取ろうとすると早口で大変。でも、それが映像に独特の勢いを与えている。ただ、本当にだいぶ忙しないので、ソフト化されたらじっくりと見直して観てみたい。

三部作とも、大量の敵が襲って来て、立てこもって戦うというあたりは構成が同じです。一つ違うのは、今回はボケがサイモン・ペグでつっこみがニック・フロストというところでしょうか。今回はニック・フロストが巻き込まれる側です。
しかし、最初こそ静かな語り口で落ち着いていたけれど、次第に壊れてはくる。ロボットとの最初の対戦のときにエルボー・ドロップを炸裂させたときには、会場内から拍手が起こっていた。あと、ショットグラスを飲み干すシーンでも拍手。
ただ、いつもよりは悪ふざけがないです。あくまでも、ペグがボケでした。

途中から散り散りになってしまいますが、学生時代の仲良し五人組は大人になってもやっぱり仲良しに見えた。本人たちはどう思っているかわからないけど、私にはそう見えました。一緒にはしごしたくなった。
演じた他の三人は、パティ・コンシダイン、マーティン・フリーマン、エディ・マーサン。
パティ・コンシダインという人はよく知らなかったんですが、『ボーン・アルティメイタム』のサイモン・ロス役と言われると、なんとなくそうだったかな、というくらいですみません。『ホット・ファズ』にも出ていたようです。
マーティン・フリーマンは最近だと『SHERLOCK』ですっかりお馴染み。『ホビット』でも『銀河ヒッチハイク・ガイド』でもそうでしたが、事件に巻き込まれる役が多い。今回も巻き込まれた。『ホット・ファズ』にも出ていたようです(憶えてない…)。
エディ・マーサンは顔が特徴的なせいか、ちょくちょく見かけるあの人ね、という感じ。個人的には『アリス・クリードの失踪』が印象に残ってます。

エンドロールを観ていて、ビル・ナイの名前があって、出てたかな?と思ったらネットワークの声でした。ピアーズ・ブロスナン然り、ベテラン英国俳優もちゃんと出ています。

ストーリーは結局は世界を救えてないんですよね。だから、邦題のサブタイトルの最後は“!”ではなく“?”にしたほうがいいんじゃないかと思う。
でも、頭半分割れていても不動産業が営めるくらいだから平和なのかな。あと、滅んだ未来だと、なんでみんなフードみたいなのかぶっているのか気になる。元ネタはあるんでしょうか。『クラウド・アトラス』でも同じ恰好してた。

最後の最後、水を注文するシーンは、観終わったあとにはどうかなーと思ってしまったけれど、いまとなってはあれで良かったと思う。お酒を飲んで楽しくやっていてほしい、という気持ちはあるけれど、病人ですからね。それに、その少し前、壊れていく世界を見ながら親友アンディに肩を抱かれて弱音を吐くシーンがいいんですよね。今回はニック・フロストの役のほうが大人でもある。それで、最後にビール頼んでたらだめでしょう。水でも、相変わらず大暴れしてるみたいだし、あれでいいんだ。あれ以上のラストはないです。


今回、したコメで観たのでトークショーも付いていたんですが、イギリスの文化について少し補足があった。
一つ驚いたのは、トイレにすぐに行ったら、酒が弱いとみなされるらしいです。なので、マーティン演じるオリバーは何軒目かの移動中に「そろそろトイレ行ってもいいかな?」とわざわざ仲間に断り、ゲイリーは「昔より酒に強くなったな」というようなことを言う。

あと、オリバーが序盤で連呼している「WTF!」は「What The Fuck!」の略で、Fワードが言い難いのでこうなっているらしい。「なんてこった!」みたいな意味みたいなので、「OMG!」とも近いのかもしれない。

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