『ウィンターズ・ボーン』


2010年公開。寒さが厳しい地区の貧困層の話ということで『フローズン・リバー』と同じカナダ国境辺りの地域の話かと思っていたが、ミズーリ州らしい。合間とエンディングテーマにカントリーミュージックも使われている。アメリカの中では中部だけれど、この場所も夏は暑く冬は寒いという厳しい土地らしい。

クスリや犯罪が蔓延している閉鎖された村が舞台。17歳のリーは、父は逮捕され、母は病を煩い、小さな弟と妹の世話をして生活をしていかなくてはいけない。それなのに、父は保釈中に逃げ出して、家と森を担保にいれていると言う。裁判までに現れないと、家まで失うことになる。
そんな状態でも彼女には「どうしたらいいと思う?」と相談する相手もいなければ、助けてくれる人もいない。仕方なく自分で動けば、噂は広まって、ヘタに動くなと殴られる。八方ふさがり。終始いたたまれない。
金のために軍隊に入ろうとする面接のシーンで、断られはするけども、話してすっきりしたような顔をしていたのが印象的だった。

そんな中でも、ふてぶてしいまでに気丈に振る舞ってはいたけれど、ラスト付近の、殺されて池に沈められた父親の屍体の腕を持って引き上げるシーンではさすがに涙を流していたし、これ以上つらいことはないだろう。しかも、確かに死んでいると証明するために、それを持ち帰るため、腕をチェーンソーで切り取るのだ。

ジェニファー・ローレンスの演技がすごい。肝が据わったような強い光を持つ目と、挑戦的な顔をしたときの色気がいい。
なんとなく、一筋縄ではいかない役が多いのかもしれない。
ヤンキー的というか、育ちがあまりよくなさそうな役という点では『世界でひとつのプレイブック』と同じかも。

ジェニファー・ローレンスはこの作品でもアカデミー主演女優賞にノミネートされていましたが、“主演”女優賞なら、『世界にひとつの〜』よりこっちだろうと思います。

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