『サンシャイン/歌声が響く街』


原題は“SUNSHINE ON LEITH”。タイトル通り、スコットランドの映画。
監督は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』のソープ役(主人公四人組の一人)のデクスター・フレッチャー。
『トレイン・スポッティング』のスタッフらしいのも、さすがスコットランド。

以下、ネタバレです。








ミュージカル映画なんですが、途中までオリジナルスコアなのかと思って観ていたら最後に使われていたのが“I'm gonna be”だった。じゃあすべて既存の曲だったのかなと思ったら、すべてがプロクレイマーズの楽曲で、原題の“SUNSHINE ON LEITH”も1988年にリリースされたアルバムのタイトルとのこと。
この映画自体がもともとは2007年にスコットランドで上演されたミュージカルで、脚本家の方が、国民的バンドであるプロクレイマーズの楽曲を使ったミュージカルを作りたいということで始まった企画らしい。バンドありきだった。

公式サイトなどには、ハッピーになれる!とか、スコットランド版『マンマ・ミーア!』とか書いてあるけれど、あのような突き抜けたハッピーさはない。大体、 『マンマ・ミーア!』は舞台がエーゲ海で、美しい海や島という舞台もあの映画のいい意味での脳天気なハッピーさを作り出していたと思うけれど、今作は舞台 がスコットランドである。リース、エジンバラ、グラスゴーである。そこからしてまず違う。

そしてオープニングも、イギリス兵がいつ死ぬかわからないという状況の中で、友人が地雷に当たるシーンなのだ。

家族とそれを取り巻く人々の群像劇のようになっていて、誰か一人が主人公というより、それぞれの気持ちがよくわかるような作りになっている。
誰もがハッピーになるわけではなくて、でも、それぞれの考えもわかるし、かみ合わないのもよくわかる。
だから、少しほろ苦い結末になってしまっても、アンハッピーエンドというわけではなくて、あたたかい気持ちになる。

『マンマ・ミーア!』のようにスコーンと爽快で楽しいというわけではないけれど、これはこれでとても好きです。

スコットランドの街並みが美しい。建物が古そうなのと、自然が残っていそうなところがいいです。都会と田舎の間のような感じがする。行ってみたい。

この映画、ミュージカルではあるんですが、歌が自然というか、ミュージカル映画にありがちな仰々しさがないのがいい。
出てくる役者さんが全員、すごく歌や踊りがすごくうまい!ってわけじゃないんですね。中にはうまい方もいるので、差がはっきりわかってしまったり。デイヴィーとイヴォンヌのシーンでは、イヴォンヌのうまさが目立ってた。でも、その慣れてない雰囲気が良くもあった。

デイヴィー役のジョージ・マッケイはイギリスっぽい顔立ちというか、サッカー選手っぽい顔立ちというか、気になりました。他の出演作も観たい。
去年末に発表されたBAFTAスコットランド・アワード2013を席巻した『For Those in Peril』という作品で主演らしい。日本で公開されるかわからないし、公開されたとしてもおそらくこのタイトルではないと思うので、見逃さないようにしたい。

また、アリー役のケヴィン・ガスリーはジェームズ・マカヴォイの『マクベス』に出演していたらしい。去年、私はこの舞台を観たので、知らぬ間に目にしていた。
ロブ役のピーター・ミュランも味のある歌声でした。うまいというわけではないけれどいい声。
歌のシーンはなかったけれど、イギリス兵役で『天使の分け前』の主演のポール・ブラニガンも出ていた。

ミュージカル映画で、脇役が急に歌い出すのが好きなんですが、ジーンが働いているミュージアム(ナショナルギャラリー?)の支配人が歌い踊り出すシーンが楽しかった。優しい同僚たちも一緒に歌う。場所がミュージアム内なのも楽しい。

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