『キラー・スナイパー』


アメリカでは2011年公開。日本ではおそらくDVDスルー。
まったく調べずに観ていたんですが、若い無名監督だと思っていたら、『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン監督だった。78歳。
後半にエロ鬼畜というか、少し過激なシーンが入るため、まさか、78歳の方が監督とは思わなかった。
もともとは、原題である『Killer Joe』と同名タイトルの舞台劇が原作らしい。

少し変わった話で、観ながらも、気持ちの持って行き方がよくわからなかった。
エミール・ハーシュ演じるクリスが自分の母親を保険金目的で殺そうと、マシュー・マコノヒー演じる殺し屋のジョーを雇う。
ジョーは警察官でもあるようだったので、実は事件の捜査をしていて、最後に警察官としての本領を発揮するのかと思ったらしなかった。
ジョーは、劇中でも“死んだ目をしている”と言われているんですが、何を考えているかわからない怖い人物。なんとなく、最後に正義感を発揮して安心させてもらいたかったのかもしれない。
しかし、最後まで怖いまま、むしろ、最後の方になるにつれて、怖い方に本領を発揮していた。

その怖い男を演じるマシュー・マコノヒーの演技が良かった。
ジュノー・テンプル演じるクリスの妹、ドティーがとても可愛いのですが、彼女を“担保”としてもらったときの部屋での様子も素晴らしかった。
怖い男なので、暴力的にどうにかするのかと思ったら、好きになった相手にはとても優しい。それでいて、きっちり手は出すし、そのシーンのセクシーさも良かった。

けれどやはり、最後の継母を殴るあたりからの鬼畜演技がすごかった。女性の顔面にパンチを入れて、血だらけの顔面のまま、男根に見立てたフライドチキンをしゃぶらせる、やりすぎともいえる描写。各国でR指定になっているみたいだけど、おそらくこのせいだと思う。

この映画に限らず、なんとなく、主人公はまともであってほしいとどこかしらで思いながら映画を観ているようで、ジョーが怖く、クリスも情けない以上、もう誰を心の拠りどころというか、共感どころにしていいかわからない。それで、気持ちの持って行き方がわからなくなってしまったのだと思う。

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