『メイズ・ランナー 最期の迷宮』



メイズ・ランナーシリーズ三作目。一作目が公開されたのが2014年、二作目が2015年。日本だと一作目が2015年5月、二作目が同年の10月と、間を空けずに公開されたが三作目は三年経ってしまった。
なぜか一作目は覚えていて二作目の内容を忘れてしまっていたんですが、本作は続きというか、クライマックスのようなシーンから始まるので復習しておいたほうが良さそう。
監督は三作ともウェス・ボール。すべて一人で手がけているのは好感が持てる。

以下、ネタバレです。







疾走する列車の中にミンホが捕らえられていて、それを救助に向かうトーマスたち…という、映画終盤のようなアクションシーンから始まるけれど、まったくおぼえていなかったので、何が始まったのかわからなかった。
特に同行していた大人のホルヘは誰だかすら不明で、復習しておけば良かったと思った。

観ている間にクランケやWCKDという単語は思い出したけれど、観る前まではまったく忘れていた。
ミンホ以外の仲間は救出できるが、ミンホは別の場所へ連れ去られてしまう。
クランケになるウィルスを避けるために金持ちたちは壁の中に暮らしていて、そこへの潜入作戦が始まるんですが、ゴツめの体で顔が隠れていて、それはまるで正体を隠しているようで……と思って、え!もしかして!と思ったら、ウィル・ポールター演じるギャリーがここで大復活。原作でも復活もするらしい。
個人的に1のときに、ウィル・ポールターが退場したのがすごく残念だったので、復活はとても嬉しかったし、ここまでの序盤、話がわからずにぼんやり観てしまっていたけれど、一気に目が覚めた。
なら2で復活してくれればよかったのに、とも思ったけれど、おそらく原作通りということなのだろう。
でも、ウィル・ポールターがかなり演技がうまくて、浮いてしまっているように感じた。他の人が下手というわけではなくて、上手すぎるのだ。

ギャリーとトーマスとニュートの並びというのは、原作がヤングアダルト小説な面もあるのか、やはり漫画的に見える。主人公に金髪美青年にガキ大将とキャラクターがたっている。

ピンチに空から助けが来るシーンが複数回、上から吊り下げられて助けられるのが二回と、パターンが決まってしまっていて、もう少し工夫が欲しかった気もする。しかし、バスが吊り下げられて落とされるシーンは、バスが丈夫すぎるし、あんなことをされて中の子供が無事なわけはないとも思ったけれど、もとの状態に戻った時に、バスの行き先表示がOut Of Service(回送)に変わるのが、ちょっとお洒落だったので許した。くすっとしました。

ミンホを救出すると、アジア系のキャラも加わって、四人並ぶと、更に漫画っぽさが増す。加えてトーマスに、世界を救える特別な血を持っているという、これ以上ないくらいの主人公属性が付加される。

これも主人公っぽいといえばぽいのですが、劇中でも言われていたけれど、彼は全員救おうとするんですね。ミンホ、ニュート、テレサ…。いろいろなものを救出しようとするせいで、ストーリー自体はかなり取っ散らかった印象だった。
ただ、それは、ニュートが残した手紙に書かれてた“正しいこと”なのだろうし、こうしなければトーマスではない。そういうキャラなのだから仕方ないのかもしれないと考えると難しいところではある。

ただ、大事な人がたくさんいたことで、最後のニュートの手紙のあとに、石にテレサの名前を刻むのはどうなのだろうと思ってしまった。ニュートの手紙を噛み締めながらニュートの名前を刻めばいいと思う。ニュートの手紙の後に手紙に関係のない人物の名前を刻まれると、まるでニュートの手紙の内容がトーマスの心に響いていないように思えてしまう。手紙を読みながらも、テレサのことを思い出していたように見える。
テレサの名前を刻むなという話ではなく、トーマスにとって、ニュートもテレサも大切だったのだろうから、手紙の後にはニュートの名前を、そして、テレサの名前を刻む前にはテレサとの思い出を噛み締めたらいいと思う。
この辺は演出がうまくないと思った。

最後、血清を海に投げ捨てるのかと思ったら、大事に持ってるんですよね…。一応、今回でおしまいとのことですが、続編でニュートが出てきたりはしないのだろうか。
死んだと思ったキャラが二回も復活したら、それこそ、ご都合主義になってしまうか。
それに、原作小説は三部作らしく、映画もそれに倣っているらしいので、終わりかな。
綺麗に終わったとも思うけれど、トーマスの血清でニュートが救われるという展開があるならば、ぜひ作って欲しい。

ニュート役のトーマス・B・サングスターは、童顔は変わらずだけれど、だいぶ大人になってきた。大人になってきたというか、もう28歳ですが。
ニュートもクランケになってしまうため、ゾンビものの定石みたいなのが使えたと思うんですが、中でもトーマスが正気を失ったニュートを泣きながら殺すみたいなゾンビセンチメンタルはやってほしかったと思う。観ていて落ち込みそうだけれど。ニュートが自分で自分の胸を刺すというのもなかなか辛くはあった。

そして、エイダン・ギレンもよかった。『ゲーム・オブ・スローンズ』のベイリッシュ公もそうでしたが、腹黒な役がよく似合う。余裕をぶちかました笑顔と柔らかい物腰が素敵です。そして、何より声がセクシーでした。






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