『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』



2014年公開。
シネマトゥデイには“名門校に通う2人の男子が、学園で一番の生徒になろうと火花を散らす姿を、ある美少女との恋を交えて活写する。”というあらすじが載っていて、私が認識していたストーリーもそんな感じでした。

しかし、オープニングは色男のような男性は出てこない。モブとまではいかないが、色男と付き合えなかった女性、友達などがかつての校長先生が危篤になっているということで病院に集まってくる。
ちょっとした同窓会のようになっていて、そこで大人になった彼らが高校生当時のことを思い出すという内容。一体、その時になにが起こったのか?というのが徐々に明らかになっていき、少しミステリー調でもある展開がおもしろい。
また、彼らが明らかにカメラ目線でこちらに向かって説明してくるのもおもしろかった。

現在の病院と、過去の学生時代が交互に出てきて、過去ではイケメン二人と美女が主人公である。
学校は、御曹司グループと、ガリ勉グループに分かれていて、御曹司グループの中心にいるのがバンドをやっているロハンである。学校での権力を欲しいままにしていたが、そこにガリ勉グループの星としてアビが転入してくる。
属しているグループも違えば、生活も性格もまるで違う二人。当然ロハンは突っかかっていくけれど、サッカーで同じチームになり、アビがロハンにゴールを譲ったことで二人は仲良くなる。

この二人だけ明らかにイケメン。しかも、過去パートにはダンスシーンもふんだんに取り入れられている。二人はダンスも一流でした。インド映画は俳優がダンスも踊れるのがすごい。また、肉体美も素晴らしくて、この二人とロハンの彼女のシャナーヤが出てきて、音楽が流れると、動きがスローモーションになって、まるでイメージビデオのようになっていた。
過去パートはほとんどミュージカルのようで、夢っぽくも見える。

現在の病院と、過去の学生時代とは雰囲気がまったく違う。それに、現在パートにはイケメン二人と美女は出てこない。もしかしたら、三人は存在しなくて、偶像か象徴のような存在なのかもしれないと思ってしまった。
そうしたら、このモブたちは一体なんの話をしているのだろう?

しかし、半分くらいストーリーが進んだところで、大人になったロハンが病院に来た。相変わらずイケメンではあるけれど、学生時代のようにキラキラはしていない。
現在パートに出てきたところで、現実堕ちしてしまったのが少し残念だった。夢の中の人物のままでもよかった。

学生時代パートは、学園ナンバーワンを決めるスチューデント・オブ・ザ・イヤーの開催に入る。階段に、イケメン二人と美女と病院にいるモブたちが座っているシーンが印象的だった。スクールカーストというほど上下はついていないと思うけれど、今までなら仲良くなることのなかった人物たちがロハンとアビが仲良くなることで、垣根が消えて、奇妙な友情が芽生えている。

スチューデント・オブ・ザ・イヤーは、小テストのあと、四人1組の謎解きのようなものが行われるが、それが、わちゃわちゃしていて非常に楽しかった。また、スチューデント・オブ・ザ・イヤーの発案者である校長が、「次はダンス対決です」などというから盛り上がってしまった。
しかし、ダンス対決までに、ロハンは家族と揉めるし、アビの祖母も亡くなり、いろいろある中で、ロハンの彼女のシャナーヤもアビのことが好きになってしまい、恋愛面でも家族面でも問題が出てきて、シリアスにこじれていく。
それでもダンス対決のシーンはとても長かったし、ディスコっぽい音楽が楽しかった。インドではディスコ上映なんてものも行われたらしい。楽しそう。

けれど、次のトライアスロンはロハンとアビがシャナーヤを賭けて真剣勝負になってしまう。
結局、ロハンが勝つものの、表彰式でモブ側の主人公である弁護士の男性が、スチューデント・オブ・ザ・イヤーというイベント自体とその発案者である校長に異議を申し立てる。こんなの、僕らの友情を壊すだけではないかと。

弁護士の男性はイケメン二人とはまるで違っていて、体型も太っているし、とてもスチューデント・オブ・ザ・イヤーには選ばれない(でもダンスはうまかった。さすが)。彼は、このイベントは、自分とは関係のないイケメンたちのものだし、これがきっかけで友情が壊れるのは納得がいかないと思ったのだろう。
もしかしたら、強烈なコンテスト批判でもあるのかなと思った。
でも、ならばロハンは現在パートに出てきてほしくなかった。アビとシャナーヤも終盤に病院パートに出てきてしまう。彼らも現実側に堕ちてきた。

モブの彼らがイケメンと美女のことをどう思っていたか、というのを焦点にして、最後までモブ目線でやってほしかったと思う。
けれど、弁護士の男性は序盤で「僕が呼んでもみんな集まらないかもしれない」と不安そうだったけれど、ロハンもアビも来てくれたのだから、信頼もされているし、スチューデント・オブ・ザ・イヤーを越えても友情は続いていると示されていると思う。
また、校長先生が病床で、「25年教師を勤めてきて、最期に来てくれたのが八人だけだ」と言っていたけれど、それがスチューデント・オブ・ザ・イヤーを批判した彼らなのだから、最期に許されたということでいいのだろう。

ただ、だったら、最後まで、実はモブの弁護士が主人公でしたってことにしてほしかった。結局最後は、ロハンとアビが、あの日の決着をつけ直すシーンで終わっていた。せめて現在パートの主人公はモブたちにしてあげてほしかった。別にモブたちがロハンとアビのことを嫌いだったわけではないけれど、現在パートの中心までイケメンたちにかっさらわれてしまうと、モブたちの居場所がなくなってしまうのだ。




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