『レディ・バード』



アカデミー賞作品賞、シアーシャ・ローナンが主演女優賞、ローリー・メトカーフが助演女優賞、グレタ・ガーウィグが監督賞、脚本賞にノミネートされた。
ゴールデン・グローブ賞では作品賞と主演女優賞を受賞しました。他、様々な賞にノミネートされた。

グレタ・ガーウィグの自伝的な話とのこと。『フランシス・ハ』のスマッシュヒット後に出演依頼などが多数来るかと思ったら案外暇でその間に書いた脚本らしい。

以下、ネタバレです。










この映画の舞台が何年なのかはクレジットなど出ないんですが、彼氏の祖母の家にレーガンのポスターが貼ってあって、この映画も『エンジェルス・イン・アメリカ』や『アイ,トーニャ』のように80年代の話なのかと思った。しかし、ハッピーニューイヤーの場面で2003年のメガネをかけていたので違いました。
けれど、2003年なのに、いまだにレーガンのポスターを貼っているということでヤバさは際立った。レーガンを何年も引きずっているということで、超保守の祖母です。

レディ・バードというのは本名でもあだ名でもなく、自らこう呼んでと決めた名前である。それだけでもだいぶ痛々しい。
サクラメントという町がどの程度の田舎なのかはわからないけれど、その場所が嫌で、東海岸に逃げ出したくてじたばたしている女子高生の話。

グレタ・ガーウィグ脚本・主演の『フランシス・ハ』のフランシスも痛々しかったけど、本作も似ていたと思う。見栄を張るための嘘と、結局それに追い詰められる自分と。

あと、やはり男よりも女同士の友情のほうが信じられるあたりとか。ただ、『フランシス・ハ』ほど、友情面に重きは置かれていなかった。変な姿勢で二人でおかし食べながらオナニー談義するところとか、二人とも失恋して車の中で一緒に泣くところとか、結局男から離れてプロムでお友達と踊るところとか好きだったけど。このプロムの時の絶妙にセンスが悪いドレス、最高でした。自然体のほうがおしゃれで、気合を入れようとすると空回りする。
ちなみにこの友達役のビーニー・フェルドスタインはジョナ・ヒルの妹さんらしい。似てる!

友情面や恋愛面より、親子というか、母娘面に重きが置かれていた。脚本も最初は『Mothers and Daughters』というタイトルだったらしい。
この映画を観る前は、なんとなく自分にも思い当たる節のある映画になるのかなと思っていた。自分の青春時代を思い出してしまうかと思っていた。
18歳になったからと言いながら煙草とプレイボーイを買いに行くあたりでは、20歳になった3日目から煙草を吸い始めたことを思い出したりはしたけれど、母とあそこまで険悪になったことがないというか、家族とあそこまで密な関係になったことがないので、そのあたりでは自分の映画ではなかったかなと思ってしまった。

レディ・バードがサクラメントを恨みながらも小論文に事細かく書いてシスターに褒められるシーンで、「“注意を払う”と“愛情”は同じじゃないかしら」と言われていた。それはそのまま、レディ・バードと母の関係にも当てはまると思う。激しく衝突をするシーンがいくつも出てきて、最後のほうでは何日間も口を利かないというシーンもあった。
私自身は母と喧嘩をしたことがないわけではないけれど、そこまで衝突をしたことがなかった。家を出て随分経ってるから忘れてしまったわけではない。

母や家族との関係性がこの映画と私とで明らかにかけ離れているため、私の映画とは思えなかった。
もう少し、友情面や彼氏たちとの関係や恋愛面の痛々しさがフォーカスされていたら違ったかもしれない。

『勝手にふるえてろ』のヨシカの痛々しさは本当に私に似ていて、個人的すぎて感想が書けないくらいだった。『レディ・バード』についても同じような感じになるのではないかと思ったけれど、そこまでは抉られるような映画ではなかった。もっと抉ってきてほしかった。他人事になってしまった。

別に映画なんだし他人事でいいんだけど、キャッチコピーで“これは、あなたの映画”というのもあったし、そのつもりで臨んでしまったのだ。自分と似ている部分がないわけではなくても、家族や母娘関係が主題のようになっていたので、その面では入り込めなかった。映画が悪いわけではなく、私の映画に対する姿勢が悪かった。
それならそうと最初から言ってほしかった。別に親子ものが苦手というわけではない。どうせなら、グザヴィエ・ドラン作品っぽい気持ちで観たかった。

主演はシアーシャ・ローナン。髪が赤だかピンクだかに染めていて、でも根本に地の色が出てきてしまっていて、綺麗とは言えない感じになっていたのが逆におしゃれ。紫のネイルも時々剥げていてリアルだった。服装もどれもこれも可愛かった。

一人目の彼氏がルーカス・ヘッジズ。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされていた。『スリー・ビルボード』にも出ていたし、作品のチョイスが素晴らしい。
彼が演じるダニーの祖母がレーガンのポスターを貼っている超保守です。しかも家の感じから、金持ちだし、おそらく一族を牛耳っていそうだし、逆らえないのだろう。家族も敬虔なクリスチャンなのだと思う。しかし、ダニーはゲイだった。こんな超保守がいる中でゲイなのは辛かろうと思う。
たぶんそれがわかっているレディ・バードも、彼を責めてはいなかった。
ダニーは、本当はレディ・バードのことを好きになれたらいいのにと思っていただろう。気持ちには答えようとしてくれていたのだと思う。それでも、恋愛対象が同性であることは変えられなかった。仕方ないのだ。彼の将来に幸あれ。
どちらかというと、この彼との関係に焦点を当ててほしかった気もする。でもそうしたら『わたしはロランス』みたいになるだけかも。

二人目の彼氏役カイル役にティモシー・シャラメ。
ベースを弾いている姿からすでにかっこいいけれど、常に気怠げ、笑わない。クール。しかし話す内容は、携帯電話のGPSで政府に管理されてるとか、煙草は自分で巻くとかわりといけすかないことばかり。色気のあるイケメンだけど、高校生なのにすでに6人かそれ以上(カウントしてないと言っていた)と経験を持っているという…。レディ・バードはそれを知らずにその人と初体験をしてしまう。

彼氏役の二人は旬の俳優を揃えたなという感じ。ミーハー目線で見るとどちらも出てきているのは嬉しい。できれば対立するシーンなどもあるとよかったけど別々です。旬ゆえか。
ルーカス・ヘッジズは誠実さも見えるいい役だったけど、ティモシー・シャラメは本作ではほとんどギャグ要員ですね。


1 comments:

  • Traffic Ranker | June 20, 2019 at 5:11 PM

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