『アントマン&ワスプ』



2015年公開『アントマン』の続編。
監督は前作と同じペイトン・リード。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と同じく、シリーズで同じ監督だと世界観も同じになるのがよくわかった。(だから、GotGについては別の監督で続編というのはありえないと思っている)

MCU20作目。ですが、時系列は前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の少し前とのこと。MCU10周年ということで10の文字が浮かび上がり、他のシリーズにも想いを馳せた。
けれど、この映画自体は、MCUを追っていなくても、単体でも楽しめる。前作を観ていたほうがキャラクターに愛着はわくかと思いますが、本作からでも十分楽しい。

以下、ネタバレです。『インフィニティ・ウォー』のネタバレも含みます。















前作ではアントマンは小さくなるだけだったけれど、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にて大きくもなれることが明かされた。今回は大きくなる能力も存分に使われる。

前作は駄目な父親のスコットがヒーロー(アントマン)になって娘の信頼を取り戻す話だったと思う。
クライマックスでは量子世界へ行って、不可能と思われたそこからの帰還を成し遂げる。ハンクの妻も量子世界で行方不明になっており、ひょっとしたら帰還が望めるのでは…という話が出ていた。
今作は、ハンクの妻であり、ホープ(ワスプ)の母であるジャネットを探す話がメインです。だから、どちらかというとアントマン(スコット)よりは、ハンク親子がメインかなと思った。
他にも、スコットと娘のキャシーはもちろん、ビルとエイヴァも擬似ではあるけれど父娘のようで、全体的に親子愛がテーマだったと思う。

敵らしい敵は出てこない…というのは言い過ぎだけど、強力で極悪な所謂ヴィランは出てこない。
バーチは結局ただの金に汚い小狡い男だし、エイヴァもジャネットの力を利用しようとはしていても、元々は被害者だから、悪とも違う。
だから、戦い自体は殺してやろうとか殺されるといったものではなく、奪ったり奪い返したりがメインです。

ただ、そのバトルが自分も大きくなったり小さくなったりするし、出てくるもののサイズも自由自在に変えられるので観ていて愉快。
予告でもビルを縮ませてスーツケースのように運んだり、キティちゃんのペッツを投げつけてから大きくして障害物にしたりと、映像的に見応えがありそうだと思ったけど、そのようなものの連続だった。
カーチェイスもミニカーになったり、蜂になって敵の車に侵入して中で大きくなったりと一筋縄ではいかなかった。
海で大きくなってクジラと間違えられたり、スマホでばんばん写真を撮られているのもおもしろかった。
また、今回も蟻たちは手伝ってくれる。大量の蟻たちが出てくるけれど、海辺ではどんどんカモメに食べられてしまっていた…。でもこれも虫ゆえの特徴である。

バトルを純粋に楽しめたのも、生死が関わってなかったせいもあるかもしれない。
ただ、量子世界に行ったハンクがジャネットを見つけて連れて帰るというミッションは、どちらかが死ぬか、二人とも死んでしまうのではないかと思っていた。こちら二人がメインで、アントマンとワスプはサポートといった感じに思えた。

ちなみにここに、スコットの悪友三人組も加わっている。この三人の悪ふざけは前作から引き続き可愛かった。『ダークナイト』のシフ役でお馴染みのデヴィッド・ダストマルチャンは、個人的に出てくるだけで嬉しいのですが、マイケル・ペーニャが徹頭徹尾ずっと可愛い。愛されキャラです。また、前作にもあった、早口で過去を振り返るシーンもあって大満足。この三人のカラーがそのままなのは、同じ監督ならではだと思う。
それを言うなら、ポール・ラッドもです。スコットはGotGのピーター・クイルをもっとダメにして年を取らせたキャラだと思う。しかも、今回は見た感じだと主役ですらなかった。それでも、なぜか魅力的だし嫌いになれないのはポール・ラッドが演じているからだと思う。特に、ジャネットが憑依したあたりの、感動的なのになんとなくコントみたいな空気は絶妙だった。

本作は、これはこれで楽しく観られたからいいのですが、一つケチを付けるなら、アントマンとワスプの二人の共闘シーンがもっとあっても良かったかなとは思う。これはスコットのスーツが最後まで不調(やっぱり主役だとは思えない…)だったせいもあると思う。不調なせいで、娘の学校で中途半端なサイズに縮んでいたシーンは、デッドプールが下半身だけ赤ちゃんになっていたのと同じような気持ち悪さがあった…。スコットも自在にサイズを変えられたら、もっとまともに戦えたのかもしれない。
『シビル・ウォー』で、ホークアイの弓矢にアントマンが乗っていたけれど、あんな感じの斬新な共闘が観たかったとも思う。二人ともサイズを変えられたら、色々出来そう。次回に期待。

ハンクもジャネットも量子世界から帰ってくるし、エイヴァの体も治った。FBIに監視される期間も終わり、スコットとホープもいい雰囲気。
楽しく観られたし、これ以上のハッピーエンドってないと思っていた。完全に油断してました。

エンドロールで、スコットが量子世界に入っていき、普通の世界のハンク、ジャネット、ホープとコンタクトを取っていたんですが、急に音声が途切れる。
不思議に思っていたら、三人は塵のように消えてしまって…。
あー! 『インフィニティ・ウォー』とここで繋がってしまった!
かさぶたを無理やり剥がされて、爪でぐりぐりとやられたような感じだった。『インフィニティ・ウォー』と同じくなすすべなく泣くしかないようなつらさがまた訪れた。
だいぶ傷が癒えてきたと思ってたのに…。そうだった。世界は大変なことになっていた。

本作は時系列的には『インフィニティ・ウォー』の前ということは以前から言われていたが、『インフィニティ・ウォー』を観た後ではそりゃそうだろうと思った。『インフィニティ・ウォー』にアントマンは参加していなかったが、あの後の世界を一人(タイトルからするとワスプもいるのだろうから二人か)で背負っていくのはつらすぎるだろうと思っていた。
それに、前作『アントマン』はこぢんまりはしていても、クスッとくるし、親子愛が描かれている、誰が観てもおもしろい作品だった。『インフィニティ・ウォー』後の世界はどうしたってシリアスにならざるをえない。『アントマン』の世界とはかけ離れてしまう。
だから、本作はあくまでも『インフィニティ・ウォー』とは別次元での楽しい話なのかと思ってた。

違うのだ。『アントマン』もMCUなのだし、同じ世界線である。
繋がってしまったのはいいんだけど、スコットは量子世界に取り残されてしまっているけどどうなるのだろう。気になるし、もしかしたら何かキーになるのかもしれない。
クォンタム…ということは『ドクター・ストレンジ』…? それに、量子世界で、『ドクター・ストレンジ』に出てきた万華鏡のような映像も少し出てきた。何か関係があるのかもしれない。

つらいけれど、ますます『アベンジャーズ4』が楽しみになったことは間違いないです。
本作は単体の作品としても楽しめたし、引きでばっちり次作以降への興味も持続させる。
毎回思うけれど、MCUを追っていて良かったし、これからも追い続けるしかなくなった。


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