『ボヘミアン・ラプソディ』



クイーンとフレディ・マーキュリーの自伝的な映画。監督はブライアン・シンガー。
クイーンの曲が素晴らしいので、それだけでも失敗はないだろうと思っていたけれど、メンバーを演じる俳優が似ているのと、クイーンに対する敬意のようなものが存分に感じられた。

以下、ネタバレです。







ネタバレとはいっても、クイーンでライブエイドに出ることは知っていたし、ジム・ハットンがパートナーであることも知っていたし、エイズで亡くなることも知っていた。だから、クライマックスはわかっていたのだ。私は普段はネタバレを絶対に入れないようにして映画を観ますが、逆に、ネタバレを入れて、展開がわかった上で安心して映画を見る方もいるようで、今回はその気持ちがわかりました。でも、基本的にストーリーで驚きたいのでネタバレは入れません。

ただ、結成までの話や、フレディ・マーキュリーの生い立ちなどは知らなかった。根本的なところというか、フレディ・マーキュリーがザンジバル出身なことも知らなかった。本人は隠したがっていたとのことだったので、曲は好きというくらいの好き具合では入ってこない情報だったのだろうか。
どの程度実話なのかはわかりませんが、「パキ(スタン)野郎」と罵られながら空港で働いていたことも知らなかったし、その時に出会った女性と一度は恋愛関係になったものの、別れ、それでも友情は続いたということも知らなかった。

もちろん音楽映画なのですが、セクシャリティが揺らぎ、それは公表できずに、男性や多数の人間と関係を持ち、エイズになってしまうという、80年代を舞台にした同性愛映画の側面もあると思った。現代なら、あの時代ほど同性愛に厳しくないだろうし、公表をしていたかもしれない。また、エイズも不治の病ではなくなっている。
今年はNTLですが『エンジェルス・イン・アメリカ』や『BPM』など、80年代同性愛映画をよく観ているんですが、この映画もその一端だと思った。しかし、これはフィクションではなく、フレディ・マーキュリーの人生だというのもすごい。

バンド自体というか、この映画本編として、ファンとして観に行っていたバンドからボーカルが抜けて雇ってもらう→売れる→ボーカルのワンマンになっていき、バンドが不仲になる→一人になったボーカルが荒れた生活をする→ボーカルが反省をしてバンドに戻る→ライブで大成功というのは、よくあるといえばよくある展開だと思うし、他のバンドとさほど変わらない。『ジャージー・ボーイズ』も再結成はしないけれど似たような展開である。

それでも、曲のワンフレーズをぽろんと弾いただけでどの曲がわかるのもバンドとしてすごいし、タイトルにもなっている有名曲、『ボヘミアン・ラプソディ』のレコーディング風景は曲が良い上に、バントとしても楽しそうで、観ていて笑いながら泣いてしまった。

フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックが好きなので、抜擢された時には全然似てないけど大丈夫なのかなと心配になった。でもそれを吹き飛ばすような演技だった。特に、ライブシーンのパフォーマンスが本人しか見えなかった。
また、それとは別に、ブライアン・メイ役のグウィリム・リーはブライアン・メイに瓜二つだった。特にこちらもライブシーンが本当にブライアン・メイにしか見えなかった。
また、ジム・ハットン役の方も似ていた。

エイズなのがわかるタイミングは実際にはどうだったのかわからないけれど、この映画ではライブエイド前にわかっていた。曲を作った時とは『ボヘミアン・ラプソディ』を歌う心境は明らかに違っていたのでは無いかと思うけれどどうなのだろうか。歌詞に意味なんてないと言っていたから別に変わらないのかな。
また、ジム・ハットンとの出会いと再会はフィクションのようです。

メンバー役の俳優さんたちについて、本当によくぞここまでという感じだったのですが、脇役のアレン・リーチ、トム・ホランダー、エイダン・ギレンの三人もかなり良かった。三人とも出てくるのを知らなかったのですが、三者三様それぞれうまい。特に、トム・ホランダーは重みに少しの愛嬌もあってうまかった。

もちろんクイーンのいろいろな曲が使われていますが、個人的には『Under Pressure』の使われ方が特に好きでした。荒れた生活を送った後で、考え直し、家で一人反省している場面で流れる。きっと、フレディにもプレッシャーで押しつぶされそうな時があったのだ。

ライブエイドのシーンはライブエイドの音源が使われているが、これはサントラに入っているらしい。また、序盤のライブシーンの音源も入っているようなので、サントラが欲しくなる。最初の20世紀フォックスのブライアン・メイが弾いたファンファーレも入っています。


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