『シャザム!』



監督はデヴィッド・F・サンドバーグ。
中身が子供のまま大人の姿のヒーローになっちゃって?ということで、大人役がザッカリー・リーヴァイ 、子供役がアッシャー・エンジェル(『ゲーム・オブ・スローンズ』のアリア・スタークに似ている)。
日本の宣伝の仕方が問題になってるし、私も問題だと思うけど、このネタバレのない予告を採用してくれた時点でいい仕事をしてくれたと思う。

以下、ネタバレです。







そもそも、ネタバレがあるタイプの映画だとは思わなかった。もっと軽く、さらっと見られるタイプかと思っていた。かといって、別に重いというわけではないです。ヒーロー物というより、家族物だった。しかも、疑似家族物であり、この要素については、予告にまったく出てこなかったので驚いた。

ピュアな心を持つ子供が魔術師の元に呼ばれてシャザムの力を引き継ぐのですが、本作のシャザムになるビリーの前にも何人も呼ばれていて、選ばれなかったことに嫉妬したサデウス(マーク・ストロング)が本作のヴィランとなる。
呼ばれた人たちは、「ハリーポッターのような魔術師が…」と言っていて、ハリーポッターは存在する世界なんだと思ったし、異世界らしき場所にいろんな人が連れて行かれることはそれほど変なことでもないようだった。世界観がいまいちよくわからない。

サデウスは子供の頃から父と兄に馬鹿にされているようだった。母も出てこないので存在しているのかはわからないが、家族に恵まれていない。
対するビリーも幼い頃に母とはぐれて以来、いろんな家に養子に出されては家出を繰り返して母を探していた。新しく行った家は子供がすでに五人いてその全員が個性的。お喋りな末っ子ダーラ、ゲーム好きのユージーン、太っていて無口なペドロ、ヒーロー好きで足が悪いフレディ、大学進学を目指す姉のメアリー。
彼らは人種もそれぞれで(夫婦も違う)、彼らが助け合いながら暮らしているのは、多様性なども示していたのかもしれない。その他にもちょっとした役でいろんな人種の俳優が使われていたと思う。

ヒーロー好きのフレディは同じ年くらいでビリーと同室なのだが、スーパーマンとかバットマンの話をしていて、さすがにマーベルヒーローの話は出てこないけど、ある意味メタなのかなと思いながら観ていた。
ビリーは異世界に連れて行かれ、若干ひきつつ、半笑いのまま契約をしてしまう。

元の世界に戻ると、コスプレか!と馬鹿にされて、別にヒーローが一般的ではない世界だということがわかる。戻り方もわからないし、肩身の狭い思いをしながら町を歩いて、でも家には戻れない。あたふたしながらフレディにだけ連絡をとり、姿を見せる。
このシーンがほとんどアドリブだったらしいのがおもしろい。演じているのはザッカリー・リヴァイなのに、子供が二人いるようにしか見えない。無邪気さが可愛いかった。中身が子供のままなのがよくわかるのはやはり演技がうまいのだと思う。
姿が大人だからビールもID無しで買えてしまうんですが、味覚も子供のままらしく、まずくてフレディと同じ動きでビールを吐き出す。代わりにスナックを買い込む。
フレディはサイドキックのような役割。ヒーローオタクなので、シャザムにどんなパワーがあるかを大喜びで解明しながら動画をインターネットに投稿する。
路上で歌いながらスーパーパワーを使って小銭を稼いでいて、その不意に手に入れたパワーを気軽に使っちゃう様子が好きでした。アニメの『時をかける少女』の真琴のようだった。
しかし、そのせいで重大事故を起こしてしまう。しかも、助けるほど使いこなせてないから、橋から落ちそうなバスの乗客に向かって、下にマットを引いて、「ここに飛び降りて!」と言っていた。でも格好はいっぱしのヒーローだから、乗客が呆れるという。このあたり、従来のヒーロー映画の展開をひっくり返すようで新しいと思った(ラスト付近の、遠くにいるヴィランの最後の長セリフを聞き取れないシーンも同様)。

しかし、ヴィランは構わずに襲ってきて、一般の人を巻き込まないためにビリーにも少しずつヒーローとしての自覚が芽生える。また、あれだけ探していた母にも実は捨てられたことがわかって、新しい家族との絆にも気づく。血の繋がりがなくてもちゃんと家族なのだ。
仲間…というか、家族の大切さに気づいたビリーと、家族についていい思い出のないサデウスと戦いである。

兄弟たちもシャザムの正体を知り、ヴィランと戦おうとする。シャザム自体も結局ビリーなので、子供たちが力を合わせて悪と戦っているようにしか見えなくなって、従来のヒーローものというよりは、『グーニーズ』のようにも見えてきた。
しかし、兄弟たちにはパワーはないし、フレディは足が悪い。助けたいという気持ちはあっても人質になってしまう。
しかし、ビリーは契約した時に、シャザムのポジションが何人分か空いていることを言われたのを思い出す。そこで、兄弟たちも一緒にシャザム化するのだ!(この時にビリーが「みんな、僕の名前を呼んで!」と言った時に兄弟たちが「ビリー!」って呼ぶのに笑ったが、兄弟たちにはあの姿でもビリーに見えているという証で、ギャグなだけのシーンではないと思う)
兄弟たちにもスーパーパワーが宿るのも予告に出てこなかったのでとても驚いたし、この『パワーレンジャー』のような見た目がアツい。しかも、中身はやっぱり子供のまま。特に末っ子のダーラがサンタさんに「いい子にしてるから来てね!」ってアピールするのが可愛かった。ダーラはスーパーヒーロー姿でも子供でも、どっちも可愛い。
またフレディは自分が飛べると元々信じているからびゅんびゅん飛び回る。

ラストは学校の食堂で孤立してしまっているフレディの元に兄弟たちが来て、シャザムも来る。学校のみんなは口あんぐりなんですが、「友達も呼んだよ」と言って、顔は出ないけど、スーパーマンもやってくる!これにはフレディも口あんぐり。
いまいちスーパーマンやバットマンがどの捉え方をされてる世界なのかわからなかったんですが、UMA的な、いるかいないかわからない伝説の存在みたいな感じなのだろうか。フレディはヒーローのロゴTシャツを着ていたし、スーパーマンに当たったつぶれた銃弾(証明書つき)を持っていた。
エンドロールのおまけでも、シャザムを金魚と話させようとして、アクアマンの能力があるか試そうとしていた。

シャザムがいろいろなDCヒーローと絡む漫画のエンディングも良かった。おちょくりながらも、DC愛とリスペクトを感じた。リスペクトは映画の本編でも感じられました。

原作でどうなのかわからないが、シャザムは、バットマンやスーパーマンに比べるとランク(というのがあるのかもわからないけれど)はだいぶ下だと思う。でも親しみやすさで言ったらピカイチだし、“ヒーローは孤独”という印象を吹っ飛ばしていた。
もしかしたら、兄弟がいても、一人だけスーパーパワーを持っていたら孤立してしまうかもしれない。でも、全員が等しくパワーを持ったことでそれも回避している。

そこまで出番があるわけではなかったが、兄弟全員が好きになってしまった。是非とも、他の兄弟の話も見たいので、続編をお願いしたい。エンドロール後にサデウスに新たな動きがありそうだったので、続編あるかな。本国でもヒットしてるし、高評価のようです。期待してます。

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