『キャビン』


 『アベンジャーズ』を監督したジョス・ウィードンが脚本、製作で関わってます。公開や撮影時期は『アベンジャーズ』の少し前。
若い男女が人里離れた場所でいちゃいちゃしている間に次々と襲われて…という定番中の定番のホラー設定だったけれど、そのままそのような映画ではないことは知っていた。でも、じゃあ、どんな話なのかというのはまったく耳に入れないようにしてのぞみました。この映画、予告編や公式サイト、ポスターまでがネタバレだというので、観る前にはかなり気をつけた。その結果、実際のストーリーは予想してたものとは二回転くらい違ってて、驚きとともに楽しめました。
以下、ネタバレです。







よくある定番ホラーの始まり方だった。肌色多めのギャルがちょっと恋愛について悩んだりしながら女友達や男の子とキャイキャイしている。それで遊びに行くことになって、途中に気味の悪い住民がいて、いやな予感がして…というよくある感じ。しかし、わりと序盤に種明かしはあった。彼らの姿をどこかの施設で監視しているのだ。どうやら、その施設の人たちが、若い男女をよくあるホラー風にプロデュースしようとしているらしい。
なんとなく、映画の中の山小屋パートは古典的なために古い映画のように見えて、なんだかよくわからない謎の施設のパートはハイテク満載のため最近の映画に見える。この二重構造が面白い。

モンスターを送り込んで、怖がっているギャルたちを監視しているときには、施設側の立場でもっとやれなんて思いながら観ていたけれど、途中から様子がおかしくなる。モンスターを使って若者たちを本当に殺し始めてから、もう一度、映画の方向性が見えなくなってくる。しかも、モンスターは作り物ではなく本物らしい。え、謎の施設でこの人たち何やってるの?何者なの?

そして、どうやら人を本当に殺しているのに、施設内ではドッキリ大・成・功!みたいな感じで大喜び。賭けまでしている。この辺から、施設側ではなく、若者側に感情移入先が変わった。この観客の視点変更の誘導も見事。

生き残った若者たちは逃げて施設に辿り着くんですが、ここでの出来事がおもしろい。施設内に保管されてた様々なモンスターが外に放たれる。
静寂の中、エレベータがチンという音を立てて、この階に止まったのを知らせる。扉が開き、よく知ってるモンスターや知らないモンスターが、ぐわっと大量に飛び出して来る。本当に多数の、いろんな種類の各国のモンスターが出てくるので、設定資料集みたいなのが欲しい。それぞれ細かい背景とかありそう。
このモンスター大集合具合を観ていると、ジョス・ウィードンはこの大集合系をうまくまとめるのが上手い人なのかなと思ってしまう。

モンスターたちは施設の人間を襲う。阿鼻叫喚。さっきまでひとごとだと笑っていた人たちがどんどん喰われていく。
ここでの人の襲われ方はなかなか壮絶で、やっぱりこの映画は一応ホラーなのかなと思う。ただ、モンスターたちの大量さ加減はいっそ清々しくて、楽しくなってしまう。わーきゃー言いながら観たい。怖くはないと思うけど、血は大量に出るのでその辺が駄目な人には向きません。

そして、最後にシガニー・ウィーバーがこの施設の所長役で出てくるのも無駄に豪華。ラストは更に話が大きくなって……。これは、本当に、他では観たことのないストーリーでした。意外性が高いです。

『マイティー・ソー』でブレイクした(かどうかは知りませんが)、クリス・へムズワーズも出てます。どこかで、『キャビン』の役から『マイティー・ソー』の役を指名されたみたいなのを見たと思ったんですが、ソースが不明なのと、『キャビン』の撮影時期もいまいちわからないので違うかもしれません。
ただ、すごくクリヘムらしい役です。クリヘムらしいというか、ソーっぽいというか。考えるより力勝負。バイクで突っ込んでいって壁に当たって死ぬというのもとてもそれらしい。


観終わったあとで、ネタバレだと噂の予告編を見てみたけど、確かに、本当に映画の前に見なくて良かったと思う内容だった。普通のホラー映画っぽいシーンもあるんだし、偽の予告でいいんじゃないかと思う。この場合はそんなシャレも必要でしょう。施設で監視しているシーンは入らないほうがいいと思う。
予告編って映画館で否応無しに見せられるものだから、『キャビン』の予告を流す映画を観なくて良かった。

そういえば、主題歌がNINの『Last』でした。このある意味、投げっぱなしで絶望しかない終わり方に続く、暴力的なギターリフがよく似合う。個人的に大好きな曲ということもありますが、この映画の締めに最高。

0 comments:

Post a Comment