『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』



2008年公開『マンマ・ミーア!』の10 年ぶりの続編。
前作を観てはいましたが、楽しかったという印象のみで、内容をほぼ忘れていました。たぶん、前作を観てからのほうが楽しめると思うので、復習をしておけばよかったと思った。また、本作を観ると絶対に前作が観たくなる。
監督はオル・パーカー。『マリー・ゴールドホテルで会いましょう』シリーズの脚本の方。

以下、ネタバレです。











まず、前作の主人公であるメリル・ストリープ演じるドナが亡くなっていて、前作ってそんな結末だったっけ?と思ったけれど、違った。本作は映画公開と同じく、前作より10年後設定とのこと。そして、ドナが亡くなったのは去年と言っていたので、前作では描かれていないですね。
娘のソフィは母の残したホテルを改築し、そのオープンパーティの準備を進めている。
その合間に母の昔の出来事が展開される。

とはいえ、過去の話ばかりというわけではなく、現在と半々くらいです。現在のソフィを演じるアマンダ・サイフリッド他、ドミニク・クーパー、すちゃらか男3人組(ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラん・スカルスガルド)、ダイナモスの2人(クリスティーン・バランスキー、ジュリー・ウォルターズ)と現在版キャストは続投。

過去のドナを演じるのがリリー・ジェームス。元気で奔放なドナがとても可愛い。ドナと出会う若いハリー、ビル、サムもそれぞれ可愛い。歌ももちろんうまいです。ハリー役の ヒュー・スキナーは少しマット・スミスに似ていた。『レ・ミゼラブル』に出ていたみたいなので、そこでアマンダ・サイフリッドと共演済みなのかな。レストランでの二人のダンスが楽しかった。ビル役のジョシュ・ディランはトム・グリン=カーニーと同じ学校(ギルドホール音楽演劇学校)で年も近い友人らしく、彼目当てでもありました。トム・グリン=カーニーもミュージカル映画に出てほしい。サム役は『戦火の馬』などのジェレミー・アーヴァイン。ちょっと情けない3人組…というかドナが魅力的すぎて3人組が情けなく見えてしまうのかもしれない。

彼らの他に若いダイナモスの2人も登場。彼女たちはいい友人であり、強い。ふられっぱなしでも、ドナを恨むことはしない。
現在の2人は、恰好良い男性を見れば「静まれ、私のヴァギナ」と言っていたりと相変わらず、口が悪い。でも恰好いいし、やはり可愛い。若い頃のキャストも、現在のキャストも全員可愛いのだ。
それに全員、良いキャラクターである。悩んだりはするけれど、人を恨まずにあっけらかんとしていて、いやなことがあっても、憂さ晴らしにケーキを食べたりお酒を飲めば忘れてしまう。だから、男3人ともどろどろの関係にはならないし、ダイナモス2人とも仲良しのままだ。これもドナの性格もあるのかもしれない。
映画を観ていて、嫌な気分になることがまったくない。

ソフィは、ホテルのオープンのパーティをやろうとしたけれど、嵐が来てめちゃくちゃになってしまう。飛行機も飛ばず、ゲストも来ない。島にいるサムはサポートをしてくれているけれど、ほかの父親2人は仕事でそれぞれ忙しい。
ご都合主義といえばそうなのだけれど、ハリーは長い会議を切り上げるし、ビルはスピーチに替え玉を立てる。双子だった。本来なら双子はご法度ですが。
また、フェリー乗り場で、過去に助けた男性に会って、恩返しをしてもらう。漁師たちが船を出してくれて、皆でパーティへ向かうのだ。
本当ならこのあたりの脚本にケチをつけたくなるところだけれど、今回は楽しく観てしまった。

そして、島に派手な船がやってくる。
コリン・ファースとステラン・スカルスガルドが船首でタイタニックポーズをやってるのが可愛かった。
そして、ここで満を辞してダンシングクイーンが流れる。
コリン・ファースもちゃんと踊っていて可愛い。人がたくさんいる中、コリン・ファースを目で追ってしまった。
コリン・ファースはこの前のシーンでも、椅子に縛られたまま海に落とされてずぶ濡れになったりと、散々だけれど可愛い。

また、パーティでの現在ダイナモス2人と亡くなったドナの代わりに現在ソフィの3人で歌うのも良かった。衣装も最高。過去シーンのダイナモスが店でマンマ・ミーアを歌うシーンも良かった。
ダイナモス関連のシーンは過去も現在も全部良かった。この映画はいいシーンが多すぎる。

メリル・ストリープに関しては、『ブリジット・ジョーンズの日記3』のヒュー・グラントも写真だけだけだったことを思い出した。きっと契約関係で写真だけになってしまったのだろうなと思っていた。でも、もし予算の関係ならば、ちょっとシェールの部分がおまけ的な要素としては長いと思ったので、シェールをばっさり削ってはどうか…などと思っていた。しかし、最後の最後、ソフィが赤ちゃんを教会に洗礼のために連れていくシーンで、ちゃんとメリル・ストリープが出てきた。これがすごく効果的でした。
出ないと思っていたのが最後に出てきて一曲歌う、しかもすごくうまい。それに、今までは写真で動かなかった母が動き、ソフィとの母娘のデュエットが実現する。
一緒に歌っていた曲は本来ならばラブソングなのだろうか。しっかりと母娘や絆の歌になっていた。
最初にドナが死んでいるということが明らかにされることで、全体的に楽しく能天気ではあるけれど、感傷的な空気が密かにずっと漂っていた。しかも、もちろんソフィにとっては母、男たち3人にとっては恋人、ダイナモスの2人にとっては友人ということで、ただでさえ喪失感は大きいけれど、前作の主人公であり、メリル・ストリープでもあるということで、失ったものをより大きく見せていた。
それが映画最後にきっちり出てくるのは、真打ち登場というか、出てくると出てこないでは映画の印象がだいぶ変わる。
ドナというか、メリル・ストリープが出てこなくても、ドナは話に出てくるし、常にみんなドナのことを考えているし、若いドナは出てきている。作品の中にずっとドナはいた。メリル・ストリープの出演がカメオ的になってしまったのは予算の関係もあるのかもしれないけれど、作り自体が実はとてもうまいのではないか。

また、エンドロール前の、歌のシーンが最高に楽しい。カーテンコールですね。登場人物が全員出てきて歌う。ここまで観て、全員のことが好きになっているので楽しかった。だから、過去、現在関係なく、全員勢揃いの海外版ポスターがとても良い。
過去の若いハリーがノリノリで煽りに行くのに、現在のハリーが踊らないぞ!といった感じにむすっとしている場面も楽しかった。

ABBAの曲がいいのはもちろんのこと。ミュージカル映画で曲が悪かったらどうしようもない。でも、それだけではなく、キャラクターが本当に良くて、観ているだけでにこにこしてしまった。とても好きな映画になってしまった。

大ヒット映画の続編、しかも10年ぶりともなれば、つまらなそうとかやめときゃいいのにと思ってしまっていたが、ちゃんと前作ありきに徹していたし、リスペクトを感じた。

また、エンドロール後にギリシャの税関職員の男性の小ネタがあるんですが、これも本当に最高でした。本編中でも印象的な動きを見せていたけれど、最後の最後にもにっこりさせられた。



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