『クリスマス・クロニクル』



『ホーム・アローン』『ハリー・ポッター』のクリス・コロンバスプロデュース。
クリスマスの夜の兄妹の冒険を描く。お兄ちゃん役に『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』でおませなヒョウ柄のジャケットがよく似合っていてキュートだったジュダ・ルイス。だいぶ大人になっていた。サンタクロース役はカート・ラッセル。
老若男女、観る人も観る時代も問わず、誰でもが楽しめるクリスマスムービーだった。これは定番になりうると思う。Netflixのみというのがもったいないくらいだった。

以下、ネタバレです。








ある家族のクリスマスのホームビデオが毎年分流れていく。息子は大きくなって、妹が産まれて…。でも、現代の家には飾り付けもされていないし、父もいない。母は急患なのか仕事へ出かけてしまう。中学生くらいまで大きくなったお兄ちゃんは悪い友達と付き合って車を盗んだりしている。妹だけがかろうじて純粋なままサンタを信じ続けている。
観ていくうちに父は死去していることがわかり、家族の少しギスギスした雰囲気はおそらくそれが原因ではないかと思う。
しかし、毎年録画しているホームビデオに、なんとサンタの腕が映っていることがわかる。すでにサンタを信じなくなっているお兄ちゃんも驚いて…というオープニング。

家族がばらばらになりそうではあるけど、一歩手前で踏みとどまっている。お兄ちゃんも完全に悪の道へ行ってしまったわけではない。
そこで、母がいない間に二人は外に出て、サンタと遭遇し、ソリを壊してしまう。

カート・ラッセルが演じるサンタが一風変わっていて、HO!HO!HO!もやってくれないし、でっぷりともしていない。太ったサンタのイラストは嫌みたいだった。不思議な瞬間移動みたいなのを使いながら素早く全家庭にプレゼントを配る。豪快で破天荒。ちょいワルおやじというと印象が悪いけれど、そんな感じの不良要素のあるおじいさんだった。恰好いいし、魅力的。
お兄ちゃんに車を無免許運転させて、カーブをうまく曲がってフィストパウンドしたりする。
いわゆるサンタらしくはないので、不審者として刑務所に入れられてしまうが、そこでも悲壮感はなく、囚人たちとバンドを組んで歌を歌ってしまう。
大人たちはもうサンタを信じてはいないけれど、サンタにとっては全員子供で、名前と昔サンタに欲しいと願ったものを覚えているのもぐっときた。

サンタがいない間、クリスマスを続行するために兄妹が奮闘するんですが、助けてくれるエルフがあまりにもCGっぽすぎて、少しノイズになるかなと思った。けれど、本当はモーションキャプチャーでやりたかったけど時間がなかったと言っていたので、それは製作者たちもわかっていることのようだった。
また、エルフ語は『ゲーム・オブ・スローンズ』の方に作ってもらって翻訳したとのこと。ちゃんとしている。

普通なら、一晩の出来事を通じて成長するのは兄妹両方だったりするものですが、この兄妹の場合、妹はわりと最初からしっかり者で、純粋な良い子だった。成長するのは兄だけというのがちょっと変わっていると思った。もちろんサンタの存在を信じるようになったし、ロクでもない大人になりそうだったところを修正された。
また、途中で父の死が家族以外の人を救ったことが原因だったとわかるのですが、それについて兄は他の家のことなんて!と嘆いていたけれど、最後にはちゃんとそれも受け入れられるようになった。
サンタからの粋なプレゼントには泣いた。兄は「父さんに会わせて欲しい」とサンタに手紙を書いていたけれど、それはさすがにできない。クリスマスの奇跡とか言ってそれをやられたら一気に興ざめしてしまう。
けれど、貰った古いオーナメントをツリーに飾ると、そこに父の姿が少しだけ映る。
なんというか、これくらいの再会がすごくちょうど良かった。

あと、別れ際にHO!HO!HO!をやっとやってくれたのも良かったし、HO!HO!HO!すら恰好良くなってしまっていた。

また、サンタクロースが恰好いいので(?)、ミセス・クロースという奥様も終盤に少しだけ出てくる。どうやら尻に敷かれているようだった。そして、ミセス・クロース役がカート・ラッセルの実際の奥様というのもニクい。

王道ではあると思うけれど、少し変わったサンタクロース像なのと、兄が成長するという面は新しいと思う。何より、やっぱりクリスマスにはクリスマスムービーだなあというのを再確認させられた。来年も観たい。



0 comments:

Post a Comment