『アメリカン・スリープオーバー』



2010年アメリカで公開。日本では大規模な公開はなかったけれど、小さい映画館でちょこちょこと上映されていたらしく、今回オープンしたアップリンク吉祥寺の見逃した映画特集で観ました。
アップリンク吉祥寺、初だったのですが、椅子も座りやすいし、スクリーンが高い位置なので頭も被らなそう。スクリーン1の三列目で観ましたが、それよりも前だと首が疲れるかもしれない。パルコの地下なので当たり前ですが、天井は低いです。あと、上映後の出入りは扉が開く音なども気になるくらい。
スクリーン1は60席くらいと中では大きい方でした。三列くらいしかないスクリーンでもいつか観てみたい。
ロビーやトイレ、物販などの雰囲気はいいです。

『イット・フォローズ』、『アンダー・ザ・シルバーレイク』のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督作品。
キャストに有名どころがいないのと、青春ものということでなかなか配給がつかないらしい。
また、スリープオーバーというのはお泊まり会という意味なんですが、アメリカ独自の文化なのか、新学期前…アメリカなので8月末にいろいろな場所で開催されていた。
おかしなことにはならないように、男女は別になっている。本作は、女子チーム二軒と男子チーム一軒、他の場所でのパーティ、大学の体育館での雑魚寝と色々な場所で行われているお泊まり会を舞台にしたを群像劇。
夏の終わりの一晩のティーンたちの話で親は一切出てこない。大学の先生もずっと寝ていたので、意図的に出さなかったのだと思う。

男子チームはB級ホラーを見てピザを食べ、おっぱいのシーンを巻き戻したりして、本当に男子!という感じだった。ただ、その中の一人の子は昼間にスーパーマーケットで見かけた女の子に一目惚れしてしまい、夜の間、うろうろしながら探し続ける。様々な場所で探し続けてすれ違ったりもするんですが、キスするスポットになっている廃墟でようやく会える。ああ、ハッピーエンド…と思ったんですが、腕に男の人の電話番号が二件も書いてあって、夢から醒めたようになっていた。

年上の彼氏がいる子はいかにも遊んでる女の子の家のスリープオーバーに招待されるが、そこで彼女の日記を見て、彼氏とその子が関係をもっていたことを知ってしまう。仕返しのようにその子の彼氏と地下室でキスをして見つかり殴られていた。
地下室に行くときに、こっくりさん的なやつをやっていて、やっぱりティーンが集まるとこっくりさんなのは他の国でも変わらないんだ…と思った。

メインビジュアルでも使われている金髪ショートカットで口にピアスをつけた子と黒髪癖っ毛メガネの子の二人は少しさめていて、お泊まり会に参加するのは子供っぽいと思っている。自転車でふらふらと仲がいい男の子の家に行きパーティの情報を仕入れ、そこに参加することにする。金髪の子が元々好きだった仲がいい男の子は遊び人のようで、パーティでは違う女の子の肩を抱いていた。でもそこで、プールで出会った別の子と再会して、ちょっといい雰囲気になっていく。しかし、黒髪の子とはぐれてしまい、その子は遊び人の男の子とボートに乗っていて…と、まあせわしない。全員が誰と決めずにふらふらしている。ふらふらしたまま、お泊まり会会場に一旦戻ったりもする中で、やっぱりプールの子のことが好きなようだった。
二人で抜け出して夜のプールに行くのですが、ウォータースライダーで、「下りたところでキスしたい」と言われ、了承するんですが、滑っている途中で一旦止まって、振り返って「キスしたくないわけじゃないけど、今日はいや。もう胸がいっぱいで」と言う顔がとてもキュートだった。恥ずかしがるような、でも夏が終わってしまうのをさみしがるような表情。ここまでこの子は結構スカした感じというか、つまらなそうだったのに、ちゃんとティーンの表情になっていた。

シカゴの大学を退学して地元に帰りたい男の子は、高校に飾ってあった写真に写る自分と双子の女性の姿を見て、その双子に会いたくなる。一気に恋に落ちてしまったようで、彼女たちの大学に乗り込んで行くのもあっという間だった。そこで彼は二人とも好きと言うし、本当に二人と自分ということを想像していたようだけれど、当然双子ご本人たちは納得できない。男の子にとっては概念みたいなものだったらしい。
しかし、どうやら昔から双子の一人はその男の子のことが好きだったらしい。男の子は賭けに出たのか本当なのか、片方(A)に告白する。結局どちらとも付き合うことなく、男の子は双子のいた大学を後にするんですが、Aが追いかけてくる。Bの連絡先を持って。好きだったのはBのほうだったんですね。でも、男の子とAはもう共犯になってしまっている。だから、「Bには二人とも好きだって伝えておいて」と嘘をつかせる。と同時に、「君(A)も本当は俺のことが好きだろ?」みたいなことも言っちゃう。好きじゃないって言いながらも軽くキスしちゃうあたりも青春っぽかった。
その思い出を胸に、男の子はシカゴへ戻って行く。

この男の子だけでなく、みんなが同じ夜を越えて、それぞれの場所へ帰って行く。
ただ夜が明けたわけではなく、夏が終わったのだ。
メインビジュアルの二人は、最初はプールサイドで「この夏、何もしなかったねー」とつまらなそうに話していた。でも、最後には金髪の子のほうは「今日はもう胸がいっぱいだから、キスするのは今日じゃない方がいい」と言っていた。みんな一晩で一夏分の経験をした。
みんなまだ子供だからという面もあるかもしれないけれど、キスシーンはあっても誰もセックスしないのもまた良かった。子供でもお酒は飲みます。
夏が終わる。始まる日常。
もしかしたら、先延ばされたまま、もうキスはしないかもしれないと思ってしまった。魔法のような一夜の出来事、朝になってしまえば魔法はとけてしまうのだ。




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