2006年公開。アジア映画をあまり観ないのですが(邦画は除く)、これはずっと気になっていたので。ジョニー・トー監督作品。香港映画。

銃撃戦が何度か出てきますが、どれもがとにかく恰好良く撮られていた。最初の三すくみというか、三人が銃を向け合って動けない緊迫状態からの撃ち合いから感動しましたが、そのあと、引越しを手伝って、しかも食事を一緒にとって、その上、記念写真撮影までの流れが素敵だった。お前ら、さっきまで殺し合おうとしてませんでしたか? ここで簡潔に男たちの関係性が説明されるのもなかなかスマート。とはいえ、最後まで観ると、キャラクターに感情移入してしまって、男たちの過去編もしっかりと描いて欲しくなった。

中華料理屋、医者の自宅と本当に銃撃戦が美しかった。大人数で銃を撃ち合うのですが、スローで撮られているので、一人一人の動きがわかりやすい。また、目くらましのためにカーテンをばさっと翻したときに、スローで布がふんわり広がるのも綺麗だった。血の処理も、破裂する感じとか霧のようになる感じが独特で、エグさがないのがいい。
ラストのホテルでの撃ち合いも、レッドブルの缶を蹴り上げて、落ちてくるまでの数秒をスローでとらえる方法がなんともスタイリッシュで見惚れた。

ハリウッド構想もあったようですが、公開から結構経ってしまっているのでなくなったのかな。



2007年公開。ボーンシリーズ三作目。二作目のスプレマシーはテレビでやるらしかったのと、レガシーはアルティメイタムの裏で起こっていることだという話だったので、こちらを先に観ました。

流れ的には一作目のアイデンティティーとほぼ一緒なんですね。CIAに疎まれて、追跡から逃げるという。そこに、CIA内部でのゴタゴタも関わってくる。なんとなく、『24-TWENTY FOUR-』を思い出した。CTUと現場との軋轢みたいな感じが。でも、あちらのほうがまだ現場に協力的か。

ボーンは相変わらず素性がぼんやりしているみたいでしたが、フラッシュバック的に何かを思い出しそうになってた。どうやら、スプレマシーで、一作目のヒロインであるマリーが亡くなったらしい。孤独な逃亡になるかと思いきや、一作目で敵側だった、ニッキー・パーソンズと一緒に逃げる。女性と逃げるという点もシリーズで共通しているのかもしれない。逃げる女性が髪型を変えるのも同じだった。レガシーでもジェレミー・レナーはレイチェル・ワイズと一緒に逃げているようだし。

今回のアクションは本当に見ごたえがあった。屋根の上をひょいひょい逃げるシーンや、カーチェイスなど、目が離せなかった。ブルーレイに収録されていた特典映像のメイキングを観ていると、もちろんスタントは使っているものの、結構マット・デイモンが自分でやっているシーンも多いようだった。車の運転もかなりのもの。映画内では笑顔を見せるシーンはあまりなかったけれど、メイキングではアクションシーンが決まった後にニコッと笑ったりしていて、マット・デイモンが少し好きになってしまった。

殴り合ってもそれほど傷を負わず、撃たれることもなく、車ごと立体駐車場から落ちても気絶することもなく無傷で車の窓から抜け出し、海に沈んでもすっと泳ぐ体勢に入れる。ほとんど無敵なのが痛快。ジェイソン・ボーンとして特訓をつんだおかげなのか。


予告で見たときに、トム・クルーズがロックスター役をやるというのが気になった。『トロピック・サンダー』や『マグノリア』のような、時々出てくる変なトム・クルーズを期待してしまいました。
それでも、主役はあくまでも違う人なのだからトムはあんまり出てこないのではないかということや、アメリカで興行成績がふるわなかったのも気になり、少し心配しながら観始めたんですが、オープニングでガンズの『パラダイス・シティ』が流れ始めたときに、そんな不安は一気に吹き飛びました!
また、続いて深夜バスの中で女の子が急に歌い始めて、バス内が合唱になるシーンからもうワクワクしてしまった。
ミュージカル映画好きと80’sロック好きや懐かしさを感じる人にはたまらないと思う。すごく楽しかったです。

ストーリーはあってないようなもので、ありがちだし、驚くようなことが起こるわけでもない。完全に曲の力でストーリーが進んでいくので、曲を知っているかどうかで評価が分かれるのかもしれない。歌詞をそのまま使っているのにストーリーにぴったりはまっていたあたりが、使いどころと選曲が完璧だった。
スコーピオンズやデフ・レパードなどメタル色が強いものの他にも、フォリナーやジャーニーなどの産業ロックも使われていて80’s全開。

以下、ネタバレです。




トム・クルーズは脇役とはいえ、意外と出番がありました。酒と女に溺れる、かつてのロックスター役だったんですが、股間とお尻の部分だけあいた皮パンという衣装や、乳首の周りを囲む蛇のタトゥーがセクシーと下品すれすれで強烈。頭に巻いた太いバンダナはアクセル・ローズ風。それで気だるく半裸のお姉さんたちと絡む。
ところが、歌い出すと、これがしっかりと歌えていてこれも驚いた。ボイストレーニングを何ヶ月もやったらしいが、その成果が出ています。ステージ上の振る舞いは演技でできるとは思うけれど、歌ばかりはどうしようもない。多少、声が綺麗すぎるというか、メタル向きではないけれど仕方ないでしょう。もう少し歌いこめば、いい具合の声になるかもしれないけれど、別に本職なわけではないし上出来です。

他の俳優さんたちもみんな歌がうまいので、曲を聴いているだけでも楽しい。サントラが欲しくなってしまった。
ミュージカルでよく出てくる、二曲がワンフレーズずつ交互に歌われるのが好きなので、『シスコはロック・シティ/ウィア・ノット・ゴナ・テイク・イット』がそのまま収録されているのも嬉しい。ライブハウスの前でロック好きたちが、「俺らがこの町をロックで大きくしたんだ!」と高らかに歌い、反対側で婦人団体が「私たちは受け入れられない!」と力強く歌う。

ロックは有害なものとして廃止を訴える婦人団体の代表を演じるのがキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。彼女の、ダサいながらもキレのあるダンスが絶妙だった。きっちりした野暮ったいタイトスカートなのに、足がすごく上がっていたり。ダンサー経験があるというのも納得。『シカゴ』も観ていないので観たい。

あとは、ちょっとした話ですが、あの有名なHOLLYWOODの文字看板の裏側が見られたのがおもしろかった。あんな風になってるんだ。
とはいえ、80年代の話なので、いまは違うのかもしれない。服装や髪型など、ファッション面もしっかり80’sなので、その面でも楽しめました。

あと、トム・クルーズ演じるロックスターはサルを連れていましたが、あれはやっぱりバブルスの影響らしいです。


2002年公開。月末公開の『ボーン・レガシー』に向けて予習。有名作ですが、別にマット・デイモンが好きなわけではないし、内容は知らなかったけど、有名アクション映画ということでそれほどひかれるところもなかったので未見でした。
でも、今回初めて観たところ、面白かった。こんなことならもっと前から観ていれば良かった。『マンマ・ミーア!』もそうでしたが、観ず嫌いは良くない。

アクション映画はアクション映画ですが、主人公がマッチョタイプじゃないのが良かった。まず出だしが記憶喪失ということで、終始思い悩んでいるのがいい。そのくせ、うじうじと弱いわけではなく、銃を手にすると体が覚えているから並以上に使えるなど、ギャップがたまらない。
そのせいなのか、観ているうちにどんどんマット・デイモンが恰好良く見えてくる。10年前の映画なので、顔がだいぶ細いけど、それは恰好良さには関係なさそう。

クリス・クーパーが出ていて、悪人顔だから悪役かとも思ったんですが違った。アクション作のわりには、善悪がわかりにくいのは主人公が記憶喪失で、観客にも状況が何もわからない状態から一緒に素性をさぐることになるからだろう。そのように、少しずつ真実が明らかになっていくのもおもしろかった。



内田けんじ監督作品。旧作と同じく、二転三転する脚本映画。しっかり脚本が練ってありながらもわかりやすかったので、映画館での笑いのタイミングもばっちりで楽しかったです。
以下、ネタバレです。






『WEEKEND BLUES』は観ていないのですが、『運命じゃない人』、『アフタースクール』よりも随分わかりやすかったと思う。二作ほど、どんでん返しや、はっとさせられる事実が後半に出てきたりするわけではない。二作が、最初から観返したくなるのに対して、今回は話が進むにつれて、次々と新事実が明らかになっていき、状況がどんどん変わっていく感じ。戻らなくても、話の流れにスムーズに乗りながら、小さな驚きが続いていく。

取り返しがつかなそうな事柄に対して、しっかりと決着をつけるあたり、脚本がうまいなあと思う。序盤で、香川照之演じるコンドウが、人を殺してしまう。血のりもショッキングだった。ストーリーが進むのを観ながら、それでもこの人は実は人を殺していて、その事実がある以上、もうどうにもならない…と思っていたら、ちゃんとどうにかなる。
また、強大な悪役としてヤクザが出てくるのですが、とても敵う相手には思えなかったのに、これもどうにかなってしまう。
しかも、それぞれ、深刻な事態に陥りそうになったところで、拍子抜けするくらいにスマートに回避する。そこに笑いも加わっていたりする。

なので、最後は、心から良かったと思える大ハッピーエンドです。この軽快さが内田けんじのウリだと思う。そんな難しい顔をしなくても大丈夫、気楽に構えてなさいと言われているよう。

ただ、全体的に恋愛要素が強めなせいで、ストーリーがファンタジー寄りになっているような感じもした。少しリアリティを欠くけれども、これも監督らしさなのかもしれない。それに、多少うまくいきすぎな強引に思える場面でも、所詮おとぎ話というような線を引いておけば、気にならずに受け入れられる。

最近、香川照之は演技が過剰というか、テレビや映画などいろいろ出すぎというか、少し苦手になりかけていたんですが、今回は鼻につく場面もなく、演技を堪能できた。その胡散くささから、途中まで、記憶喪失も装っているのかと思っていた。
堺雅人もうまかった。いつも笑っているような顔のせいで、へらへらしている頼りない若者役が似合っていた。体型も絶妙だと思う。細くて、ふらふらしていて、猫背気味なところが不健康そう。
広末涼子は可愛いけれど、演技の面では特別どうということはなさそうですが、今回はあまり表情や感情の抑揚のない役柄なので、気にならなかった。
ほぼ三人の演技がメインですが、荒川良々の抑え目演技のヤクザも怖かった。
脚本ももちろんおもしろいけれど、こうゆうネタばらし系の話は俳優さんの演技が下手だと途中でオチが見えてしまうので、それを悟らせないためには演技力が必要だと思うけれど、ちゃんと騙されました。


2004年公開。やたらと評価が高い本作ですが、前に観たときにいまいちピンとこなかったので、観なおしてみた。かなり前だったのでほとんど内容をおぼえていなくて、初見のような感じでした。

過去に戻って、やり直しながら最善の結末を探していくというのは、タイムリープものではよくある話のような感じですが、公開当時は珍しかったんでしょうか。ただ、『バタフライ・エフェクト』はどこからやり直しても駄目になるというのが哀しかった。
ならば出会わなければいい、と根源を絶つのは苦渋の決断だと思うけれど、それでも、女の子のお父さんが変態なのは、エヴァンが居ようと居まいと変わらないかもしれないし、それならば、せめてそばにいて守ってあげたほうがいいんじゃないかと思った。

その変態お父さん役の俳優さんが少しデヴィッド・ボウイに似てて恰好良かった。エリック・ストルツという方で、イギリス俳優のような容貌ですが、カリフォルニア州出身だった。『パルプ・フィクション』に出ていたらしい。あと、海外ドラマ『glee/グリー』で監督をしているらしいのがちょっと驚いた。



これだけ待たされたんだから二回くらい観ておかないと…と思い行ってきました。普通スクリーンの3D。IMAXでないならば、できれば2Dで観たかったけれど、行くことができる時間に上映館がありませんでした。『アベンジャーズ』は上映時間が長めなのと、後半の動きがせわしないのと、一つの画面で観るべきところが多いせいもあってか、鑑賞後にかなり目が疲れてしまった。せめて吹き替えにすれば良かったのかもしれない。でも吹き替え上映館がなかった。
以下、ネタバレです。




二度目だと細かいシーンに注目して観るんですが、それほど細かいシーンって無いんですよね。
ニック・フューリーとスティーブが「驚いたら10ドル」という賭けをしたあと、空母内に入ったとき、スティーブが何も言わずにすっと10ドルを差し出すのは可愛かった。おー、驚いてる驚いてると思った。

スタークが、ストレスを与えようとしてバナーのわき腹をツンと刺すのも可愛い。もし本当にあそこでハルクになっちゃったらどうするつもりだったのか。

あと、これは一回目に観たときにも思ったんですが、ポッツとスタークが思っていたよりもいちゃいちゃしている。『アイアンマン2』で二人の距離ってそんなに縮まったんだったっけ? ブラック・ウィドウには見向きもしてなかった。

ブラック・ウィドウとホークアイの関係も気になる。過去の命の恩人みたいな話も映像になるといいなあ。S.H.I.E.L.D.のテレビシリーズだか映画だかも計画されているようなのでそれを待つしかない。今回と同じく、ジョス・ウィードンが監督するようなので、きっとこの辺も描いてくれると信じてます。(噂段階の話かも…)

おまけの打ち上げシーンはやっぱり笑った。ブラック・ウィドウがずっとホークアイのことを見てるんですよね。ちょっと睨み加減で何かを要請するように見てる。それこそ、「アンタ、この空気なんとかしなさいよ」とばかりに。
社長は誰とも目を合わさずにあさっての方向を向きながら、口をモグモグやってて、知―らないという感じ。
バナー、というか、あれはマーク・ラファロなのかな。ちょっと笑っちゃってるのは演技じゃないのかもしれない。

もちろんアクションシーンはみんな恰好いいんですよ。それぞれの役割を個々がこなして、協力していないようで、ちゃんと繋がっている。それは、流れるようなカメラワークを見ていてもよくわかる。
でも、はっきり言ってそれは当たり前。この映画で私が好きなところは、おまけシーンや前半にあるような、変身前の人たちのやりとりの可愛さです。
あと、ロキちゃんのシーンは全部好き。ソーが来た場面も、ソーとアイアンマンが戦い始めたら逃げちゃえばいいのに崖の上でおとなしく見てたりとか、みんなに囲まれてたじたじとか、最後しゅんとしてたりとか。まったく怖くないんですよね、悪役なのに。むしろ、愛嬌があって可愛い。

『I'M FLASH!』


豊田利晃監督作品。復帰後の『蘇りの血』や『モンスターズクラブ』に比べたら、だいぶわかりやすくはなってるけど、やはり難しかった。この三作はすべて、豊田監督自身が脚本も書いている。おそらくテーマは同じで、全部で死生観を描いていると思う。
前二作が寓話的でポエティックだったのに対して、今回は最初のセリフが「DVD返してくるね」「気をつけてね」という日常会話で、ストーリーがちゃんとあるタイプの映画なのではないかと期待しました。
以下、ネタバレを含みますが、理解し切れていないため、ネタバレにもなっていないかもしれません。







殺し屋(松田龍平)と教祖(藤原竜也)の対決というような前情報を頭に入れてみていたら、少し雰囲気が違っていた。教祖は教祖をやめようとしているところから始まって、龍平他、二人の殺し屋がボディガードとして雇われていた。
この殺し屋三人組が良いキャラクターだった。若い衆を演じるのが永山絢斗。豊田映画には瑛太がよく出演していましたが、今回は弟さんが出演。チンピラ風おっさん殺し屋を演じるのが元アナーキーの仲野茂。仲野さんにしても音楽関係に明るい豊田監督ならではだと思うし、もう一人は龍平だし、三人とも監督らしい人選だと思う。ちなみに脇役も豊田映画ではお馴染みの板尾創路、大楽源太、渋川清彦などで固められている。

今回、他の豊田作品と違う点は、舞台である沖縄にこだわった画づくりがされているところだと思う。あと、料理がおいしそうに撮られていて、食事シーンも多い。特に食については、ストーリーと直接関係があるわけではないし、理由がわからない。舞台を丁寧に描写したのは、青すぎる海という“異世界感”と島という“孤立した空間”が、Life Is Beautiful(藤原竜也演じるルイの教団)の本拠地として最適だったのかもしれない。

また、ルイが水中で槍をもって魚を捕らえるシーンが何度か出てくるのが印象的。実際に、藤原竜也自身が潜って魚を獲っているらしい。しかも、ほぼカナヅチというところから特訓したという。役者魂を感じました。
そのあと、その魚を食べるシーンで、「苦しまずに死んでるからうまい」というような言葉をきっかけに、死生観の話になる。
このシーンに関わらず、死生観については序盤からずっと登場人物のモノローグを借りても語られているので、今回もテーマはその辺なのだと思った。ここ最近の豊田監督作品に貫かれているこの死生観ですが、それについて考えるようになったのは、原田芳雄さんの死が強烈なきっかけだったらしい。また、テーマが死生観であるならば、多用された食事シーンも、それを生のイメージとしてとらえていいのかもしれない。

ラスト付近で、和やかな会食シーンが一転して銃撃戦になるのは、タランティーノを意識しているような感じがしておもしろかったんですが、どうなんだろう。その後にやっと龍平と藤原竜也の対決になるのですが、もう本当に最終戦というかクライマックスで、もう少し二人の対決を長く見たかった気がします。藤原竜也の白い修行服と龍平の死神ばりの黒いスーツの対比も画的にも良かった。

過剰なまでの大量出血シーン、血みどろシーンがなかったのは、豊田監督らしくない気がする。血みどろが出産や生まれ直しをイメージしているならば、『モンスターズクラブ』では、ラストでメイクをして町に下りて行ったシーンだってそうなのだろうし、今回では、タイトル通りの閃光とともに、一方が死に、一方が目覚めるシーンで、それが体現されていたのかもしれないけれど、よくわからない。ただ、あのシーンは、ルイとバイクの少年は死ぬけれども、不思議と希望に溢れた印象を残す。未来みたいなものを感じさせてくれるからなのかもしれない。

テーマ曲は鮎川誠の『I'M  FLASH!』のカヴァーで、作品自体もこの曲からインスパイアされたとのこと。カヴァーしている面子が、チバユウスケ、ヤマジカズヒデ、中村達也、kenkenと豪華だけど、これが今まで豊田監督と関わってきた人なのがすごい。チバユウスケはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが『青い春』の音楽担当だったし、ヤマジカズヒデはdipが『ナイン・ソウルズ』の音楽担当。中村達也は『蘇りの血』の主演で、kenkenは『モンスターズクラブ』出演。

ちなみにチバユウスケは現在、SNAKE ON THE BEACHというソロプロジェクトを始動させたらしい。その楽曲から『赤い季節』という映画が作られていて、これの主演が新井浩文なのも楽しみで期待しています。予告を見る限り、なかなかハードボイルドな内容っぽい。彼の主演作は『松ヶ根乱射事件』以来というのは意外。


2008年公開。ABBAの楽曲を用いたミュージカルの映画化。つまらないという噂を聞いていて、観ず嫌いだったんですが、テレビでやっていたのを観てみたら、すごく楽しかった。もっと前に観れば良かった。

メリル・ストリープとアマンダ・セイフライドが出演していることくらいしか知らなかったんですが、駄目男たちがピアース・ブロスナン、名前が覚えられないことでお馴染みのステラン・スカルスガルド、そして、好きな俳優であるコリン・ファースだった。この点でももっと前に観れば良かったと思った。

歌うのはほとんどが大人陣、中でもメリル・ストリープが中心です。娘役のアマンダ・セイフライドはほとんど歌わなかった。メリル・ストリープは歌い始めこそ、あまりうまくないのが気になったけれど、そのうち慣れた。問題はピアース・ブロスナン。結構、重要なシーンでムードたっぷりに歌い出すんですが、下手。せっかくのいい雰囲気が台無しになって失笑してしまう。多分、彼がラジー賞を受賞した要因はこれでしょう。

コリン・ファースはここでも恰好良かった。コメディに出ている彼もいいですね。『アーネスト式プロポーズ』も良かったです。ここでもギターを弾きながら歌っていた。
ここでも、といえば、コリン・ファースがラストで男の人と恋人にしてましたけども…。これも、またもやという感じ。

エンドロールも愉快だった。ドナ&ザ・ダイナモスが中身はそのままに、当時のど派手衣装で登場。三人が踊りながら『ダンシング・クイーン』を歌う。歌い終わるとアンコールが起こり、エンドロールで二曲やるのかと思っていたら、今度は真っ青など派手衣装の男三人衆が登場! 出演者が奇抜な衣装を着て勢ぞろいして歌い踊るというのは、少し『ロッキー・ホラー・ショウ』を思い出した。

エーゲ海の架空の島が舞台ということで、海は青いし、ホテルの白壁は眩しく輝いているし、床モザイクなども美しい。
改めてABBAの楽曲の耳馴染みの良さも実感するし、歌や踊りばかりで、ストーリーが深いわけではないけれど、とにかく明るいし、観ていて楽しい気持ちになる。元気の無いときに観るのも良さそう。


『普通じゃない』


1997年公開。ロンドンオリンピック開会式の芸術監督をつとめたことも記憶に新しいダニー・ボイル監督作品。『トレインスポッティング』より前の作品なのかと思っていたら『トレインスポッティング』は1996年だった。
ここまでのダニー・ボイル監督作品三作、すべてユアン・マクレガー主演。15年前のユアン、すごく可愛いです。モンチッチのような髪型をしてる。でもユアンは現在も充分可愛い。それよりも、15年前のキャメロン・ディアスがとても可愛らしくキュートだった。

ストーリーは、解雇された掃除係が自棄を起こして金持ちの娘を誘拐し、逃げる途中、身分違いなどもあり反発しあいながらも、すったもんだの中で次第に互いに惹かれ合い…?というような、よくあるといえばよくあるラブコメ。途中のお酒飲み比べとか、銀行強盗とかもテンプレ通り。それでどこが“普通じゃない”のかというと、主人公カップルの裏で天使が暗躍するのだ。神様なのかと思っていたけれど、ガブリエルと呼ばれてたし、二人をくっつける役割を担っていたようなので、おそらく天使のようです。
この天使たちが更に問題をややこしくしたりしながらも、天使という特権を使って、ストーリー展開をありえないような方向へ捻じ曲げていく。良くも悪くもなんでもありです。特にラスト付近は無理がある感じはしましたが、ファンタジーということで。

映像と音楽がおしゃれで、ダニー・ボイルっぽい。さすがに15年前の作品なので、BECKあたりが流れるとやはり多少古さは感じるが、全体的にはスタイリッシュだと思う。エンドロールの人形も可愛かったし、酒場でカントリー歌手のふりをして歌うシーンでは、ユアンとキャメロン・ディアスの髪型と衣装が変わって、ポップで楽しかった。

この邦題もどうにかならなかったのか。原題がA Life Less Ordinaryなので、間違いではないけど、そのまんますぎる。なんとなく、トンがった感じは伝わってくるものの、もう少し素敵なタイトルを考えてほしかったところ。