『ロック・オブ・エイジズ』


予告で見たときに、トム・クルーズがロックスター役をやるというのが気になった。『トロピック・サンダー』や『マグノリア』のような、時々出てくる変なトム・クルーズを期待してしまいました。
それでも、主役はあくまでも違う人なのだからトムはあんまり出てこないのではないかということや、アメリカで興行成績がふるわなかったのも気になり、少し心配しながら観始めたんですが、オープニングでガンズの『パラダイス・シティ』が流れ始めたときに、そんな不安は一気に吹き飛びました!
また、続いて深夜バスの中で女の子が急に歌い始めて、バス内が合唱になるシーンからもうワクワクしてしまった。
ミュージカル映画好きと80’sロック好きや懐かしさを感じる人にはたまらないと思う。すごく楽しかったです。

ストーリーはあってないようなもので、ありがちだし、驚くようなことが起こるわけでもない。完全に曲の力でストーリーが進んでいくので、曲を知っているかどうかで評価が分かれるのかもしれない。歌詞をそのまま使っているのにストーリーにぴったりはまっていたあたりが、使いどころと選曲が完璧だった。
スコーピオンズやデフ・レパードなどメタル色が強いものの他にも、フォリナーやジャーニーなどの産業ロックも使われていて80’s全開。

以下、ネタバレです。




トム・クルーズは脇役とはいえ、意外と出番がありました。酒と女に溺れる、かつてのロックスター役だったんですが、股間とお尻の部分だけあいた皮パンという衣装や、乳首の周りを囲む蛇のタトゥーがセクシーと下品すれすれで強烈。頭に巻いた太いバンダナはアクセル・ローズ風。それで気だるく半裸のお姉さんたちと絡む。
ところが、歌い出すと、これがしっかりと歌えていてこれも驚いた。ボイストレーニングを何ヶ月もやったらしいが、その成果が出ています。ステージ上の振る舞いは演技でできるとは思うけれど、歌ばかりはどうしようもない。多少、声が綺麗すぎるというか、メタル向きではないけれど仕方ないでしょう。もう少し歌いこめば、いい具合の声になるかもしれないけれど、別に本職なわけではないし上出来です。

他の俳優さんたちもみんな歌がうまいので、曲を聴いているだけでも楽しい。サントラが欲しくなってしまった。
ミュージカルでよく出てくる、二曲がワンフレーズずつ交互に歌われるのが好きなので、『シスコはロック・シティ/ウィア・ノット・ゴナ・テイク・イット』がそのまま収録されているのも嬉しい。ライブハウスの前でロック好きたちが、「俺らがこの町をロックで大きくしたんだ!」と高らかに歌い、反対側で婦人団体が「私たちは受け入れられない!」と力強く歌う。

ロックは有害なものとして廃止を訴える婦人団体の代表を演じるのがキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。彼女の、ダサいながらもキレのあるダンスが絶妙だった。きっちりした野暮ったいタイトスカートなのに、足がすごく上がっていたり。ダンサー経験があるというのも納得。『シカゴ』も観ていないので観たい。

あとは、ちょっとした話ですが、あの有名なHOLLYWOODの文字看板の裏側が見られたのがおもしろかった。あんな風になってるんだ。
とはいえ、80年代の話なので、いまは違うのかもしれない。服装や髪型など、ファッション面もしっかり80’sなので、その面でも楽しめました。

あと、トム・クルーズ演じるロックスターはサルを連れていましたが、あれはやっぱりバブルスの影響らしいです。

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