『ユー・ガット・メール』


去年も行ったのですが、沢の鶴プレゼンツで日本酒の試飲会と映画の上映と字幕の戸田奈津子さんのトークショーのイベント。
今年は『ユー・ガット・メール』でした。

1998年公開。たかだか15年前ですが、Eメール界隈はかなり変わっていることがわかった。それぞれの持つノートパソコンが厚い。トム・ハンクス演じる金持ちが使っているのがIBMで、メグ・ライアン演じる小さな書店の店長が持っているのがMacというのも、背景がいろいろわかって面白い。Macのリンゴマークはもちろん虹色です。
そして、メールを受信する時に聞こえるダイヤルアップ接続音! 懐かしすぎる。

本屋が舞台のロマコメということで、少し『ノッティングヒルの恋人』を思い出したりもしました。
この手の話にしては119分と少し長く、映画を観ている側はメールをしているのが二人だとわかっているので、ネタばらしまでがいろいろともどかしい。
また、自分だったら、メールをしている相手のことを好きになっても、それが自分の経営している小さいけれど大切な絵本屋をつぶした人だとわかったら、好きにはなれないと思った。

ただ、この話には原作があって、そこだと絵本屋を裏切って金持ちと一緒になったことで同僚から総スカンのあげく、大型本屋のオープンと同時にフラれるという散々な終わり方をするらしい。それならこの映画の通りのほうがいい。

脚本・監督ノーラ・エフロン、主演トム・ハンクス、メグ・ライアンという組み合わせは『めぐり逢えたら』と同じ組み合わせとのこと。ノーラさんは読書エッセイの中で、『スマイリーと仲間たち』の感想として、「ジョン・ル・カレ以上にスマイリーのことが好きになった」「彼の傷を癒してあげたい」などと書いているキュートな方らしい。
戸田奈津子さん曰く、ロマンティックになりすぎず、コメディになりすぎず、ロマコメのバランスの取り方が上手い方とのこと。

ただ、映画中、二人がよく喋るので、字幕をつけるのが大変だったらしい。すべて訳していると、画面上が文字になってしまう。大抵、一秒に三文字くらいしか読めないので、意味が通じるように縮めるのが大変だったらしい。

例えば、
I met Margaret in San Francisco.
は三秒くらいで言えるけど、そのまま訳すと
私はサンフランシスコでマーガレットに会った。
と九文字をゆうに越えてしまう。そのため、地名をあの町にしたり、人名も意味が通じるならば彼女などに置き換えるらしい。

また、戸田奈津子さんはTIFFで来日するトム・ハンクスの通訳もつとめるらしいですが、彼のことを悪く言う人はいないと言っていました。
映画の主演をつとめる人は、監督と一緒にスタッフにも信頼されなくてはいけないから人柄も大事とのこと。顔がいいだけの人は一本二本で主演作を持てるかもしれないけれど、すぐ消える。常に第一線にいる俳優さんは、みんな素晴らしい方らしいです。

試飲させていただいたお酒はさっぱりしていてとても飲みやすく、日本酒なのに度数が低めなので酔わない点が良かった。映画鑑賞のお供にも最適でした。

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